お題に挑戦した短編・掌編集

黒蜜きな粉

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お題:マスカラでつくる、今日の私。

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『ヘアクリップ』


「嘘だよ、誰か嘘だと言ってよ」

 いつも使っているメイク用のヘアクリップ。
 普段は自宅のドレッサーに置いてある。
 今日はたまたま、外出先で念入りにメイクを直したいと思っていたからポーチに入れてきた。

「欠けてるじゃん。そんな乱暴にバッグを置いたりしてないよね?」

 いざ外出先でメイク直しをしようとしたら、ポーチの中に入れていたヘアクリップが壊れていた。
 大好きなキャラクターのヘアクリップ。
 キャラクターの耳が欠けて、金具部分からぺりっと剥がれていた。

「……接着剤でつける? いや、そこまでする必要あるかな。でもなあ……」

 お気に入りだっただけにショックは大きい。
 だけど、悩んでいる暇はない。
 ヘアクリップはひとまずポーチにしまったまま、私はメイク直しに集中した。

 大切な推しのライブ。
 自宅できちんと準備をしてきたとはいえ、会場に入る前にはもういちど身だしなみの確認はしたいもの。
 しっかりメイクを直してから、いざ会場へ。
 推しのライブを存分に楽しんだ。

 とはいえ、やはり想定とは異なることが起きたものだから、ショックは消えない。
 推しに会う日は、身だしなみは念入りに整えたい。
 清潔感のある姿は心がけたい。

 次のライブは油断をしないようにしなければいけないと思った私。
 すこし遠出をしてお気に入りのキャラクターショップへやってきた。

「よかったー。いろんなキャラのヘアクリップがある」

 ヘアクリップが発売されているのはわかっていたが、在庫が店頭にあるかまでは把握していなかった。
 どの子にしようか、悩みに悩んで決めたヘアクリップ。
 有料のショップバッグを購入して、丁寧に持ち帰ってきた。

 そしていざ、推しのライブの日。
 開場前に身だしなみのチェックをする私。
 バッグからポーチを取り出し、新しいヘアクリップを手に取る。
 前髪をそっとヘアクリップでとめて、鏡の中の自分をみつめる。

「いつ推しと目が合ってもいいように、アイメイクだけはしっかりしないと」

 続けてポーチから取り出したのはマスカラ。
 私の最近のお気に入りは、キャ〇メイクのメ〇ルックマスカラ。
 自宅では1度塗りをしてきただけ。
 1度塗りでもピュアルックで愛らしい目元になるけれど、ライブ会場は薄暗い。
 2度塗りのキュートルックでもいいけれど、3度塗りでアイドルックがぱっちり目力ができてちょうどいい。
 重ね塗りをしてもダマになりにくく、ほどよい束感まつげにしあがって最高だ。

「完璧! 今日の私もかわいいね」

 私は胸を張ってライブ会場に足を踏み入れた。




────────────────────────
化粧品コラボのお題はここまでです。
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