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けじめ
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――――1週間後。
あの魔族の騒動があった日から、ライラはほとんど強制的に入院をさせられていた。
ライラにはイルシアの言う「おかしくなっていた」という状態はあまり自覚できていなかった。しかし、あの場にいた者が口をそろえて身体の検査をすることを勧めるので、いたし方なく受け入れたのだった。
その入院生活も今日で終わりだ。
もっと休んでいた方がいいと言う者もいたが、あの場にいたクロードがたった一日の検査入院で退院したことを思うと、いつまでも休んではいられないと思ったのだ。
「……さてと、そろそろ行きますか」
ライラは身支度を整えて病室をあとにした。
ライラが入院しているのは、軍の病院だ。病室から廊下にでると、軍服を着た二人組の兵士を見かけた。
その兵士たちとのすれ違いざま、一人が立ち止まってライラに挨拶をしてきた。
「おはようございます! そのお姿、今日で退院ですか?」
「おはようございます。ええ、そうなのよ。ようやく自由になれるわ」
「それはおめでとうございます。ですが、まだあまりご無理をなさらないでくださいね」
「お気遣いどうもありがとう。それじゃ、失礼するわね」
ライラも立ち止まり、軽く兵士と挨拶を交わす。
ライラが再び歩きだすと、背後で挨拶をしてきた兵士が連れに、あの方が例の、と言っている言葉が聞こえてきた。
ライラの存在がすっかりこの街の一般兵士たちの間に浸透してしまっているらしい。
――なぜかエリクと付き合っていることにされているのよね。たしかにあの日は恋人の振りをしていたけど、そんなに見られていたとは思わなかったわ。しかも、なんだかクロードとのこともバレているみたいなのよね。これからどんな顔をして街中を歩けばいいのよ。
ライラが不満げな顔をして廊下を歩き続けていると、前方から見覚えのある二人組がやってきた。
「ああー! 私たちが来るまで待っていてくださいって言ったのに。どうして勝手に廊下を歩いているんですかあ!」
「おいおい。いくら医者から退院の許可が出たからって、いきなり動きまわって大丈夫なのか? ちょっと顔色が悪くないか?」
やってきたのはイルシアとファルだ。
ファルは頬を膨らませて憤慨しながら、ライラの元まで速足でやってくる。その後ろから、イルシアも心配そうな表情を浮かべながらついてきた。
「顔色が悪いのじゃなくて、機嫌が悪いだけだから大丈夫よ。そもそも入院なんて必要ないって思っていたくらいだもの。歩き回るくらいはどうってことないわ」
「お前が大丈夫って思っていても、何があるかわからねえじゃん。それに、今回の入院は瘴気が人体に及ぼす影響を調べるためでもあったんだろ?」
「正直に言うと、それが嫌なのだけどね。毎日いろいろなところを触られるし、事細かに調べられるから。……まあ、それが今後の瘴気の影響を受けてしまった人の治療に役立つからって言われたら、断れないのだけどね」
何が一番嫌かといえば、クロードと共に王都からやってきた瘴気の調査部隊付きの軍医が担当医だということだ。
それはそれと割り切りたいが、どこかひっかかりを感じてしまうのは仕方がないと思う。
あの魔族の騒動があった日から、ライラはほとんど強制的に入院をさせられていた。
ライラにはイルシアの言う「おかしくなっていた」という状態はあまり自覚できていなかった。しかし、あの場にいた者が口をそろえて身体の検査をすることを勧めるので、いたし方なく受け入れたのだった。
その入院生活も今日で終わりだ。
もっと休んでいた方がいいと言う者もいたが、あの場にいたクロードがたった一日の検査入院で退院したことを思うと、いつまでも休んではいられないと思ったのだ。
「……さてと、そろそろ行きますか」
ライラは身支度を整えて病室をあとにした。
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その兵士たちとのすれ違いざま、一人が立ち止まってライラに挨拶をしてきた。
「おはようございます! そのお姿、今日で退院ですか?」
「おはようございます。ええ、そうなのよ。ようやく自由になれるわ」
「それはおめでとうございます。ですが、まだあまりご無理をなさらないでくださいね」
「お気遣いどうもありがとう。それじゃ、失礼するわね」
ライラも立ち止まり、軽く兵士と挨拶を交わす。
ライラが再び歩きだすと、背後で挨拶をしてきた兵士が連れに、あの方が例の、と言っている言葉が聞こえてきた。
ライラの存在がすっかりこの街の一般兵士たちの間に浸透してしまっているらしい。
――なぜかエリクと付き合っていることにされているのよね。たしかにあの日は恋人の振りをしていたけど、そんなに見られていたとは思わなかったわ。しかも、なんだかクロードとのこともバレているみたいなのよね。これからどんな顔をして街中を歩けばいいのよ。
ライラが不満げな顔をして廊下を歩き続けていると、前方から見覚えのある二人組がやってきた。
「ああー! 私たちが来るまで待っていてくださいって言ったのに。どうして勝手に廊下を歩いているんですかあ!」
「おいおい。いくら医者から退院の許可が出たからって、いきなり動きまわって大丈夫なのか? ちょっと顔色が悪くないか?」
やってきたのはイルシアとファルだ。
ファルは頬を膨らませて憤慨しながら、ライラの元まで速足でやってくる。その後ろから、イルシアも心配そうな表情を浮かべながらついてきた。
「顔色が悪いのじゃなくて、機嫌が悪いだけだから大丈夫よ。そもそも入院なんて必要ないって思っていたくらいだもの。歩き回るくらいはどうってことないわ」
「お前が大丈夫って思っていても、何があるかわからねえじゃん。それに、今回の入院は瘴気が人体に及ぼす影響を調べるためでもあったんだろ?」
「正直に言うと、それが嫌なのだけどね。毎日いろいろなところを触られるし、事細かに調べられるから。……まあ、それが今後の瘴気の影響を受けてしまった人の治療に役立つからって言われたら、断れないのだけどね」
何が一番嫌かといえば、クロードと共に王都からやってきた瘴気の調査部隊付きの軍医が担当医だということだ。
それはそれと割り切りたいが、どこかひっかかりを感じてしまうのは仕方がないと思う。
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