迷宮の魔王に転生したけど無人島だからダンジョンに人が来ない

兎屋亀吉

文字の大きさ
23 / 25

23.猛暑の話し合い2

しおりを挟む
「すみません、お待たせしました」

「いえ、お茶を飲んで待っていましたので。どうぞあなた方も召し上がってください」

「お言葉に甘えていただきます。ほう、これは素晴らしいガラス細工の器ですね」

 皆そろってガラスの器を褒める。
 彼らの国スパヌエル帝国とやらではガラス工芸はまだ新しい技術で、そこまで技術者が育っていないそうだ。
 一部の生産系スキル持ち以外はガラスを作るのに高温の炉が必要なためにコストも馬鹿にならない。
 そのためガラスは高級品で、オークションで売り買いがされる美術品のような扱いらしい。
 やはり俺の予想通り科学的な技術はあちらの世界の16世紀から17世紀くらいのレベルだな。
 それでも頭の良い奴というのはいるものだからうっかりダンジョンを攻略されないように気をつけなければならないな。
 俺のダンジョンは逆に言えば知恵と根気さえあれば誰にでも攻略できる可能性があるのだから。
 所詮はスパコンがあったら数秒で正解のルートを導き出されてしまうようなダンジョンだ。
 今度何かもっと意地の悪い仕掛けを考えよう。

「それで、お話は纏まりましたか?この島はどうなるのでしょう」

「はい。回りくどい言い方はやめて結論から言いますと、ヤマダさんにはスパヌエル帝国の爵位を受けていただくという方向に決まりました」

「爵位ですか。ということはここが私の土地だということになるのでしょうか」

「ええ、この島全域をスパヌエル帝国ヤマダ領とさせていただきたいのです」

「島全域ですか。よろしいのですか?」

 まさか島全部を俺の土地にしていいと言われるとは。
 俺はこの島は広さや資源的にはなかなかの島だと思っているが、もしかしたら地理的に旨味の少ない位置に存在しているのかもしれないな。
 しかし今まで通り気ままに暮らしていてもいいならいいけれど、人を入植させるつもりなら俺は領地経営なんてできないぞ。

「領地を経営することに対する不安をお持ちかと思いますけれども、ヤマダさんは今まで通り暮らしていただいて大丈夫です。人の入植や開拓、領地経営まで全てこちらで行いますから。ヤマダさんはこの島の土地を私たちに貸し出しているいわば大家さんのような形で構いません。もちろん借地料はお支払いいたします。ヤマダさんはその中から一定の額を帝国へ納税していただければ何も損をしないことになります」

 上手いことを考えるものだ。
 確かに俺は損をしないし、帝国も損をしない。
 爵位というタダで発行できるもので島を間接的に支配できるというわけだ。
 しかしこの案には重大なリスクが存在している。

「でも、島を乗っ取ったりしませんか?そのうち借地料も払われなくなって、納税できなくなって、そして爵位を取り上げられる。それでこの島は完全に帝国のものになりますよね」

 詐欺師の手口にこんなのあったな。
 俺が辺境の島育ちだと思って舐めているのか?
 俺は転生者の父(架空)に詐欺の対応も仕込まれているんだよ。
 まあそれでも、俺のほうが立場が弱いゆえに断りきれないのが痛いところだが。 

「なかなか識学でいらっしゃる。さすがは世に名高い【転生者】の称号を持つ方のご子息ですね。我々の誠意だけではさすがに信じてはいただけませんよね」

「ええ、少し具体的にこの島の将来的な展望をお聞かせ願えないでしょうか」

「わかりました。まず……」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

処理中です...