シロナガスクジラとクラゲの王様

木野葉ゆる

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ハグの日?クジラの日?

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 俺は白永克也しろながかつや。高校二年になった。王野海斗おうのかいとさんとは恋人同士だ。
 海斗さんは高校教師。夏休みも関係なしに仕事がある。だから、俺達が会えるのは土日だけ。今週の土曜日も、俺は海斗さんの部屋に泊まっていた。
 最近、海斗さんは、フワフワの毛のついた手錠を俺につけさせたり、柔らかい皮のチョーカーをプレゼントしてくれたりする。ごくごく軽いSM? なプレイを試したりしている。普通のエッチも好きだけれど、ちょっとしたプレイも、俺は嫌いじゃない。
 それはともかく、日曜日の朝だ。8月9日。昼には家に帰らなければならない。早く海斗さんを起こさないと、二人で過ごす時間がなくなっちゃう。


「海斗さん、朝ご飯出来たよ。起きて」
 
 キッチンでベーコンエッグを作って、トーストを焼いて、コーヒーを入れた。寝室に行って、声を掛けると、海斗さんは起きていた。

「シロ君、おはよう。こっち来て」

 海斗さんに呼ばれて近くによると、抱きしめられた。

「今日、ハグの日なんだって。8月9日だから。それから、毎月9日はクジラの日なんだって。今日はシロ君を抱きしめる日ってことだね」
 
 俺は、シロナガスクジラってハンドルネームで出会い系サイトで海斗さんと知り合った。だから、シロナガスクジラのシロ君って呼ばれてる。

「海斗さん、ハグは嬉しいけど、朝ご飯冷めちゃうよ?」
 
 ちょっと名残惜しいけど、俺はそう言って、海斗さんの腕をポンポンと叩いた。

「そうだね。じゃあ、朝ごはん食べ終わったら、お昼までずっとシロ君を抱き締めていてあげる」
「……そんなの、ハグだけで済むわけない……」
「ん? シロ君、ハグだけじゃ物足りないって?」
「そんなこと言ってません!! もう、いいから朝ご飯!!」

 俺と海斗さんは、少し冷めた朝ご飯を食べて、そして、たくさんハグもして、それから……。
 
 終電近くの電車で帰宅することになったのは、俺のせいじゃない。 
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