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51.古の神器
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「うわぁっ」
「転覆するぞ!!」
「水流操作の魔法で船を安定させろ!!」
巨大な質量が海に倒れこんだせいで、ただでさえ荒れていた海は大荒れとなる。
ガレオン船の欠点である重心の高さは魔法によってなんとかなっているが、この波ではどんな船も転覆する危険性が高いだろう。
ブルーノさんが声をかけて兵士全員で船を安定化させようとするが、この大波は初級魔法でなんとかなるような大きさではない。
俺も手伝うとしよう。
ウォーターハンドの魔法を海面から無数に生やし、船を支える。
「勇者様がご助力くださった。もう大丈夫だ」
「「「うぉぉぉぉっ」」」
兵士たちは勝ち鬨をあげるが、まだ終わってないんだよな。
生命感知の魔法でも、はっきりと巨大な生命体の反応が感じられる。
「ブルーノさん、まだです。気を引き締めて」
「なに!?あの攻撃を食らって死んでないっていうんですかい?」
「おそらく」
「お前ら、まだだ!!まだやってないぞ!!気を引き締めなおせ!!!」
ブルーノさんの声によって、兵士たちは一気に不安そうな顔に戻る。
そりゃあれだけの攻撃を食らって死んでないのだから、さっきまでよりも絶望は大きいだろう。
親シーサーペントが倒れて荒れていた海が平静を取り戻してくる頃、海面が盛り上がり始める。
まるで怪獣映画の東京上陸シーンのように、巨大な蛇が海面に姿を現した。
「うわぁぁぁっ、やっぱり死んでねえ!!」
「ひぃぃっ、もう終わりだ」
「人間が勝てる相手じゃなかったんだ」
「あれは神の遣いなんじゃないのか?」
神か。
あのサイコ女神様の遣いなら、躊躇なく倒せるな。
親シーサーペントは口に魔力を溜める不穏な動きを見せる。
どんどん口に魔力が集まっていく。
なんだか嫌な予感がするな。
怪獣映画だったら口から破壊光線を出す前兆だ。
間違いなくそれに似たような攻撃をするつもりなのだろう。
あのレベルの魔力量を効率的にプラズマに変換したとすれば、上級魔法の結界では防ぎきれないだろう。
特級魔法でなければ防げない。
俺はすぐに特級魔法の魔法陣を描き始める。
間に合って欲しいな。
神巻きタバコの力で増幅されたすべての感覚を総動員して、素早く魔法陣を描いていく。
12、13、14、14秒で描きあがった。
ほぼ同時に親シーサーペントの口から極大の破壊光線が放たれる。
「跳ね返せ、万魔鏡!!」
おっさんのくせに少年漫画の主人公のように魔法名を叫んでしまった。
誰も聞いていなかったことを切に願う。
すべてのエネルギーを反転する魔法の鏡が現われ、船を守る。
親シーサーペントの放った破壊光線は跳ね返された。
自分の放った破壊光線に焼かれる親シーサーペント。
『グルァァァァァァァァッ……』
さすがに自分の攻撃でやられてくれるほど、甘い魔物ではないか。
大きなダメージは入っただろうが、まだまだ元気そうだ。
「ブルーノさん。船を遠ざけてもらえませんか。私が足止めしてきます」
魔導レールガンが効かないのでは、船は足手まといになる。
たぶん倒すのには神器か特級魔法を使うことになるだろう。
船には巻き込まれない場所まで離れてもらったほうが、俺としてもやりやすい。
「一人で大丈夫ですか?」
「無理はしませんよ。一人なら逃げるくらいはたぶんできると思います。できるだけ船を遠ざけてください」
「ご武運を」
「ええ、そちらもお気をつけて」
俺は船から飛び降りた。
空中歩行の魔法で空を駆ける。
スピードでは俺のほうが大幅に上回っているな。
あの巨体で俺よりも速く動かれたら勝ち目は無かったけど。
のろまなデカブツで助かった。
これならチマチマ削って、大技でドカンと倒せそうだ。
『グルルルルッ……』
親シーサーペントは自分の破壊光線を跳ね返したのが俺だと分かっているのか、少し警戒した様子だ。
船はまだ見える位置にいるので、慎重になってくれるのは俺としても望むところだ。
俺は空中に静止して様子を見る。
向こうが何かしてくるまでは様子見でいいな。
『グラァァァッ』
空がピカッと光って雷が俺目がけて落ちる。
もちろん雷なんて避けられるものじゃないので俺に命中した。
だからなんだという話だが。
アンネローゼさんとの決闘では電撃によって一時的に麻痺してしまったせいで手傷を負ってしまったのだ。
対策はしてある。
魔法文字を刺青として身体に刻むことによって、俺の身体は電流を別の空間に逃がす構造になっているのだ。
家電に付いているアース線みたいなものだ。
もちろん雷に打たれているわけなので、多少のダメージはある。
しかし動けなくなることがなければ、この身体の自然治癒力によってすぐにダメージは回復する。
『グルルル……』
雷を受けても平然としている俺に、親シーサーペントはさらに警戒を高める。
雨と風がさらに強くなった気がする。
もしかしてこの天候不良もこいつの仕業なのだろうか。
とんでもない魔物がいたもんだ。
海にはこんなのがうようよしているのだろうか。
怖すぎるな。
さすがにこんなやつは何匹もいないかも。
『グルァァァァァッ』
親シーサーペントはまた口に大量の魔力を溜め始める。
俺は後ろをちらっと見る。
船はもう見えないくらい遠くまで行ったようだ。
そろそろ、やるか。
俺は何度も練習して、特級魔法の中では一番早く発動できる魔法を使用する。
この魔法は剣に付与して使うものだから、竜殺しの剣を具現化する。
おそらく男爵から預かっている宝剣は耐えられないと思うから。
しかしそんな俺の考えとは違い、男爵家の宝剣はドクンと自分の存在をアピールするようにその波動を伝えてくる。
いけるのか。
いける、剣はそう答えたような気がした。
俺は竜殺しの剣を消し、男爵家の宝剣を鞘から抜いた。
俺の魔力を吸い取って、剣が振動する。
それはまるで剣が鳴いているようだった。
何百年ぶりに吸った魔力に歓喜するように、その力を振るえる強敵に感謝するように。
特級魔法の魔法陣が完成する。
魔法名は分子間結合力消滅ブレード。
作った奴はたぶん地球人だな、理系の。
魔法の知識は分かるけど、科学の知識がさっぱりだから俺には何がどうなっているのか分からない魔法だ。
しかしこの魔法を使えば剣に分子間結合力を失わせる力が宿る。
使う魔力量が膨大だから普通の剣では魔法を付与することができない。
男爵から預かっている宝剣はさすが元神器なだけあって、俺の魔力をもろともしない。
というか、俺の魔法を食ってないか?この剣。
なんだかいつもと感触が違う。
もう破壊光線が放たれてしまう。
俺は仕方なく空中を蹴って親シーサーペントの巨体に一撃入れた。
『グルァァァァッ!!』
ぼんやりとした燐光を纏った剣は、分厚い鱗の生えた表皮を切り裂いた。
魔法はちゃんと発動してくれたようだ。
やはり剣が短いのでそこまで深い傷は与えられなかったが、親シーサーペントは痛みに悶える。
その分厚い表皮を傷つけられたことなんてなさそうだからな。
痛みに弱いのだろう。
俺は親シーサーペントが悶えているうちに、特級魔法をもう一度発動させようとする。
しかし握っている剣から、ドクンとまた波動が伝わってくる。
必要ないって言ってるのか?
