迷宮の魔王に転生したけど無人島だからダンジョンに人が来ない

兎屋亀吉

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24.新大陸と中継島

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「まず、この島の地理的優位性をご説明します。この島は我々の本国がある大陸から2000キロ以上も離れているのですが、最近発見された新大陸への航路から見たらなかなかに良い位置に存在しているのですよ」

「新大陸ですか。ではあなた方はもしかしてこの島を開拓しに来たわけではなく、その新大陸を開拓するために?」

「ええ。皇帝陛下は新大陸を他国に占領される前に手に入れるために軍閥貴族の三男や四男を団長とした開拓団を200もの数組織され、飛空船を貸与したのです。我々はそのうちの一つですね」

 この島の占領にそこまで貪欲ではないのには、新大陸というところの占領が彼らの本来の任務であるからだったんだな。
 俺の島はあくまでもついで。
 途中休憩できる島とかあったほうがいいだろうからついでに帝国領にしておくか、くらいの気持ちなのだろう。

「新大陸というのはそんなに魅力的な土地なのですか?」

「ええ、それはもう。広大な平野と豊富な水、更には金銀銅、鉄、ミスリルなどの鉱物資源も豊富です。おそらくこれからの時代はあの大陸を制する国が世界の覇権を取ると思います。そしてそれはできれば帝国であって欲しいと私は思います」

 モリーさんは興奮気味にそう話す。
 愛国心というものを持っている人なんだな。
 モリーさんたちの振る舞いを見る限りはスパヌエル帝国という国はそこそこいい国のように思える。
 話だけ聞いていると新大陸を支配したい領土拡大欲求の強い国という印象だが、征服欲求の赴くままに植民地支配を広げる列強というイメージとは少し違って見える。
 モリーさんたちの人柄なのか帝国人の気質なのかは分からないが、無粋な侵略者という感じがしないのだ。
 俺の話した設定で言えば俺は帝国から2000キロ以上も離れた島育ちのド田舎者だ。
 そんな俺に対しても丁寧な態度を崩さない彼らには素直に好感が持てる。
 俺も世界の覇権というやつを取るのならばこの人たちの国がいいと思うよ。

「それでお話の続きに戻りますが、我々はこの島を新大陸への航路の中継地点としたいのです。ヤマダさんが大事に思っているこの砂浜には手をつけないと誓います。今我々が船を停めている島の南側に港を造る許可を頂けませんか?お借りする土地は南側沿岸部だけで結構ですので」

「港ですか。それだけでいいのですか?」

「ええ。沿岸部に小さな港町のようなものを置かせていただければ我々は船を停めて休むことができます。物資を積み替えることもできますので食料や水の安定化にも繋がります。意外と嵩張るのですよ、水や食料というのは」

 ここが新大陸の航路上で休憩に丁度いい場所だとすれば新大陸というのは彼らの本国から最低でも2000キロ以上は離れていることになる。
 ちょうど中間地点くらいだとすれば4000キロくらいか。
 空を飛ぶ船といったってあの形だ、それほど速さは無いだろう。
 実際に空を飛んでいるのを見た限りでは時速30キロも出てなかったように思える。
 仮に時速20キロで飛ぶとして24時間ずっと飛んでいれば200時間で着く。
 日数にして9日だ。
 前世の世界の大航海時代の航行日数からしてみたら近所に買い物に行くようなものだが、この世界では長いほうなのかもしれない。
 新大陸ではまだ食料生産が始まっていないと考えると、食料はいくらあっても足りないし中間地点に置いておける場所があれば便利だ。
 この島はそんな便利な島のひとつなのだろう。
 適当な話術で乗せられて便利に使われる可能性もあるが、1回だけこの人たちを信じてみるのもいいかもしれない。
 何かあったらダンジョンに引きこもればいいのだしな。


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