アブノーマル人間

雨宮濛

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世界を変える種子達よ。

クリストフィーの謎

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「莉雨ちゃん、君はこれからアリウムだ。」 

「私の名前…?」

「あぁ、そうだ。だからこれから埴見莉雨と名乗ってはいけない。アリウムと名乗れ。」

「はい…」

 コードネーム:アリウム
 能力:悪花浄化
 戦闘武器:拳銃 マシンガン
 班:スイセン
 ランク:RIO

「元帥、失礼致します。」

 背の高い金髪の男性が入ってきた。
 スイセン班の隊長スイセンだ。

「アリウムを迎えに参りました。」

「久しぶりだね、アリウム。」

「あっ…えっと…」

 やばい、記憶に無い。あ、これ、昔の記憶にある奴だ…昔の記憶は事件の事しか覚えてないぞ。

「すみません、忘れました…」

 もういいや。とアリウムは諦めた。

「僕を、忘れた…!?」

「昔の記憶は事件の日以外は全て忘れてしまっていて…」

「あぁ、あの日の事か、それなら無理にして思い出さなくて大丈夫だよ。」

「二人とも、本題に入るぞ。」

 スカビオサが言った。

「アリウム、これから君はスイセンの班に入ってもらう。」

「班、ですか?」

「嗚呼、ここにはいくつか班があって、各班で役割を決めている。」

「スイセンの班にはさっき同行していたスグリも居て、知人が二人居た方が安心するだろうから、君にこの班に入ってもらう事にした。」

「僕の班の役割は戦闘系で、悪花を浄化する班だ。」

「任務については後程、スイセンに聞いてくれ、以上だ。」

 二人の話が終わった。

「元帥、失礼致しました。」

 スカビオサの部屋から出た。

「さぁ、アリウム、さっそく部屋へ連れて行ってあげよう。付いて来て。」

  スイセンに付いて行くと、中世に出てきそうな大きな屋敷に付いた。

「凄い、大きな屋敷ですね。」

 玄関にはお洒落な小物が置かれていて、すぐに入り、中央には大きなシャンデリアが吊られていた。

「アリウムの部屋はここだよ。」

 中央から二階へ上がり、一つの大きな部屋に入った。

「凄く、大きな部屋ですね…」

「嗚呼、皆とは違う部屋を用意したんだ。」

「でも、一人で使うにしては大きすぎる気が…」

 アリウムは不思議に思った。

「まず、ここは僕の部屋なんだ。だけど、花力を与えてくれる子が居なくてね。だから君に頼みたいんだ。」

「花力は分かるんですけど、与え方が分からないのですが。」

 花力かりょくとは、コルチカムに居る団員の様な人間が戦う為に必要とされるエネルギーである。
 コルチカムには隊の隊長に一人、花力を分け与えなければならない。

「手を貸して。」

 スイセンに手を差し伸べる。少し大きな手がアリウムの手を優しく包み込んだ。

「アリウム、心を無にして。」

 アリウムは何も考えず、ただその場にいる事だけに集中した。


 私達の最良の日々は過ぎ去った。


 《辞めろ。離れろ、ギガンジウム。》


 時が止まり、無の空間で自分の声が聞こえた。


 貴方は誰。

 私はクリストフィー。
 お前の記憶だ。

 私の記憶?

 嗚呼、私はお前の記憶自身だ。だから、お前が失ってしまった記憶も私は知っている。

 いや、私はこんな説明をしている場合ではない。私の力ももうすぐ切れる。だから、今から話す事をよく聞け。

 クリストフィーの声がだんだんと薄れてゆく。

 お前は、このまま花力を渡すと死ぬ。お前の本当の母、「カトレア」に身体を乗っ取られる。
 とりあえず、何も知らずにコルチカムにお前は危険だ。ここに居るお前の叔母、BKに私の事を話せ。そして、カトレアから…に、げ…

 ・・・

 クリストフィーの声が途切れた。

 カトレア…私の、本当の母。

「リ…ウム…」

「アリウム…」

 意識が戻ると、アリウムはベッドに横たわっており、目の前にスイセンが居た。

 だが、スイセンの様子がおかしい。
 スイセンではないみたいだった。

「クリストフィーの奴…余計な事を吹き込んだな…」

「なんで、クリストフィーを…」

「君の目を見れば分かる、ギガンジウムを乗っ取ろうとしてるな…」

 クリストフィーが自分を乗っ取る…?いや、そんな事…乗っ取ろうとしてるのはカトレアのはず…

「クリストフィーを信じるな。カトレア様は君をずっと守っている。」

 一体、自分はどちらを信じれば良いのだろうか。

 その後、クリストフィーの警告で考える為、部屋を個室にしてもらった。

 二ヶ月後

 この二ヶ月の間、アリウムは訓練をする事も歓迎会を開く事も無く、ずっと自分の部屋に閉じこもっていた。

 私はずっと裏庭にある池を見つめていた。

「アリウム様」

 後ろから青年の声が聞こえた。

「ごめんなさい、今は一人にさせてくれない?」

「クリストフィーを信じないでください。」

 後ろを振り返るとギガンジウムの自分の記憶にはない、誰かの記憶にある紅葉の様な優しい色をした青年が居た。

「クリストフィーにやられてますね。」

「これが、クリストフィーの影響、貴方達が二人が同時に存在している事によって君達は段々と繋がってゆく。」

「おやすみ、ギガンジウム。もう一度、君が思い出すまで、俺と共に平和に過ごそう。」

 私達は。

 ・・・

 クリストフィー、貴方は本当に私なの?

 私はそう思わない、だって、貴方は一体、何が目的なの

 ・・・

 あれ、今、何を考えてたんだろう。

「アリウム様?」

 この青年は誰なのだろう。薄らと見覚えがある。

「貴方は、誰?」

「私はコルチカム使用人の一人、ベテラン執事です。イロハとお呼びください。」

「でも、なんで私に執事が?」

「貴方を護る為です、私はその使命を元帥に与えられました。」

 もうスカビオサまで行き渡ってたんだ。

「後、お嬢様って…」

「元帥がお嬢様をコルチカム特別団員に認定され、RIOのランクでも認定されるとコルチカムでも、政府でも身分が高い人間になれるんですよ。お嬢様の身分は、世界で殺してはいけない人物、まぁ世界で一番高い身分ですね。」

