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タウンハウスの訪問者
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春の嵐のような女。
颯爽と帰るウィロウに、抱きたくもない情報提供の感謝と、他人の怒りに火を着け吹き散らかし燃やすだけ燃やして。
これから開催する茶会のモチベーションまで攫って行ってしまったのだから。
先ほどの会話を壁際で終始聞いていた侍女が、見送りから戻ってきて不安そうな声で報告する。
「お嬢様……ウィロウご令嬢様のお見送りを致して参りました」
「ありがとう。私は大丈夫だから心配しなくていいのよ」
「……失礼致しました」
「それより見ていたでしょう? 私の茶会がどのようなものか値踏みして、自分はそれ以上の会を開いてお得意のマウントを取るつもりよ。だから同族嫌悪なんじゃないの」
呆れたように息を吐き「嫌だ、嫌だ」と緩く頭を振って、気持ちを無理矢理に切り替えた。
「さて、時間まで後どのくらいかしら?」
「お時間まで三十分ございます」
「悪いけど。ここを片付けて新しいティーセットを用意して頂戴」
「かしこまりました」
すぐに部屋は何事もなかったように整えられ、時間になると正式に招待した令嬢たちが次々に訪問する。
エマはその一人一人に丁寧な挨拶と言葉を掛けて歓迎した。
色とりどりのドレスがテーブルを囲い、約三時間程度の談笑を楽しむ。
体調不良で欠席したウィロウが、一応のお詫びとして置いて行った手土産の菓子は、癪だが意外にも令嬢たちから好印象で会話を盛り上げたのだった。
見送りを終えパーラーに戻ってくると、一人の令嬢がマナーの見本のような姿勢と所作でカップに口を付けている。
「お待たせ、アイヴィー」
「今日はお疲れ様でした、エマさん」
淀みのない清らかな笑みと、砕けた口調で優しく労う少女。
彼女こそが本日の主賓ゲストであるアイヴィー子爵令嬢だ。
ウィロウが聖女と謳われるのならば、アイヴィーは女神である。
誰彼構わず婚約の申し出が届くのではなく、その凛とした気高さと美貌から、名だたる名家の嫡男がこぞって手を取って欲しいと申し出るのだから。
しかし本人は「家は特筆した家柄でもありませんので」と控えめな性格で、あまり異性と話そうとしないことから、王国屈指の高嶺の花と称され。
成人の義を終えた彼女が舞踏会に参加することを心待ちにする男性は数しれずにいるのだとか……。
エマも思わず見惚れてしまう。
艶やかで真っ直ぐな髪をハーフアップでさらりと腰までおろし、落ち着いた色合いのドレスが彼女の気品の高さを助長している。
仕草一つ取っても完璧なので、家庭教師からも「彼女をお手本に致しなさい」と言われるほど。
令嬢からの評価も高く、もしかしたら素晴らしい縁を手繰り寄せるかもしれないと。連日引っ張りだこな彼女とは、以前から懇意にしている仲だ。
「ごめんなさいね、お忙しいでしょう?」
「お気になさらないで下さい、こちらがお時間をいただきたいと申し出たのです。何せそぐわない手土産を別でお持ちしましたので」
「ウィロウから貰った物ときっと同じね」
「まあ、ウィロウ様が……やっぱりお二人は喧嘩するほどと言いましょうか……」
「アイヴィーお菓子はいかが?」
「ふふ、いただきます」
颯爽と帰るウィロウに、抱きたくもない情報提供の感謝と、他人の怒りに火を着け吹き散らかし燃やすだけ燃やして。
これから開催する茶会のモチベーションまで攫って行ってしまったのだから。
先ほどの会話を壁際で終始聞いていた侍女が、見送りから戻ってきて不安そうな声で報告する。
「お嬢様……ウィロウご令嬢様のお見送りを致して参りました」
「ありがとう。私は大丈夫だから心配しなくていいのよ」
「……失礼致しました」
「それより見ていたでしょう? 私の茶会がどのようなものか値踏みして、自分はそれ以上の会を開いてお得意のマウントを取るつもりよ。だから同族嫌悪なんじゃないの」
呆れたように息を吐き「嫌だ、嫌だ」と緩く頭を振って、気持ちを無理矢理に切り替えた。
「さて、時間まで後どのくらいかしら?」
「お時間まで三十分ございます」
「悪いけど。ここを片付けて新しいティーセットを用意して頂戴」
「かしこまりました」
すぐに部屋は何事もなかったように整えられ、時間になると正式に招待した令嬢たちが次々に訪問する。
エマはその一人一人に丁寧な挨拶と言葉を掛けて歓迎した。
色とりどりのドレスがテーブルを囲い、約三時間程度の談笑を楽しむ。
体調不良で欠席したウィロウが、一応のお詫びとして置いて行った手土産の菓子は、癪だが意外にも令嬢たちから好印象で会話を盛り上げたのだった。
見送りを終えパーラーに戻ってくると、一人の令嬢がマナーの見本のような姿勢と所作でカップに口を付けている。
「お待たせ、アイヴィー」
「今日はお疲れ様でした、エマさん」
淀みのない清らかな笑みと、砕けた口調で優しく労う少女。
彼女こそが本日の主賓ゲストであるアイヴィー子爵令嬢だ。
ウィロウが聖女と謳われるのならば、アイヴィーは女神である。
誰彼構わず婚約の申し出が届くのではなく、その凛とした気高さと美貌から、名だたる名家の嫡男がこぞって手を取って欲しいと申し出るのだから。
しかし本人は「家は特筆した家柄でもありませんので」と控えめな性格で、あまり異性と話そうとしないことから、王国屈指の高嶺の花と称され。
成人の義を終えた彼女が舞踏会に参加することを心待ちにする男性は数しれずにいるのだとか……。
エマも思わず見惚れてしまう。
艶やかで真っ直ぐな髪をハーフアップでさらりと腰までおろし、落ち着いた色合いのドレスが彼女の気品の高さを助長している。
仕草一つ取っても完璧なので、家庭教師からも「彼女をお手本に致しなさい」と言われるほど。
令嬢からの評価も高く、もしかしたら素晴らしい縁を手繰り寄せるかもしれないと。連日引っ張りだこな彼女とは、以前から懇意にしている仲だ。
「ごめんなさいね、お忙しいでしょう?」
「お気になさらないで下さい、こちらがお時間をいただきたいと申し出たのです。何せそぐわない手土産を別でお持ちしましたので」
「ウィロウから貰った物ときっと同じね」
「まあ、ウィロウ様が……やっぱりお二人は喧嘩するほどと言いましょうか……」
「アイヴィーお菓子はいかが?」
「ふふ、いただきます」
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