迷宮の魔王に転生したけど無人島だからダンジョンに人が来ない

兎屋亀吉

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23.猛暑の話し合い2

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「すみません、お待たせしました」

「いえ、お茶を飲んで待っていましたので。どうぞあなた方も召し上がってください」

「お言葉に甘えていただきます。ほう、これは素晴らしいガラス細工の器ですね」

 皆そろってガラスの器を褒める。
 彼らの国スパヌエル帝国とやらではガラス工芸はまだ新しい技術で、そこまで技術者が育っていないそうだ。
 一部の生産系スキル持ち以外はガラスを作るのに高温の炉が必要なためにコストも馬鹿にならない。
 そのためガラスは高級品で、オークションで売り買いがされる美術品のような扱いらしい。
 やはり俺の予想通り科学的な技術はあちらの世界の16世紀から17世紀くらいのレベルだな。
 それでも頭の良い奴というのはいるものだからうっかりダンジョンを攻略されないように気をつけなければならないな。
 俺のダンジョンは逆に言えば知恵と根気さえあれば誰にでも攻略できる可能性があるのだから。
 所詮はスパコンがあったら数秒で正解のルートを導き出されてしまうようなダンジョンだ。
 今度何かもっと意地の悪い仕掛けを考えよう。

「それで、お話は纏まりましたか?この島はどうなるのでしょう」

「はい。回りくどい言い方はやめて結論から言いますと、ヤマダさんにはスパヌエル帝国の爵位を受けていただくという方向に決まりました」

「爵位ですか。ということはここが私の土地だということになるのでしょうか」

「ええ、この島全域をスパヌエル帝国ヤマダ領とさせていただきたいのです」

「島全域ですか。よろしいのですか?」

 まさか島全部を俺の土地にしていいと言われるとは。
 俺はこの島は広さや資源的にはなかなかの島だと思っているが、もしかしたら地理的に旨味の少ない位置に存在しているのかもしれないな。
 しかし今まで通り気ままに暮らしていてもいいならいいけれど、人を入植させるつもりなら俺は領地経営なんてできないぞ。

「領地を経営することに対する不安をお持ちかと思いますけれども、ヤマダさんは今まで通り暮らしていただいて大丈夫です。人の入植や開拓、領地経営まで全てこちらで行いますから。ヤマダさんはこの島の土地を私たちに貸し出しているいわば大家さんのような形で構いません。もちろん借地料はお支払いいたします。ヤマダさんはその中から一定の額を帝国へ納税していただければ何も損をしないことになります」

 上手いことを考えるものだ。
 確かに俺は損をしないし、帝国も損をしない。
 爵位というタダで発行できるもので島を間接的に支配できるというわけだ。
 しかしこの案には重大なリスクが存在している。

「でも、島を乗っ取ったりしませんか?そのうち借地料も払われなくなって、納税できなくなって、そして爵位を取り上げられる。それでこの島は完全に帝国のものになりますよね」

 詐欺師の手口にこんなのあったな。
 俺が辺境の島育ちだと思って舐めているのか?
 俺は転生者の父(架空)に詐欺の対応も仕込まれているんだよ。
 まあそれでも、俺のほうが立場が弱いゆえに断りきれないのが痛いところだが。 

「なかなか識学でいらっしゃる。さすがは世に名高い【転生者】の称号を持つ方のご子息ですね。我々の誠意だけではさすがに信じてはいただけませんよね」

「ええ、少し具体的にこの島の将来的な展望をお聞かせ願えないでしょうか」

「わかりました。まず……」



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