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「…………さすが、完璧でございますね」
むむむ、と唸り声をあげながらエラが言った。
「そりゃそうよ。私はこう見えて貴族の端くれですからね。これくらいはできて当然ですわ!」
ソフィアのダンスレッスンを見守っていた使用人から拍手が沸き起こる。
「どんな曲でも完璧に踊れるなんてすばらしいです!」
「姿勢もまったく崩れませんし、とっても美しかったです」
「激しいダンスでも常に笑顔を絶やさないなんて、貴族だからできるってものじゃありませんよ」
次々に褒められてソフィアは気分がよくなってくる。腰に手を当てて得意げに胸を張った。
「そうでしょう、そうでしょう。やればできる子なのよ私は!」
「…………ソフィア様、そういうところが駄目なんですってえ」
ルイースが大きく息を吐いて肩を落とした。
ソフィアの、淑女になるためにはどうしたらよいかという質問に、とりあえずダンスレッスンをしてみてはどうかという意見が使用人からあがった。
ダンスならすぐに実行できると、ソフィアはさっそく披露してみせたのだ。
「みんな褒めてくれるし、私のダンスは問題ないのよね?」
ソフィアの問いかけに、皆がいっせいに頷いた。
「それじゃあとは何かしら。美しい所作となると……テーブルマナーとか……?」
ソフィアがエラをちらりと見ながら問いかけると、彼女は大きく頷きながら話し出した。
「テーブルマナーに関しましても、奥さまは完璧でございます。当家にいらっしゃってからの基本的な立ち居ふるまいで気になったことはございませんよ。基本的には、ね」
エラが嫌味っぽく言うので、ソフィアは不安にかられた。
これは普段の振る舞いにどこか問題があると指摘されているのだと思い、どうするべきなのかと懸命に考える。
「……基本的には、ううん」
――実家できちんと教育は受けているはず。だけど待って、家ごとにマナーへのこだわりが違うなんてことはないかしら? 知らないうちに旦那さまの気に障ることをしていたんじゃないかしら?
「……そうね、この際だからいっそのことマナーについて学び直そうかしら。そうよ、そうすれば自然と所作も美しくなっていくわよね」
ソフィアが腕を組んでぶつぶつ言っていると、使用人たちの表情が険しくなっていく。今度は何を言い出すのかと互いの顔を見合わせて不安そうにしている。
「ああ、そうだわ。せっかくだから辺境伯家やここの土地についての歴史を学ぶのもいいわね。旦那さまとの共通の話題作りになるかもしれないわ」
良いことを思いついたと、ソフィアは手を叩いた。
満面の笑みでエラを見つめる。
「エラ、とりあえずマナー講師の方を手配してくださる? それからこの土地の歴史に詳しい方を紹介してちょうだいな」
「……私が奥さまの振る舞いで気になることといえば、こういうところなのですけどね」
エラは何だかんだと小言を口にしながら、ソフィアの望む通りに手配をしてくれた。
そして、この日からソフィアのレッスン漬けの生活がはじまった。
むむむ、と唸り声をあげながらエラが言った。
「そりゃそうよ。私はこう見えて貴族の端くれですからね。これくらいはできて当然ですわ!」
ソフィアのダンスレッスンを見守っていた使用人から拍手が沸き起こる。
「どんな曲でも完璧に踊れるなんてすばらしいです!」
「姿勢もまったく崩れませんし、とっても美しかったです」
「激しいダンスでも常に笑顔を絶やさないなんて、貴族だからできるってものじゃありませんよ」
次々に褒められてソフィアは気分がよくなってくる。腰に手を当てて得意げに胸を張った。
「そうでしょう、そうでしょう。やればできる子なのよ私は!」
「…………ソフィア様、そういうところが駄目なんですってえ」
ルイースが大きく息を吐いて肩を落とした。
ソフィアの、淑女になるためにはどうしたらよいかという質問に、とりあえずダンスレッスンをしてみてはどうかという意見が使用人からあがった。
ダンスならすぐに実行できると、ソフィアはさっそく披露してみせたのだ。
「みんな褒めてくれるし、私のダンスは問題ないのよね?」
ソフィアの問いかけに、皆がいっせいに頷いた。
「それじゃあとは何かしら。美しい所作となると……テーブルマナーとか……?」
ソフィアがエラをちらりと見ながら問いかけると、彼女は大きく頷きながら話し出した。
「テーブルマナーに関しましても、奥さまは完璧でございます。当家にいらっしゃってからの基本的な立ち居ふるまいで気になったことはございませんよ。基本的には、ね」
エラが嫌味っぽく言うので、ソフィアは不安にかられた。
これは普段の振る舞いにどこか問題があると指摘されているのだと思い、どうするべきなのかと懸命に考える。
「……基本的には、ううん」
――実家できちんと教育は受けているはず。だけど待って、家ごとにマナーへのこだわりが違うなんてことはないかしら? 知らないうちに旦那さまの気に障ることをしていたんじゃないかしら?
「……そうね、この際だからいっそのことマナーについて学び直そうかしら。そうよ、そうすれば自然と所作も美しくなっていくわよね」
ソフィアが腕を組んでぶつぶつ言っていると、使用人たちの表情が険しくなっていく。今度は何を言い出すのかと互いの顔を見合わせて不安そうにしている。
「ああ、そうだわ。せっかくだから辺境伯家やここの土地についての歴史を学ぶのもいいわね。旦那さまとの共通の話題作りになるかもしれないわ」
良いことを思いついたと、ソフィアは手を叩いた。
満面の笑みでエラを見つめる。
「エラ、とりあえずマナー講師の方を手配してくださる? それからこの土地の歴史に詳しい方を紹介してちょうだいな」
「……私が奥さまの振る舞いで気になることといえば、こういうところなのですけどね」
エラは何だかんだと小言を口にしながら、ソフィアの望む通りに手配をしてくれた。
そして、この日からソフィアのレッスン漬けの生活がはじまった。
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