強がりな逢瀬

さとう涼

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強がりな逢瀬(3)

「いやらしいんだけど、ここ」
「やだ……。そんなふうに言わないで」

 恥ずかしがるわたしをおもしろがるように、男は固くなった花芽を今度は指でもてあそび、溢れ出る蜜を舌で絡め取った。
 下半身に甘い衝撃が走り、冷たい部屋にわたしの嬌声が鳴り響いた。
 それに気をよくした男がさらに攻め立ててくる。舌を器用に動かし、花芽を口に含んで転がした。

「いつもより感じてる?」

 男は顔を上げ、にやりと笑った。
 たしかに、今日はやけに感度がいい。二週間のお預けを食らって悶えていたのは男だけではなかったのだ。
 でもそれだけでは物足りない。

「ねえ、もう……」

 羞恥心はいつのまにか薄れていた。

「ん? なに?」

 男はわたしの気持ちを知りながら、わざとわからないフリをする。

「こんなときに、とぼけないで」
「いつも言ってるだろう、言葉にしないと伝わらないし、言ってもらったほうが男はうれしいんだって」

 男はわたしの身体を這いずり上がると、腰をぐっと引き寄せ、唇が触れるか触れないかほどの距離まで顔を近づけた。
 会社では穏やかな雰囲気で人に気遣いのできるいい人として通っているのに、こういうときだけまるで人が変わる。激しくて色っぽくて、とても意地悪。
 たぶん、言うまでしてくれない。

 でもそれって本当? 素直に言葉にしたら、願いを叶えてくれるの?

 ならいくらでも言うよ。

 わたしから離れていかないで。心も身体もそばにいて──。

 ひとりの夜はさみしくて、あなたがわたしじゃない別の誰かと一緒に過ごしているのかと思ったら、胸が張り裂けそうになる。
 苦しくて涙が止まらなくなるたびに、こんな恋をするんじゃなかったと思うのに、今さら自分を止められなくて、この地獄から抜け出せずにいた。

「ほら、早く言いなよ。時間、なくなっちゃうよ」

 男は、なおもわたしを追いつめる。仕方なく声に出した。

「お願い、続きをして。一緒に気持ちよくなりたいの」

 今のわたしにはこれが精いっぱい。自分のすべてをさらけ出すことはまだできない。大好きなのにどうしても躊躇してしまう。

 だってそうしてしまったら、自分を抑えられなくなってしまう。欲ばりになって、嫌われてしまうような気がしてならない。

「まあ、そこまで言えるようになったんだし、よしとするか」

 涙目のわたしに、男は渋々了承してくれた。
 だけどその割には男もだいぶ余裕がないらしい。冷静さを失い、焦るように進めてくるので反射的に腰が引く。

「動くなよ」
「あ、待って……。もっと、ゆっくり挿れて」

 今日は少し乱暴だった。
 いつもはもっと丁寧なのに。
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