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1 瑠璃紺の章
スカーレット。
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「スカー、レット?」
トールは聞いたことのある名前のような気がした。
しかし、全く思い出せない。
「なぜお前がラリーとトールをかばう?意味がわからねえ。」
ヘルムートは眉をしかめた。
スカーレットと呼ばれた女性は笑った。
口元のほくろが妖艶な美しい女性だ。
「私、トールを守るために生きているから。」
「は?」
「久しぶりね。トール。」
「……お前は、誰だ?」
その瞬間、ヘルムートの容赦ない攻撃が開始された。
トールはイゾルテを解除し、音速で鎖をかわす。
スカーレットは目にもとまらぬ速さで、ラリーの腕をつかみ、その場から離れた。
ヘルムートは後を追わなかった。
「逃げ足の速いやつらめ。」
ヘルムートが忌々しくつぶやいた。
しかし。
ヘルムートが追えなかったのには理由がある。
スカーレットを相手に無傷で済む自信がなかった。
全くなかった。
「スカーレット。つくづく邪魔な女だ。」
「お前、俺のことを知っているのか。」
トールの直球の問いかけ。
スカーレットは笑う。
「前置きの無いところとか、全く変わらないのね。トール。」
「質問に答えろ。」
「知っているわ。すごく昔からあなたのことを知っている。」
「……。」
「あなたの過去をとてもよく知っている。」
「……俺は自分の記憶すら無いのに?」
「無い方がいい記憶よ。私もあなたに伝えるつもりはない。クロラで楽しく生きているなら、それでいいと思うし。」
「クロラにいるということは、テスとは残念なつながりがあるんだろうな。それは覚悟してる。」
「テスとつながりがあるどころじゃないわよ。知らないほうがいいわ。」
「……。」
「まあ、とりあえず、私はあなたを守るためにいるから。ここからは合流しましょう。」
「……合流って、お前テスたよな?」
「関係ないわ。クロラの動向を知りたかったからテスにいただけよ。」
「お前が俺の味方だっていう証拠は。」
「ないわ。」
「……だからといって、この場で振り切って逃げられる相手でもないよな。」
「ラリーを連れて、私から逃げることは不可能だと思うわ。」
「俺に選択権は無いということだよな。」
「ええ。」
「……ラリーはテスに戻るつもりか?」
「ああ。」
「やっぱりお前、テスにいろよスカーレット。」
「……ラリーを守れとかいうのかしら?」
「その通りだ。ヘルムートはラリーと俺のつながりは隠しておきたいみたいだし、自分から報告することはないだろうからテスには入れるだろ。だが、隙を見てラリーを消そうとするはずさ。スカーレット、お前の力なら、ヘルムートからラリーを守れるんじゃないか?」
「好き勝手なこと言ってるわね。」
スカーレットはそう言いながらも、約束してくれた。
そしてトールはスカーレットが自分の要求を納得してくれるという確信があった。
なぜなのだろう。
何者かわからないスカーレット。
だが、心の底でスカーレットを信頼している自分自身に驚く。
トールは今まで以上に自分のことが良くわからなかった。
「トール。お前、俺を許してくれるか。」
ラリーは、深呼吸をしてトールに向き合って言った。
「そりゃ、俺のセリフだ、ラリー。」
「……お前いい奴すぎるだろう。」
「お前もいい奴だよ。」
「……また会ってくれるか?」
「こっちからお願いしたいくらいだよ。」
その言葉を聞いて、ラリーは美しく笑った。
その笑顔、どこかで見たことがあったように感じる。
いつなのか、どこでなのか……全くわからないが。
「とはいえ、ヘルムートの逆鱗に触れたのは事実。左遷だろうな。」
物陰から姿を現したテルーの言葉。
トールはため息をつく。
「お前のしていることはノゾキだぜ。」
「お前の危機に駈けつけたんだよ。」
「の割には、本当に危機だった時に出てこなかったじゃねえかよ。」
「クロラ最強のトール様なら大丈夫だと信じたんだよ。」
「トップに報告するか?かまわねえぜ、俺は。」
「こわいこと言うなよ。トップはお前を信頼している。僕が報告したところで考えを変えることはないよ。」
