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3.ふたりで過ごす日曜日
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日曜日になり、店の車で冴島社長の住むマンションに向かった。
いったいどんなタワーマンションに住んでいるのかと思ったら、意外にも四階建ての低層マンション。だけど見るからにセレブ専用という感じの高級感漂う外観で、出入口付近にはドアマンが立っている。
……だよね、一般人の住むマンションに住むわけないよね。
部屋を訪ねる前からどっと疲れが押し寄せた。
出入口の前に車を止め、ドアマンに配達の旨を告げると車を降りた。観葉植物を入れたダンボールを抱え、共用玄関で冴島社長を呼び出し、なかに入る。だけどエントランスホールにあるフロントの前を通ったら、女性のコンシェルジュに呼び止められた。
「春名様でいらっしゃいますね。ドアマンがお車を駐車場に移動いたしますのでキーをお預かりさせていただきます。春名様はあちらのエレベーターで四階へお上がりください」
冴島社長があらかじめコンシェルジュにわたしが来ることを伝えていたらしい。
わざわざ駐車場に移動するのか。でも宅配業者のように配達してすぐに帰るわけにいかない。簡単なメモは書いてきたけれど、水やりや肥料、剪定《せんてい》について軽く説明しなければならないので、コンシェルジュに従い、車のキーを預けた。
それからエレベーターで四階に上がり、いったんダンボールを床に置いて部屋のインターホンを押すと、「いらっしゃい」と冴島社長が迎えてくれた。
Tシャツとパンツ姿のラフな服装の彼は、どこか隙があって、スーツ姿のときよりも若く見える。
でも服のせいだけなのかな。まとっている雰囲気もいつも以上にやさしい気がするのは、今日が休日だからだろうか。
「持つよ」
再びダンボールを持ち上げようとしたらそれをさっと奪われた。
「ありがとうございます」
「こんなに重いの、よく持ってこられたね」
わたしが苦労して運んできたダンボールを軽々と持っている。
やっぱり男の人なんだな。すたすたと廊下を歩いていく。
「あの、水やりやお手入れの仕方なんですが……」
「そんなところに突っ立ってないで、上がりなよ」
冴島社長が振り向いて軽い感じで言う。
「いいえ、ここでけっこうです。簡単な説明なので、それほどお時間はかかりません。メモも書いてきました。もしわからなければ、お電話くだされば説明しますので」
エプロンのポケットからメモを取り出すと、見えるように差し出した。
「せっかく来たんだから、実物見ながら説明してよ。僕は春名さんのお店にとって上客だろう?」
「それはそうなんですが……」
やさしい雰囲気だなと思ったのも束の間、冴島社長は随所で微妙な権力を振りかざしてくるから油断ならない。でも最初から口頭で説明するつもりだったし、部屋に上がらないのも意識しすぎと思われてしまうかもしれない。
わたしが「おじゃまします」とスニーカーを脱ぐと、冴島社長がうれしそうに「どうぞ」と微笑んだ。
「座って待ってて。冷たいお茶でいい?」
「はい」
冴島社長はリビングの床の上にダンボールを置き、キッチンに入っていく。
当然そうなるわけだけれど。こんなすごい人にお茶を出してもらっていいのだろうか。彼を目で追いながら、わたしがやるべきじゃないかと悩んでしまった。
でも親しい間柄でもないのに、キッチンに入るわけにもいかず、おとなしくダンボールの横に正座した。
想像はしていたけれど、とてつもなく広いリビングだ。四十帖はゆうに超えるだろう。
パーティーなんかもできそうだ。L字型のソファも三十人は座れそうだし、大きな窓の向こうにはインナーバルコニーがあって、おそらく窓を開放して、リビングとひと続きになる造りなのだろう。
いったいどんなタワーマンションに住んでいるのかと思ったら、意外にも四階建ての低層マンション。だけど見るからにセレブ専用という感じの高級感漂う外観で、出入口付近にはドアマンが立っている。
……だよね、一般人の住むマンションに住むわけないよね。
部屋を訪ねる前からどっと疲れが押し寄せた。
出入口の前に車を止め、ドアマンに配達の旨を告げると車を降りた。観葉植物を入れたダンボールを抱え、共用玄関で冴島社長を呼び出し、なかに入る。だけどエントランスホールにあるフロントの前を通ったら、女性のコンシェルジュに呼び止められた。
「春名様でいらっしゃいますね。ドアマンがお車を駐車場に移動いたしますのでキーをお預かりさせていただきます。春名様はあちらのエレベーターで四階へお上がりください」
冴島社長があらかじめコンシェルジュにわたしが来ることを伝えていたらしい。
わざわざ駐車場に移動するのか。でも宅配業者のように配達してすぐに帰るわけにいかない。簡単なメモは書いてきたけれど、水やりや肥料、剪定《せんてい》について軽く説明しなければならないので、コンシェルジュに従い、車のキーを預けた。
それからエレベーターで四階に上がり、いったんダンボールを床に置いて部屋のインターホンを押すと、「いらっしゃい」と冴島社長が迎えてくれた。
Tシャツとパンツ姿のラフな服装の彼は、どこか隙があって、スーツ姿のときよりも若く見える。
でも服のせいだけなのかな。まとっている雰囲気もいつも以上にやさしい気がするのは、今日が休日だからだろうか。
「持つよ」
再びダンボールを持ち上げようとしたらそれをさっと奪われた。
「ありがとうございます」
「こんなに重いの、よく持ってこられたね」
わたしが苦労して運んできたダンボールを軽々と持っている。
やっぱり男の人なんだな。すたすたと廊下を歩いていく。
「あの、水やりやお手入れの仕方なんですが……」
「そんなところに突っ立ってないで、上がりなよ」
冴島社長が振り向いて軽い感じで言う。
「いいえ、ここでけっこうです。簡単な説明なので、それほどお時間はかかりません。メモも書いてきました。もしわからなければ、お電話くだされば説明しますので」
エプロンのポケットからメモを取り出すと、見えるように差し出した。
「せっかく来たんだから、実物見ながら説明してよ。僕は春名さんのお店にとって上客だろう?」
「それはそうなんですが……」
やさしい雰囲気だなと思ったのも束の間、冴島社長は随所で微妙な権力を振りかざしてくるから油断ならない。でも最初から口頭で説明するつもりだったし、部屋に上がらないのも意識しすぎと思われてしまうかもしれない。
わたしが「おじゃまします」とスニーカーを脱ぐと、冴島社長がうれしそうに「どうぞ」と微笑んだ。
「座って待ってて。冷たいお茶でいい?」
「はい」
冴島社長はリビングの床の上にダンボールを置き、キッチンに入っていく。
当然そうなるわけだけれど。こんなすごい人にお茶を出してもらっていいのだろうか。彼を目で追いながら、わたしがやるべきじゃないかと悩んでしまった。
でも親しい間柄でもないのに、キッチンに入るわけにもいかず、おとなしくダンボールの横に正座した。
想像はしていたけれど、とてつもなく広いリビングだ。四十帖はゆうに超えるだろう。
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