強がりな逢瀬

さとう涼

文字の大きさ
1 / 5

強がりな逢瀬(1)

 男がわたしの服をめくりあげ、素肌を撫でていた。
 やがてブラジャーのカップの隙間から入り込んだ左手が胸のふくらみを包み込み、揉みはじめる。右手は背中にまわり、ブラジャーのホックをはずすところだった。

 ほんと、器用。

 ブラジャーをはずすのは、女のわたしよりもうまいんじゃないかと思う。
 ホックは見事に一発ではずれ、ブラジャーをずらすと、待ち焦がれたように男は胸の谷間を目がけて顔を埋めた。
 無防備になった両胸をひと揉みすると、胸の中心に唇を寄せ、吸い上げる。ぞわりとした感覚に、わたしの背中は弓なりになった。

 今日はシャワーを浴びさせてもらえなかった。
 ふたりでベッドになだれ込むと、久しぶりだから我慢できないこのままやらせてと、男は上着を脱いでネクタイをゆるめたからだ。
 戸惑う暇もないまま、腕が伸びてきて、荒っぽく唇をふさがれ、抱きしめられた。

 赤い合成皮革のソファと白い家具が置かれた可愛らしい雰囲気のここは、わたしの部屋ではない。もちろん男の部屋とも違う。
 勤めている会社からだいぶ離れた場所にあるラブホテルだ。
 ダブルベッドの上で見慣れない天井を眺めていると、言い知れぬ不安に襲われる。
 いつもそうだ。いつもこの瞬間、自分の価値というものを考える。

「ねえ、わたしのどこが好き?」

 胸への愛撫を受けながら尋ねると、目の前の男は迷わずに答えた。

「顔」
「あとは?」
「うーん、身体かな。特に脚が好きかも」
「なにそれ?」
「いいだろう、好きなんだから」
「顔って……。それって本当に好きってこと?」
「もちろん。だって顔を見るたびに愛おしいと思うんだから、それはそういうことだろう?」

 片方の手のひらが、今度は太ももをまさぐりはじめた。触りやすいように脚を動かして膝を曲げてあげると、満足げに口角を上げた。
 さっきよりも自由に動きまわる手のひら。ストッキングの上からなので素足のときとは違う感触がする。

「やだ、くすぐったいって」
「じっとしてて」

 脚も好きだというこの男はそう言うと、とろんとした目でわたしを見つめ、つま先から太ももまでをいやらしく撫でた。
 だけどすぐに、「やっぱりナマがいい」と言い出す。
 身体を起こすと、わたしのスカートのなかに手を入れて、ストッキングをするすると脱がせた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

抱きしめて

麻実
恋愛
夫の長期に亘る不倫に 女としての自信を失った妻は、新しい出会いに飛び込んでいく。

【完結】ゆるぎとはな。

海月くらげ
恋愛
「せんせえ、もうシよ……?」 高校生の花奈と、聖職者であり高校教師の油留木。 普段穏やかで生徒からも人気のある油留木先生。 そんな男が花奈にだけ見せる表情がある。 教師×生徒 禁断TL小説

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

大事な人

ちえ
恋愛
大人向け恋愛小説

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。