題名「見えない魔女をつかまえるはなし」

中村翔

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秋と私ちゃん

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かちっかちっ!

私「火ーつかないかー」 
にゃーにゃー
私「焼き芋やけたかにゃー?」
私「まだであります!隊長どの!」
私「そうか!引き続き頑張ってくれたまえ」
私「はぁー。なにが魔女だ・・・」 

私こと魔女探し隊隊長(仮)は魔女が出ると
噂の広い湿地帯に出向いている。
しかし噂では”火事”が起こったときに
姿をあらわして願いをかなえるというものだった。
しかし当然ながら枯れ木もない家など遠い
つまりデマなわけだったってことだ
しかしここで帰ったとなれば隊長(仮)の名折れ!
なわけではないけれどとにかく火を起こして火事に
”みせかければ”いい。
私「魔術の本に書いてあったっけ。魔術の本髄は
世界を”だます”ことにありって」
ふー。息を吐きながらでも思うことは同じ
(詐欺師最強説!)

実際その手の世界に詐欺は多いらしい
なんでも半端ものは割を食う。らしい
にゃーにゃー

私「隊長......もうだめであります......」
私「馬鹿かニャー。隊長は貴様ではないかニャー」
私「はっ!そうかそうだったつまり......
いつやめようと私の勝手ってことさ!」 
火打石なのかもわからない白い石を地平線の彼方へ
放り投げ帰宅する意思をかためた私ちゃんだった。

私「ただいまー。」
私「おかえりー。」 
私「ご飯にする?それともお風呂?そ・れ・と・も私?」
いってから気づいた。私お風呂もご飯も用意してないじゃん・・・
私「レンチンしか勝たん!」
最近話題に上ったアニメの台詞を吐いた
チン!
私「さて、できたか」
私は天涯孤独のマイレディ・・・とはいかない
実際両親はいないし友達もいない
しかしてその実態は!
・・・拾われたのだ。
ある男に。
そう!忌まわしきその名は!

「うん?帰ってたのか」

私「あっ!秋!」
秋「呼び捨てはやめなよ?一応家主だからね?」
私「ですが、秋は秋で・・・」
秋「はいはい。からあげあったかな・・・」

そう!この方こそ秋!
なんと季節の名を冠し”終わることのない秋”
をもたらした救世主様なのだ!
すべてを語るにはまだ早い・・・そういうことだ。
私「秋のからあげをください!」
秋「あっためれば?まだ2個残ってたよ」
私「秋~。最近の秋は寒いです~!」

これは私たちにだけ通じる冗談である
秋は寒い季節。秋が冷たくすることを”さむい”という
秋「そうだ。明日の弁当代そっち持ちだからね」
私「!!。そ、そんな!お代官様・・・税が厳しゅうございます!」
秋「私ちゃん。」

秋が急に真面目なオーラをだしてきた

秋「僕が私ちゃんを引き取るときにした約束覚えてるよね?」
私「もちろん!三食昼寝つき家賃は払わなくていい!」
秋「・・・」
私「・・・その代わり食費の半分を働いて出す。
それが最大限の譲歩。だったよね」
秋「わかってるんならいいんだ。学生でもアルバイトはできるからね」
私「あ、秋。でさ?いつもの”あれ”やってほしいんだけど・・・」
私「いやだったらいいんだよ・・・!?でも私もお年頃、だからさ?」
秋「しかたないな。最大限の譲歩。にこれを含むって
詐欺まがいのことするくらいだから私ちゃんは中毒だな」
秋「じゃあ隣の部屋で。いつもどおりに。」
私「コクッコクッ!」頷く

秋「はあーさてと次の患者さんは、
私ちゃんかー私ちゃん入っていいよ」
私「は、はい・・・」
秋「今日はどうなされましたか?」
私「はい・・・胸にキムチが刺さってる感覚がありまして」
秋「ふむふむ」
私「これは命にかかわる重大なしっぺーが
隠されてるのではないかと不安になり来た次第です・・・」
秋「では心臓に異常がないか音を聞いてみます。いいですか?これは治療
ですくれぐれも勘違いしてはいけませんよ」
私「はい。」

私は目を閉じてその聴診器に意識を馳せた
聴診器が体の熱を奪っていくのがありありとわかる
聴診器は一度音を聴いた場所をもう一度聴くことはない
その一期一会の感覚に酔いしれる
聴診器が一巡し終わると

秋「ふー。異常ありませんでしたおつかれ」
私「・・・」
私の体温が高くなっている
秋だというのに汗までかいている
私「でもうれしかった。秋の
その銀色に輝く触手で蹂躙されるなんて・・・」
秋「お薬出しときますね」
私「そういえば秋さ?」
秋「なんですか?座薬はまた今度にしてください」
私「ううん。そうじゃなくて。今日のアルバイトの内容聞いてる?」
秋「いや。きいてないよ」
私「デスヨネー」


秋に知られないことはわかってる
でも不安なんだ
秋が壊れることなんてないよね・・・?

ジー。ジジっ。ジー。

映写機が秋の映像を映してる

『では秋ちゃんはこれから起きる結末を知ってるのかい?』
『―――ーーー―――』
『そうかいなら教えてくれないか?なぜ―――』

私たちは滅びなければならないのかを―――

ジジッ!ジー。

映写機が違う場面を映す
『指圧?そうだね。指圧によって一時的に
体温が上がる場合がある。
それはつぼを押すことによるものではないと
されている。つまりなにか?それは気による
ものだとされている。君の身元引受人。
ええーとなんだったか。その人が気を使って傷を治した?
ははは。冗談はよしてくれ。でもそれがもし本当なら
・・・解剖してみる価値はありそうだ。
ははっ。もしもの話だよ。』

ジー。ガタッ!
なぜこんなことをしてしまったのだろう
なぜ人は悔いて過ちを認めることを拒むのだろう
今は永遠に終わることのない秋
つまり生き物が死せる大地なのだ
私だって無事でいられなかっただろう
彼に元気を分けてもらってテンションを
無理やりにでも高く保って
ぎりぎりのところで踏み止まっていたんだ
しかしもはや彼に元気を貰うのは難しいだろう
真実を知って、あの部屋からでた彼が知ったのは
絶望だけだった

『ねえ・・・やめよう?秋。外のことなんて知らん振りしちゃえ』
『だめなんだ。僕たち二人だけ生きてるのが事実かを確かめないと』
『もし。もしだよ?それで秋が壊れちゃったら私・・・』
『なら退いて欲しい。』
『・・・』
秋が外に出る


その先に広がっていた景色は―――
―――真っ赤な雪が降るだけの一面の大海原でした。

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