奴隷鬼の少女とやさしい黒騎士

志人

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進章: 崩壊造鉄都市 アマノマ

壱話:天目の門前

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1

「それで、向かっている町はどんなとこだ?」

馬車で次の町に向かっている中、馬車は休憩を挟んでいた。
私は外にでて伸びをするきにはなれず、それを気遣ってかアスラも狭い馬車の中にいる。

「造鉄都市の天目アマノマというところ」

アスラが言うには、天目とは海に面したタタラ場(鉄をつくる所)でこの日の国一番のおおきさをほこるらしい。

歴史は古く五百年前、鬼ヶ島に攻め込む前にこの天目で武器や防具を作ったのだという。
タタラ場だから鉄の材料が取れるのだ。
ここで軍備を備えたから人間の国がつくれた載だ。

そしてこの町には
鬼は出入り禁止なのだという。

鬼が来れば鉄が穢れるから。
まぁ、人間の町に入りたいとは思わないから、少し安堵する。でもアスラは入るのだろうか。私をほってこの町に買い出しにいくのだろうか。そりゃ行くだろう。安堵より不安が大きくなってしまった。

すると外から 
「旦那もうじき出発するぞ。」
と奴隷商人が外から声をかける。
私はその声に酷くびっくりする。
「そうですか。わざわざありがとうございます」
アスラの声を聞けば私は安心できる。

「旦那は随分と鬼と仲がいいんだな。あんまり鬼に肩入れしちまうと、後悔することになるぞ」

奴隷商人が耳障りな声でアスラにそう伝える。

「まぁ、旦那が奴隷とどういう関係を築くかは勝手だがね」

奴隷商人はそう言い放って馬車の先頭に向かう。

・・・アスラは私を助けたことを後悔するのか?そんなことアスラに聞けるはずもなく、馬車は走り出した。

2

「なんだいこりぁ・・・」
奴隷商人は立ち尽くす。
アスラは現状を馬車にでて確認する。
私は怖くて馬車で縮こまる。


「事故かなんかか?なんでタタラ場が燃えてるんだ・・・」
奴隷商人は動揺を隠しきれない。隠してないが
時間は夜。タタラ場を燃やす火が暗闇を照らす。

「くそっ!ここで食料を補給しようと思ってたのによ!」

奴隷商人が土を蹴るのが解る。

「真心」

「ひゃあっ!」
いきなりアスラが声をかけてきたのでびっくりする。

「驚かせでごめん。悪いけど、ちょっと見てくる。朝には戻るからそれまでここで待ってて欲しい」

独りで?この馬車に?そんなのとてもじゃないけどできはしない。だが、あの火災の原因をアスラは調べたいのだろう。この後の身の安全の為にも。

「そ、それはできん!」

「頼むよ。あの街で何があったのかを確かめてなきゃいけない。」

「わ、私も連れていけ・・・」

「それは出来ないんだ。あの街に鬼が入ると、住人が総出で殺しにくる。俺は真心を守りきれるけど、できるだけ荒事は起こしたくない」

「鞄に私を入れていけ!」

「えっ?」

3

アスラの鞄の生身を全て出し、その中に私は丸まって入る。アスラに貰った黒い毛布を羽織っていては中に入りきらないから、あのボロ布の姿で鞄にようやく収まる。

「本当にするの?」

「駄目?迷惑はかけないから・・・」

「できればここにいて欲しいけど・・・解った。真心はできるだけ近くで護りたいからこれもいいかも」
「そういうことをサラッと言うな・・・」
「ん?ごめんなんか言った?」
「何にも言っていない!さっさと行くぞ!」
「あ、うん。それと鞄の中では喋らないこと、バレるから」
「解っている。さっさと閉めろ」

そうしてアスラは鞄の紐をくくる。鞄の中には月の光すら届かなかった。

4

街の門で、アスラは門番と話をしている。
私はその会話に耳をたてて聞いていた。

「何があったんですか?」  

「余所者か?どっちにしろ中には入らない方がいい・・・賊が入ったのだ」

「賊?」

「ああ、その賊を久和原様が追い払われた」

「久和原様はご無事なのですか?」

クワハラとは誰だろう。多分侍の偉い人間なのだろう。そのクワハラとかいう奴をアスラは知っているのが気にかかった。

「当たり前だ。久和原様が賊こどきにやられるものか・・・!」

門番の男は(見えないが)熱くそう言い放つ。

「そうですか、それは良かった。それで入れて貰いたいのです」
「・・・貴様話を聞いていたか?」

「実は・・・ここには病を治しに来たので・・・す。」

いきなりアスラの声がくぐもった。

「うぅ・・・ここには・・・病を治す薬が常備されていると聞きました。うぅ・・・けほけほ」

「なんだ貴様本当に体調が悪そうだぞ!」

「はい、ここには病を・・・治しに来たのです。早くしないと・・・もう・・・」

そこからぐだくだ。
けぼっとアスラが吐いたのが信憑性あったのか、30分ぐらいで街の中に入れてもらえた。

5

入った途端アスラがよろめく。
「大丈夫か!?」と言いそうになるが、声はだしてはいけない。

「大丈夫だよ・・・ちょっと・・・うえっ・・・しんどいだけ・・・だから・・・」

今の私に言ったよな?
返事していいのだろうか

「俺さ・・・嘘をつくと・・・その罪悪感からか・・・しんどくなっちゃうんだよ・・・うえっ!」

・・・は?

「あんなに長い時間嘘を吐き続けたのは初めてだから・・・すぐに良くなるよ。」

こいつとんでもなく馬鹿なんじゃないだろうか。
笑い声をぐっと堪えた。


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