12 / 18
1 瑠璃紺の章
スカーレットの大切なもの。
しおりを挟む
「トールっっっっっっ!!!!!」
自分を呼ぶ大きな声。
地底の前に、20メートル下にあった高速道路に落下しそうになっていたトールを、スカーレットがかかえ、上昇した。
「スカーレット、なんでここに……っ!ラリーはっ!」
「無事送り届けたわよ。こんなこともあろうかと、すぐに戻ってきたってわけ。」
そして、すぐにヘルムートからの攻撃が2人を襲う。
「……スカーレット。お前も消えたいらしいな!」
「消えるのはあんたよ!」
スカーレットの言葉とほぼ同時に、ヘルムートの体に大きな衝撃が走った。
「いてぇえええええ!!!!」
ヘルムートの品の無い叫び声。
「戦っている相手のイゾルテから目を離すなんて、馬鹿なやつだ!」
トールの言葉。
そう。
ヘルムートが2人めがけて2本の鎖を放ったことで、タイヤに巻きアルテミスの動きを封じていた鎖がなくなった。
トールはすかさずアルテミスにK波を送り、攻撃させた。
アルテミスに体当たりをされたヘルムートはその勢いで、線路の外に放り出された。
そして、運が良いのか悪いのか、連絡通路に激突せずに地底へと落下していった。
「ラリーが、早くトールのところに行けって。」
「そうか。」
「いいお友達ね。」
「ああ。」
線路で大暴れしていたため、遠くからこちらに向かうサイレンが聞こえる。
鉄道会社が通報したのだろう。
「これで、私も本格的にテスには戻れないわ。今の様子は線路の監視カメラに撮られてる。テスに筒抜け。」
「……。」
「クロラにお邪魔したいわ。」
「トップに聞いてみてからだな。」
「ええ。」
「お前の素姓も知りたいし、俺の過去も知りたい。」
「私の素姓は、テスの地底治安維持隊。ただそれだけ。トールの過去は、私からは伝えられないわ。」
「どういうことなんだよ、それ。」
「そういうルールなのよ。」
「ルール?」
「ええ。まあ、そんなことより、ラリーはもう飛行機に乗ったかしら。」
「……話をはぐらかしたな。」
トールはそう言いながら、空を見上げた。
いくつもの通路や線路、高速道路で空はあまり見えない。
「元気でな、ラリー。」
トールはつぶやいた。
***
搭乗口で、アナウンスを待つラリー。
手には、ラズベリーのオードトワレ。
「今生の別れじゃないんだけどな。やっぱりさびしい。」
ラリーは、空港から見える空に視線を移した。
適合者が支配する東京。
そして、その支配に対立するクロラ。
その中で、クロラとはいえメリット・デメリットで測れない友達ができたことは宝だ。
「また、戻ってくる。待ってろ、東京。」
日が暮れるころには研究所に到着する予定だ。
瑠璃紺の広がる夜空に、星が美しく広がっているのだろう。
それは、新しい戦いの始まりだ。
自分を呼ぶ大きな声。
地底の前に、20メートル下にあった高速道路に落下しそうになっていたトールを、スカーレットがかかえ、上昇した。
「スカーレット、なんでここに……っ!ラリーはっ!」
「無事送り届けたわよ。こんなこともあろうかと、すぐに戻ってきたってわけ。」
そして、すぐにヘルムートからの攻撃が2人を襲う。
「……スカーレット。お前も消えたいらしいな!」
「消えるのはあんたよ!」
スカーレットの言葉とほぼ同時に、ヘルムートの体に大きな衝撃が走った。
「いてぇえええええ!!!!」
ヘルムートの品の無い叫び声。
「戦っている相手のイゾルテから目を離すなんて、馬鹿なやつだ!」
トールの言葉。
そう。
ヘルムートが2人めがけて2本の鎖を放ったことで、タイヤに巻きアルテミスの動きを封じていた鎖がなくなった。
トールはすかさずアルテミスにK波を送り、攻撃させた。
アルテミスに体当たりをされたヘルムートはその勢いで、線路の外に放り出された。
そして、運が良いのか悪いのか、連絡通路に激突せずに地底へと落下していった。
「ラリーが、早くトールのところに行けって。」
「そうか。」
「いいお友達ね。」
「ああ。」
線路で大暴れしていたため、遠くからこちらに向かうサイレンが聞こえる。
鉄道会社が通報したのだろう。
「これで、私も本格的にテスには戻れないわ。今の様子は線路の監視カメラに撮られてる。テスに筒抜け。」
「……。」
「クロラにお邪魔したいわ。」
「トップに聞いてみてからだな。」
「ええ。」
「お前の素姓も知りたいし、俺の過去も知りたい。」
「私の素姓は、テスの地底治安維持隊。ただそれだけ。トールの過去は、私からは伝えられないわ。」
「どういうことなんだよ、それ。」
「そういうルールなのよ。」
「ルール?」
「ええ。まあ、そんなことより、ラリーはもう飛行機に乗ったかしら。」
「……話をはぐらかしたな。」
トールはそう言いながら、空を見上げた。
いくつもの通路や線路、高速道路で空はあまり見えない。
「元気でな、ラリー。」
トールはつぶやいた。
***
搭乗口で、アナウンスを待つラリー。
手には、ラズベリーのオードトワレ。
「今生の別れじゃないんだけどな。やっぱりさびしい。」
ラリーは、空港から見える空に視線を移した。
適合者が支配する東京。
そして、その支配に対立するクロラ。
その中で、クロラとはいえメリット・デメリットで測れない友達ができたことは宝だ。
「また、戻ってくる。待ってろ、東京。」
日が暮れるころには研究所に到着する予定だ。
瑠璃紺の広がる夜空に、星が美しく広がっているのだろう。
それは、新しい戦いの始まりだ。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる