迷宮の魔王に転生したけど無人島だからダンジョンに人が来ない

兎屋亀吉

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5.便利アイテム

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 島から見える範囲には人間の住むことのできる陸地は無いということが分かった。
 水平線までは少なくとも距離計の限界値である20キロよりも距離があると思う。
 岩山の高さを約200メートルとして、この星が地球と変わらない大きさならば3平方の定理である程度の距離を割り出すことはできる。
 大体50キロ前後といったところだろうか。
 島から周囲50キロほどは陸地は無いということだ。
 まさに絶海の孤島だ。
 こんなに大きな島が人に見つからずに無人島のまま存在しているということは、この世界ではまだ人間の生活範囲が狭いのだろうか。
 獰猛なモンスターがいたりしてあちらの世界とは違うとはいえ、人が住んでいない土地があれば開拓して領有権を主張するのが人間という生き物だ。
 あちらの世界で人間の行動範囲が一気に広がったのは大航海時代だった。
 造船技術と航海技術の発展により、人間は海を越える手段を得た。
 こちらの世界ではそういったブレイクスルーがまだ起きていないのかもしれない。
 単純にダンジョンができるまでは火山が危なくてこの島には住めなかっただけかもしれないが。

「とりあえず、島の外周を歩いてみるか」

 10キロくらいまでは昨日歩いてみたのだが、なにせ広い島だ。
 目算で外周100キロくらいはありそうなこの島を歩いて1周しようと思ったら1日では不可能だ。
 しかし何がいるかわからない島で野営をするというのも怖い。
 だからこそ今日の朝ダンジョンポイントを確認したのだ。
 この状況を打開できそうなアイテムを100ポイントで手に入れることができる。
 1日50ポイントが入ってくると分かった今、100ポイントくらいを使うことに問題はない。
 すでに朝ダンジョンコアで交換して持ってきている。
 俺はポケットに入ったピンポン玉サイズの水晶玉を取り出す。
 これはダンジョンコア(副)というアイテムで、その名のとおりダンジョンコアの予備だ。
 ダンジョンコアはダンジョンの外に持ち出すことができないのだが、この予備のコアは持ち出すことができる。
 これがあればダンジョンの外であってもダンジョンポイントを使うことができるし、ダンジョンの外からダンジョン内にテレポートすることもできる。
 逆にダンジョン内からもこの珠のある場所へテレポートすることができるという代物だ。
 別に盗まれても他の人にコアの機能が使えるわけでもないのでダンジョンからのテレポートポイントとして置きっぱなしにしてもいいかもしれない。
 綺麗な真ん丸の水晶玉なので宝石としての価値はあるかもしれないが、この島は無人島だ。
 通貨もなければ人もいない。
 今日はいけるところまで外周を進んで、そこにこの珠を置いてくるとしよう。


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