強がりな逢瀬

さとう涼

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強がりな逢瀬(1)

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 男がわたしの服をめくりあげ、素肌を撫でていた。
 やがてブラジャーのカップの隙間から入り込んだ左手が胸のふくらみを包み込み、揉みはじめる。右手は背中にまわり、ブラジャーのホックをはずすところだった。

 ほんと、器用。

 ブラジャーをはずすのは、女のわたしよりもうまいんじゃないかと思う。
 ホックは見事に一発ではずれ、ブラジャーをずらすと、待ち焦がれたように男は胸の谷間を目がけて顔を埋めた。
 無防備になった両胸をひと揉みすると、胸の中心に唇を寄せ、吸い上げる。ぞわりとした感覚に、わたしの背中は弓なりになった。

 今日はシャワーを浴びさせてもらえなかった。
 ふたりでベッドになだれ込むと、久しぶりだから我慢できないこのままやらせてと、男は上着を脱いでネクタイをゆるめたからだ。
 戸惑う暇もないまま、腕が伸びてきて、荒っぽく唇をふさがれ、抱きしめられた。

 赤い合成皮革のソファと白い家具が置かれた可愛らしい雰囲気のここは、わたしの部屋ではない。もちろん男の部屋とも違う。
 勤めている会社からだいぶ離れた場所にあるラブホテルだ。
 ダブルベッドの上で見慣れない天井を眺めていると、言い知れぬ不安に襲われる。
 いつもそうだ。いつもこの瞬間、自分の価値というものを考える。

「ねえ、わたしのどこが好き?」

 胸への愛撫を受けながら尋ねると、目の前の男は迷わずに答えた。

「顔」
「あとは?」
「うーん、身体かな。特に脚が好きかも」
「なにそれ?」
「いいだろう、好きなんだから」
「顔って……。それって本当に好きってこと?」
「もちろん。だって顔を見るたびに愛おしいと思うんだから、それはそういうことだろう?」

 片方の手のひらが、今度は太ももをまさぐりはじめた。触りやすいように脚を動かして膝を曲げてあげると、満足げに口角を上げた。
 さっきよりも自由に動きまわる手のひら。ストッキングの上からなので素足のときとは違う感触がする。

「やだ、くすぐったいって」
「じっとしてて」

 脚も好きだというこの男はそう言うと、とろんとした目でわたしを見つめ、つま先から太ももまでをいやらしく撫でた。
 だけどすぐに、「やっぱりナマがいい」と言い出す。
 身体を起こすと、わたしのスカートのなかに手を入れて、ストッキングをするすると脱がせた。
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