「スカビオサはほんとに何を考えているのやら。」

「あ、それでは、そろそろ仕事なので直ぐ着替えて戻ってきます。」

 数分後

「お嬢様、お待たせ致しました。」

 仕事着を着たイロハは爽やかな表情で微笑んだ。

「そう言えば、今日は特製のハーブティーとお菓子を持ってきたんです。良ければ後で一緒にアフタヌーンティーでもしませんか?」

「……」

 クリストフィーが私を侵食し始めている。あからさまに体質などに変化が起きている。これは、クリストフィーの警告が嘘になるのか。

「どうなさいました?」

「イロハ、ごめん、今はそう言う気分じゃないかな。」

「そうでしたか、申し訳ございません。」

「今は出かけたい気分、だから一緒に来てくれる?」

「……!!はい!喜んで!」

 イロハはとても嬉しそうにしていた。喜んでいるところはとても子犬の様だった。


 イロハと一緒に街に出かけた。

「ねぇ、イロハ、大変な事に気づいた。」

「どうしました?」

「財布が無い、まず金さえ無かった。」

 私はずっと山奥で自給自足の生活を送っていた。なので金は必要なかった。

「大丈夫です。お嬢様の買いたい物言ってください。私が買いますので。」

「でも、申し訳ないし、大丈夫。物を見るだけで十分だから。」

「そうですか。」

 イロハと店を見て回った。
 その中の店で、少し気になる物が売っていた。

「あ、このぬいぐるみ可愛い。」

 目に止まったのは耳にリボンが三つ編み状に縫い付けられているウサギのぬいぐるみだった。

 それと、その横の店にある指輪が綺麗だと思った。

 今は買えないけれど、スイセン班は任務・依頼を十個ずつでも五百万は貰える。よし、頑張って仕事しよう。

 コルチカムに帰ってきた。

「お嬢様、これをどうぞ。」

 イロハから貰った物は気になっていたウサギのぬいぐるみだった。

「買わなくていいって言ったのに……」

「私はお嬢様が喜んでくれているところが見たいんです。」

「うん、嬉しい。ありがとう、イロハ。」

 このぬいぐるみは生まれて初めてのプレゼントだった一生手放さない物になるだろう。

「イロハ、今はお金は無いけど、何かしてほしい事はある?五連休でもあげようか?」

 イロハは真剣に考えていた。そしてイロハは少し照れながら言った。

「褒めて、ほしいです......よしよし......されたい、です。」

「え、偉いね、イロハ......」

 褒めてるこっちですら恥ずかしくなってきた。

「お嬢様の前では僕って言ってもいいですか......?」

「それくらい、自分の好きにするといいよ。」

 犬を撫でるようにイロハを撫でた。

「アリウムさん、入るわよ。」

 スイセンと同い年くらいの銀髪の女性が部屋に入ってきた。

「イロハ、帰りましょう。」

「テッセン!?何で......言っただろ!もう俺はお前に限界だ。今はお嬢様に仕えてるんだ。帰ってくれ。」

 この状況を修羅場と言うのだろう。
 アリウムは段々と気まずくなってきた。

「アリウムさん、とりあえずイロハは返してもらうわ。」

「俺はお前の所には戻らない。」

「私はあんたに言ってるんじゃない!!!」

 パチンと大きな音が鳴った。
 テッセンはイロハの頬にビンタをした。

「イロハ!!!テッセンさん、貴方は一体......」

「私はテッセン班隊長コードネーム:テッセン、研究部隊よ。」

「アリウムさん、貴方はとても愛されているのね。私は此奴に声一つ聞かせてくれなかったわ。なのに、新しいご主人には表情豊かで甘えてばっかり。」

「それはお前が俺の身体目当てだからだろ!!」

「だって、ご主人様の命令は絶対と規則に定められているでしょう?だからあんたが何と言おうが私の言いなり、死刑から見逃さしてあげてここに置いているのに、あんたは逆らうと言うのよ?」

「ですが、今の主人は私です。もう貴方のイロハではありません。それと、彼はただの執事、護衛という役割だけです。しかし、貴方がしている事はただの奴隷扱いに過ぎない。執事と奴隷は全く違います。貴方は間違っています。」

「まぁ確かに貴方の言う通りかもしれないわ、だけど、此奴の様な奴達は過去に罪を犯した。だから償う事も必要ではないの?」

「だからってそんなにする必要はないじゃないですか!罪を償わせるとすれば、この団に役立たせれば良いだけの話ではないですか!?」
  
 アリウムは大声で、テッセンに言った。

「アリウム、大声が聞こえたけど、何かあったか?」

 部屋に入ってきたのはスグリだった。

「チッ......邪魔が入ったわね......アリウムさん、また今度お話しましょう。それじゃ、今日のとこ失礼するわね。」

 テッセンは不機嫌そうに部屋を出た。

「スグリ......!」

「アリウム、テッセンさんと話したのか?なかなか勇気あるな。」

「凄い、怖かった。イロハが、連れていかれそうになって......」

 アリウムはスグリの懐に抱きつき、泣いていた。

「おー、偶には可愛いとこもあるんだな。そうだ、アリウム、伝える事があるんだ。」

「人工生命体がお嬢様に気安く触るな。」

「イロハ、言っておくけど俺はアリウムが赤ん坊の時ずっとあやしてたからな?アリウムの事は殆ど分かるんだ。」

「イロハは知らなかったか、この人は私の兄みたいな存在、スグリ…」

「えっ......そうだったんですか......?」

 イロハは驚い表情で私達二人を見比べている。

「全然似てねぇ......」

「おーおー、なかなか酷いじゃねぇか。」

「で、伝える事って?」

「感情プログラム完全復活だ!」

 さっきから調子が良かったのはこの事なのだろう。

「良かったねー。」

 アリウムはどうでも良さそうにして、イロハはポカンと口を開けていた。多分、何がなんだか分からないのだろう。

「え......?」


 数時間後

 イロハとスグリは部屋に戻り、アリウムは一人になった。一つ、とある事を考えていた。

 私は、記憶を失う前の事を何も知らない。私はどう生まれたのか、スイセンとの関係や、スグリと暮らした記憶。
 そして、一番分からないのはクリストフィーとは一体何者なのか。

