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王女殿下から告白されたよ

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「そのう、王女殿下は誰に告白されたのですか?」
僕はストレートに疑問をアルジェ王女殿下にぶつけた。

「わたしが告白した相手ですか……」
「王女殿下に告白された相手は幸せですね。僕なら絶対に断りません……」
とニッコリ笑う僕。

「あなたには……エルさんという人がいるじゃないですか……」
「それで、誰に告白されたんですか?」
と僕は訊ねた。

「わたし、わたしは……」
王女の様子がおかしい……

「まだ、告白してないですね……」
「え?」
「すいません、王族として恥ずかしいです。自分の立法した法律をまだ実践できてないなんて……」
「その……。もう月末ですけど……」
王女はしばらくモジモジとしていたが、やがて吹っ切れたのか冗談ぽく、
「じゃ、私ジョフィアさんに告白します……、って私ふられちゃいますよね……」
「いや、王女様を振るわけないじゃないですか」
と僕。

するとそれまで黙って会話を聞いていた王女の教育係のランドルが血相を変えて会話に割り込んできた。

「ジョフィア様、……、お断りするのが礼儀ですよ……。身分違いの恋ですから……」
とランデル。
「え?」
「い、いや、もう仕方ないなぁ……面倒な」
ランデルは懐から金貨を十枚ほど取り出し、

「これで、どうかこの場は収めていただけませんか?ジョフィア殿、王女殿下も心苦しく思っておりますし……」
「はい、分かっております。だからこそ、王女殿下の告白をわたくしジョフィア謹んでお受け致します」
と宣言した。
「だから、どうか、どうかなにとぞ、丸く収めていただければと……」
といいつつ、ランドルはさらに金貨を取り出す。
「どうでしょうか……」

僕はだんだん、なぜか腹がたってきて
「人の気持ちはお金で買えるものではないと思います。僕は王女様の気持ちをむげにはできません!」
と言った。

「え、エルさんはどうするの?ジョフィアさん」
と驚いた様子のアルジェ王女。

「エルさんは、エルさんはこんな僕でも、ついてきてくれますよね!なんて冗談です。」
もともと仮面同棲だしな……。

「ジョフィア……。王女様とお幸せに……してね」
声を振り絞るようにエルは言った。

「そうですか!そういうことですか!丸く収める気が無いのですね!」
とランドルは憤慨している。

「わたくし、いったん、王宮に帰らしていただきますね……ジョフィアさんもあとで王宮にいらしてください……法律は法律ですから……、王宮で一緒に暮らすことになります。本当に……いいのですか?」

さようなら、僕の短い幸せ。
僕はエルが仮面同棲しているとおもっていたから、素直に王女と教育係のランドルの言うことがきけず、反発して……。あとから思えば馬鹿なことをしたものだ。
だが、この時は、王女とこのランデルに腹をたてていたのだ。自分のたてた法律を守ってないなんて!

「はい、問題ないです」
と断言した。







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