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お題:弾丸日帰り旅行
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『反対側のホーム』
朝の駅は殺伐としている。
見渡す限り人ばかりなのに、不思議と話し声は聞こえない。
誰もが無言で目的地に向かって足早に歩いているからだ。
その中に紛れて、私も口を閉じたまま足を前に進めている。
来る日も来る日も、飽きもせず同じことの繰り返し。
朝起きて身支度を整えてから駅に向かう。
黙ったまま歩き続ける。
たまに思うんだ。
私はこれでいいのかなって。
時折もの凄くこのままじゃ嫌だって思うんだ。
ここじゃないどこかへ行きたいなと考えてしまうんだ。
今日もそんなことを考えながら駅のホームに立っていた。
頭の上にある電光掲示板には「品川・東京方面」という文字と、電車の発車時刻が表示されている。
会社があるのは山手線の内側。
当然「品川・東京方面」行きの電車に乗らなければならない。
けれど、この日の私はなにを思ったのか。
ほんの少しだけ視線をずらして、隣のホームの電光掲示板を眺めてみた。
そこに記されているのは「大船・久里浜方面」という文字と、電車の発車時刻だった。
毎日のように使う電車なのに、反対方面行きの電車に乗るのは仕事終わりに自宅の最寄り駅まで。
今さらながら大船、久里浜って、どんな場所かなとぼんやり考える。
転勤の辞令を受けてこの土地にやってきてから一年。私は大船にも久里浜にも行ったことがない。
「……行ってみようかな」
いつも乗る上り電車に背を向けて、私は下り電車の列に並ぶ。
通勤ラッシュ時の横須賀線、5分も待たずに電車はやってくる。
私は無言の人々と一緒に電車へ乗り込んだ。
それから一時間も経たずに私が歩いていたのは、鎌倉駅を出てすぐの小町通り。
乗り込んだ電車内で見た路線図。大船より二駅先の鎌倉に目を奪われてしまった。
「鎌倉って意外と近かったんだな」
まだ朝の早い時間だったので、お店は開いていない。
ぼんやり歩いていて目についたのは「鎌倉・江の島七福神めぐり」と書かれたポスター。
「これ、やってみようかな」
会社に行くつもりだった。
服装はスーツにパンプス、ビジネスバッグというありきたりな仕事スタイル。
観光をするには少々の不安を覚える。
鎌倉・江の島七福神めぐりは、その名の通り、鎌倉と江の島に点在する8つの寺社を巡る。
鎌倉という土地を歩き回ることになるのだ。
「まあ、なんとかなるでしょ!」
私はうきうきで歩き出した。
実際のところ、なんとかならず江島神社だけは諦めた。
だって、江島神社だけ少し離れているから。
それとやっぱり、鶴岡八幡宮やその周辺の街並みはじっくり観光したくなっちゃうから。
あの日に購入した鎌倉・江の島七福神めぐり専用の御朱印帖。
いまもまだ江島神社の御朱印だけが欠けている。
いつの日かきちんと計画を立てて、もういちど鎌倉に足を運びたい。
ささくれた私の心を癒してくれたあの日のことを思い出しながら。
朝の駅は殺伐としている。
見渡す限り人ばかりなのに、不思議と話し声は聞こえない。
誰もが無言で目的地に向かって足早に歩いているからだ。
その中に紛れて、私も口を閉じたまま足を前に進めている。
来る日も来る日も、飽きもせず同じことの繰り返し。
朝起きて身支度を整えてから駅に向かう。
黙ったまま歩き続ける。
たまに思うんだ。
私はこれでいいのかなって。
時折もの凄くこのままじゃ嫌だって思うんだ。
ここじゃないどこかへ行きたいなと考えてしまうんだ。
今日もそんなことを考えながら駅のホームに立っていた。
頭の上にある電光掲示板には「品川・東京方面」という文字と、電車の発車時刻が表示されている。
会社があるのは山手線の内側。
当然「品川・東京方面」行きの電車に乗らなければならない。
けれど、この日の私はなにを思ったのか。
ほんの少しだけ視線をずらして、隣のホームの電光掲示板を眺めてみた。
そこに記されているのは「大船・久里浜方面」という文字と、電車の発車時刻だった。
毎日のように使う電車なのに、反対方面行きの電車に乗るのは仕事終わりに自宅の最寄り駅まで。
今さらながら大船、久里浜って、どんな場所かなとぼんやり考える。
転勤の辞令を受けてこの土地にやってきてから一年。私は大船にも久里浜にも行ったことがない。
「……行ってみようかな」
いつも乗る上り電車に背を向けて、私は下り電車の列に並ぶ。
通勤ラッシュ時の横須賀線、5分も待たずに電車はやってくる。
私は無言の人々と一緒に電車へ乗り込んだ。
それから一時間も経たずに私が歩いていたのは、鎌倉駅を出てすぐの小町通り。
乗り込んだ電車内で見た路線図。大船より二駅先の鎌倉に目を奪われてしまった。
「鎌倉って意外と近かったんだな」
まだ朝の早い時間だったので、お店は開いていない。
ぼんやり歩いていて目についたのは「鎌倉・江の島七福神めぐり」と書かれたポスター。
「これ、やってみようかな」
会社に行くつもりだった。
服装はスーツにパンプス、ビジネスバッグというありきたりな仕事スタイル。
観光をするには少々の不安を覚える。
鎌倉・江の島七福神めぐりは、その名の通り、鎌倉と江の島に点在する8つの寺社を巡る。
鎌倉という土地を歩き回ることになるのだ。
「まあ、なんとかなるでしょ!」
私はうきうきで歩き出した。
実際のところ、なんとかならず江島神社だけは諦めた。
だって、江島神社だけ少し離れているから。
それとやっぱり、鶴岡八幡宮やその周辺の街並みはじっくり観光したくなっちゃうから。
あの日に購入した鎌倉・江の島七福神めぐり専用の御朱印帖。
いまもまだ江島神社の御朱印だけが欠けている。
いつの日かきちんと計画を立てて、もういちど鎌倉に足を運びたい。
ささくれた私の心を癒してくれたあの日のことを思い出しながら。
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