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王女さまは僕をキツく説教した。嘘の報告書はダメだって。

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そうして、アルジェ王女は王宮に帰っていった。

僕はエルと気まずい時間を送る。

「ジョフィアよかったね……。あんなに素敵な王女さまだものね」

「エル……。エルは僕のこと本当はどう思っているの……」

本心を訊ねる僕。それは、もてだした男の余裕だったのかもしれないとあとからは思う。

「別に……。幼なじみじゃん、なによっ。今更」

「エルは、好きな人いないのかなって」

「あ、あんたじゃないのは確かなんだからっ、もう。王女様のところに行ったら?」

「そうだね。アルジェ王女殿下を待たせちゃいけないね」

僕は手早く、自分の荷物をまとめ王女殿下のもとへ向かう。

王宮の中はどんな内装なんだろうか……。金、銀、宝石で絢爛豪華なのかな?

そうこうしているうちに王宮につく。

衛兵は、

「王女殿下から話しを聞いております。そこの君……この方を王女殿下の私室までご案内して差し上げて」

と取り次いでくれた。

王宮は僕が想像したより意外と質実剛健な造りの建物だった。

そこまで絢爛豪華というわけではない。

やがて、王女の私室につくと

「王女殿下、ジョフィアさまがいらっしゃいました」

「あら、早いのね。はいりなさいよ……」

と王女はぶっきらぼうに返事をする。

おそるおそる、部屋に入るとそこには、

ただただ広い部屋があった。

「こっち来なさいよ……」

「はい、アルジェ様」

「アルジェでいいわよ……。法律読んでないのね……。相手は呼び捨てが基本よ。キチンと守りなさい」

と、自分が法律を忘れていたのを棚にあげてアルジェは説教した。

「なんで、エルさんを捨てて……。私を選んだのよっ。男って最低」

とアルジェは吐き捨てるように言った。


「エルは……。僕とは法律がなければ恋人になれなかったと思います」

「なんで……よ。ランクZの恋人なんでしょ、チェックボックスも全部埋めた……」

「それなんですが……実はそのう、良く報告書の意味がわからなくて適当につけたので……」

「ふーん、それで?あなた百万グレア、半年分の給料にも下手したらなる額をよく受け取ったわね……」

「ご、ごめんなさい」

「王国に返せるの?それ」

「返さないとダメですか……」

「嘘をついたのと同じだからね……。泥棒、詐欺と同じだよ……。詐欺は重罪よ?」

「ど、どのくらい……」

「奴隷にされて売りさばかれるぐらいには重罪ね……」

「返さないと! でも返せない……。どうすればいいんだ……僕」

「ひとつだけ……、方法がないこともないわね……」

「どうすればいいか教えてもらえますか!、返せる当てがあるなら僕、どんなことでもします!」

それを聞くと王女は

「簡単よ、あなた本当にZランクでチェックボックスを全部埋められる私の恋人になればいいのよ」

とニッコリ笑った。

「Zランク……。具体的に何をすれば良いのでしょう……」

「その前に……、チェックボックスもあるわ……。そっちを全部埋めるなら。そうね」

王女は恐ろしいことをさらっと言った。

「たぶん、わたし妊娠しちゃうと思うわ……」

と言って僕に王女は、思わしげな視線をおくった。

「あなた、なんでもするって言ったけど。本気なのかしら?」

僕は、僕は、どうすればいいのか……。さすがに12才でお父さんと呼ばれるのは抵抗が……。
いや、それ以前に何をどうすればいいのか?僕には全く知識が無かった……。

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