「じゃあ、なんのためにお前は尾行してるんだ?暇なのか?」
「ああ。暇なんだよ。」
「……ふん。」
トールは聞いたことのある名前のような気がした。
しかし、全く思い出せない。
「なぜお前がラリーとトールをかばう?意味がわからねえ。」
ヘルムートは眉をしかめた。
スカーレットと呼ばれた女性は笑った。
口元のほくろが妖艶な美しい女性だ。
「私、トールを守るために生きているから。」
「は?」
「久しぶりね。トール。」
「……お前は、誰だ?」
その瞬間、ヘルムートの容赦ない攻撃が開始された。
トールはイゾルテを解除し、音速で鎖をかわす。
スカーレットは目にもとまらぬ速さで、ラリーの腕をつかみ、その場から離れた。
ヘルムートは後を追わなかった。
「逃げ足の速いやつらめ。」
ヘルムートが忌々しくつぶやいた。
しかし。
ヘルムートが追えなかったのには理由がある。
スカーレットを相手に無傷で済む自信がなかった。
全くなかった。
「スカーレット。つくづく邪魔な女だ。」
「お前、俺のことを知っているのか。」
トールの直球の問いかけ。
スカーレットは笑う。
「前置きの無いところとか、全く変わらないのね。トール。」
「質問に答えろ。」
「知っているわ。すごく昔からあなたのことを知っている。」
「……。」
「あなたの過去をとてもよく知っている。」
「……俺は自分の記憶すら無いのに?」
「無い方がいい記憶よ。私もあなたに伝えるつもりはない。クロラで楽しく生きているなら、それでいいと思うし。」
「クロラにいるということは、テスとは残念なつながりがあるんだろうな。それは覚悟してる。」
「テスとつながりがあるどころじゃないわよ。知らないほうがいいわ。」
「……。」
「まあ、とりあえず、私はあなたを守るためにいるから。ここからは合流しましょう。」
「……合流って、お前テスたよな?」
「関係ないわ。クロラの動向を知りたかったからテスにいただけよ。」
「お前が俺の味方だっていう証拠は。」
「ないわ。」
「……だからといって、この場で振り切って逃げられる相手でもないよな。」
「ラリーを連れて、私から逃げることは不可能だと思うわ。」
「俺に選択権は無いということだよな。」
「ええ。」
「……ラリーはテスに戻るつもりか?」
「ああ。」
「やっぱりお前、テスにいろよスカーレット。」
「……ラリーを守れとかいうのかしら?」
「その通りだ。ヘルムートはラリーと俺のつながりは隠しておきたいみたいだし、自分から報告することはないだろうからテスには入れるだろ。だが、隙を見てラリーを消そうとするはずさ。スカーレット、お前の力なら、ヘルムートからラリーを守れるんじゃないか?」
「好き勝手なこと言ってるわね。」
スカーレットはそう言いながらも、約束してくれた。
そしてトールはスカーレットが自分の要求を納得してくれるという確信があった。
なぜなのだろう。
何者かわからないスカーレット。
だが、心の底でスカーレットを信頼している自分自身に驚く。
トールは今まで以上に自分のことが良くわからなかった。
「トール。お前、俺を許してくれるか。」
ラリーは、深呼吸をしてトールに向き合って言った。
「そりゃ、俺のセリフだ、ラリー。」
「……お前いい奴すぎるだろう。」
「お前もいい奴だよ。」
「……また会ってくれるか?」
「こっちからお願いしたいくらいだよ。」
その言葉を聞いて、ラリーは美しく笑った。
その笑顔、どこかで見たことがあったように感じる。
いつなのか、どこでなのか……全くわからないが。
「とはいえ、ヘルムートの逆鱗に触れたのは事実。左遷だろうな。」
物陰から姿を現したテルーの言葉。
トールはため息をつく。
「お前のしていることはノゾキだぜ。」
「お前の危機に駈けつけたんだよ。」
「の割には、本当に危機だった時に出てこなかったじゃねえかよ。」
「クロラ最強のトール様なら大丈夫だと信じたんだよ。」
「トップに報告するか?かまわねえぜ、俺は。」
「こわいこと言うなよ。トップはお前を信頼している。僕が報告したところで考えを変えることはないよ。」
「じゃあ、なんのためにお前は尾行してるんだ?暇なのか?」
「ああ。暇なんだよ。」
「……ふん。」
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