迷宮の魔王に転生したけど無人島だからダンジョンに人が来ない

兎屋亀吉

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16.空飛ぶ船

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 暗い空にぼんやりと浮かぶ大きな影。
 稲光で周囲が照らされる瞬間だけその影の姿形が見える。
 それは船だった。
 空を飛ぶ船。
 外洋を航行するような大きな木造船が、空を飛んでいた。
 あちらの世界には空を飛ぶ乗り物がたくさんあったけれど、これほど高空力学を考慮しない形をしていなかったはずだ。
 科学の進歩と共に、より省エネルギーで速く空を飛ぶにはどうしたらいいか考え抜かれた結果現代の航空機はあの形になっているのだ。
 それは揚力を生み出さない機体をガスなどの浮力だけで浮かすのは効率が悪いと現代の科学が言っているということに他ならない。
 まああの船には科学とかは関係なさそうだがな。
 なにせ飛行船のようにガスを満載にした気嚢などは何も見当たらないのだから。
 いったいどのような原理で空を飛んでいるというのか。
 あれも魔法やらマジックアイテムやらの力なのだろうか。
 今度空を飛べるアイテムをダンジョンコアで探してみたい。

「しかし船が飛んでいるとなると、当然乗組員がいるわけだよな」

 ついに来るべきときが来てしまったということか。
 自由気ままな無人島ライフもそろそろ終わりかな。
 人間とか本当に面倒だ。
 できるならこのまま島をスルーしてどこかに行ってほしい。
 しかしそうはいかないよな。
 何が目的の船なのかは分からないが、この悪天候だ。
 たまたま島を見つけたとなれば休憩くらいしていくに決まっている。
 そうなればなかなかいい島だから入植してみよう、となる。

「はぁ、俺の無人島快適ライフ終わった……」

 閉店、閉店です。
 俺は鉄板やコンロを片付け、海の家の戸締りをして引きこもる。
 窓の外には空を飛ぶ船が見える。
 船はその外観がはっきりと見える位置まで近づいてきていた。
 それはまるで大航海時代のガレオン船のような見た目の船だった。
 やっぱり来るんだよな。

「嫌だな。雷直撃しろよ」

 俺の言葉に反応したわけではないだろうが、紫電が船に走る。
 しかし不可視のバリアに守られているかのように雷が弾かれてしまった。

「うわぁ、ハイテクだな」

 見た目はあんなにアナログそうな船なのに、どうやら性能は見た目通りではないようだ。
 今のバリアなんてあちらの世界の科学技術でも再現はできないだろうな。
 大砲などは見当たらないけれど、あのバリアを見るに攻撃も摩訶不思議な武器で行なうに違いない。
 戦ったら強そうな船だな。

「そしてあんなムチャクチャなテクノロジーで作られた兵器で武装したやつらがダンジョンに攻めてくるってことだよな」

 ヤバイな。
 異世界舐めてた。
 迷路は結構自信作だったのだが、少し心細くなってきた。
 ポイントが潤沢にある今、もっとダンジョンを拡張しておこう。
 
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