 私は分からなかった。心がモヤモヤしていた。

「もう、スイセンに聞くしかないか......」

 部屋から出たアリウムはスイセンの部屋へと向かった。
 廊下で1人の可愛らしい緑の少女が歩いていた。

「あれ?もしかしてアリウムさん?初めまして、私はクローバーです。先程は隊長が大変失礼しました!あの、お詫びと言っては粗末な物ですが、良ければどうぞ......」

 クローバーと名乗るテッセン班の隊員は丁寧に紙袋を渡してきた。

「うおぉ......ご丁寧にありがとうございます......(すげぇ......高級茶葉......)」

「それでは、私は急ぎなので、失礼します。」

「あ、はい......」

 クローバーは急いで走り去って行った。それ程大切な用事があるのだろう。

 スイセンの部屋の前まで来た。ドアに三回ノックをした。

「どうぞ。」

「失礼します。」

「アリウムか、どうした?」

 部屋に入るとなかなか鬼畜な光景が広がっていた。アリウムは何も見なかったかの様に目を閉じ、1歩下がりドアを閉じた。

 アリウムは何かの見間違えだろうともう1度ドアに三回ノックをした。

「失礼します。」

 部屋に入り、目を開くと、やはり夢や幻覚などではなかった。5人の女性にスイセンは囲まれベッドに座っていた。

「隊長ってそんな変態趣味だったんですね。」

「待って、勘違いしないでくれ。」

 スイセンの体からは冷や汗をかいていた。

「これを見るからに何が勘違いなんですか。」

 5人の女性達はお構いなくスイセンの体に寄っていた。

「う......少し待ってくれ。」

 数分後
 5人の女性は私服を着て部屋を出て行った。

「ヴヴン......で、用件は......?」

 アリウムは緊張しながらも口を開いた。

「教えてください。昔、私とどんな関係を持ったか。」

「そうだな…簡単に言えば、僕は君に救われたんだ。昔、僕が森で迷子になった時、君は僕に優しくしてくれた。僕が悪花を触ってしまったけど、今を生きられてるのは君が少し浄化してくれたからだ。」

 私は、両親と自分で、森の奥で一つの家に住んでいた。周りには他の家ひとつの無い自然だけだった。
 森に植物は勿論、悪花だって咲いていた。
 私は三歳くらいの時、悪花を触ってしまった。両親は涙を流し、心配していたが、体や精神に異常はなかった。父が検査をしてみると、私はどうやら五十分の一の能力者らしい。その能力は普通とは少し違い、特殊で、花を触れるだけで花を浄化する事ができた。
 普通、能力者は花に触れても影響がないだけで、完全浄化するには、コルチカム研究部の開発した薬品が必要となる。
 だが親は狂っていない事を安心しただけで、能力者と言う事に、焦っていた。

「ねぇ貴方、この子を本当にコルチカムに入るの?」

「だがなぁ…この能力を持ったからにして、▂▅▂▅▅▂に入れる事ができない。最▂s▂▅様に受け入れてもらえないだろう。コルチカムに入れるにしたら優秀かもしれないが、駄目だ。あのお方と契約を結んだんだ。」

 父は誰かと契約を交わしていた。
 私は能力を持った事で何処か、私が知らない所に行く予定だったが、この能力が駄目らしく、コルチカム等にも入ってほしくない為、私の能力を隠し通していた。
 だが、数年後のある日、私の少し年上の少年が私の能力を知ってしまった。彼が迷子になっていると、たまたま私が悪花を浄化している所を見つけたらしい。
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