男爵家の宝剣はそうだとでも言うように俺の魔力を吸い上げる。
するとまるで分子間結合力消滅ブレードが発動しているかのように、刀身が燐光を放ち始める。
「お前、これ……」
剣はやれとでも言わんばかりに燐光を強める。
腐っても神器とか思ってごめん。
お前は立派に、神器だよ。
それもアタリのな。
俺はシーサーペントの首目がけて、本気の一撃を叩き込んだ。
巨大な蛇の首は半ばまで切断され、血の雨が降る。
いい剣だ。
「転覆するぞ!!」
「水流操作の魔法で船を安定させろ!!」
巨大な質量が海に倒れこんだせいで、ただでさえ荒れていた海は大荒れとなる。
ガレオン船の欠点である重心の高さは魔法によってなんとかなっているが、この波ではどんな船も転覆する危険性が高いだろう。
ブルーノさんが声をかけて兵士全員で船を安定化させようとするが、この大波は初級魔法でなんとかなるような大きさではない。
俺も手伝うとしよう。
ウォーターハンドの魔法を海面から無数に生やし、船を支える。
「勇者様がご助力くださった。もう大丈夫だ」
「「「うぉぉぉぉっ」」」
兵士たちは勝ち鬨をあげるが、まだ終わってないんだよな。
生命感知の魔法でも、はっきりと巨大な生命体の反応が感じられる。
「ブルーノさん、まだです。気を引き締めて」
「なに!?あの攻撃を食らって死んでないっていうんですかい?」
「おそらく」
「お前ら、まだだ!!まだやってないぞ!!気を引き締めなおせ!!!」
ブルーノさんの声によって、兵士たちは一気に不安そうな顔に戻る。
そりゃあれだけの攻撃を食らって死んでないのだから、さっきまでよりも絶望は大きいだろう。
親シーサーペントが倒れて荒れていた海が平静を取り戻してくる頃、海面が盛り上がり始める。
まるで怪獣映画の東京上陸シーンのように、巨大な蛇が海面に姿を現した。
「うわぁぁぁっ、やっぱり死んでねえ!!」
「ひぃぃっ、もう終わりだ」
「人間が勝てる相手じゃなかったんだ」
「あれは神の遣いなんじゃないのか?」
神か。
あのサイコ女神様の遣いなら、躊躇なく倒せるな。
親シーサーペントは口に魔力を溜める不穏な動きを見せる。
どんどん口に魔力が集まっていく。
なんだか嫌な予感がするな。
怪獣映画だったら口から破壊光線を出す前兆だ。
間違いなくそれに似たような攻撃をするつもりなのだろう。
あのレベルの魔力量を効率的にプラズマに変換したとすれば、上級魔法の結界では防ぎきれないだろう。
特級魔法でなければ防げない。
俺はすぐに特級魔法の魔法陣を描き始める。
間に合って欲しいな。
神巻きタバコの力で増幅されたすべての感覚を総動員して、素早く魔法陣を描いていく。
12、13、14、14秒で描きあがった。
ほぼ同時に親シーサーペントの口から極大の破壊光線が放たれる。
「跳ね返せ、万魔鏡!!」
おっさんのくせに少年漫画の主人公のように魔法名を叫んでしまった。
誰も聞いていなかったことを切に願う。
すべてのエネルギーを反転する魔法の鏡が現われ、船を守る。
親シーサーペントの放った破壊光線は跳ね返された。
自分の放った破壊光線に焼かれる親シーサーペント。
『グルァァァァァァァァッ……』
さすがに自分の攻撃でやられてくれるほど、甘い魔物ではないか。
大きなダメージは入っただろうが、まだまだ元気そうだ。
「ブルーノさん。船を遠ざけてもらえませんか。私が足止めしてきます」
魔導レールガンが効かないのでは、船は足手まといになる。
たぶん倒すのには神器か特級魔法を使うことになるだろう。
船には巻き込まれない場所まで離れてもらったほうが、俺としてもやりやすい。
「一人で大丈夫ですか?」
「無理はしませんよ。一人なら逃げるくらいはたぶんできると思います。できるだけ船を遠ざけてください」
「ご武運を」
「ええ、そちらもお気をつけて」
俺は船から飛び降りた。
空中歩行の魔法で空を駆ける。
スピードでは俺のほうが大幅に上回っているな。
あの巨体で俺よりも速く動かれたら勝ち目は無かったけど。
のろまなデカブツで助かった。
これならチマチマ削って、大技でドカンと倒せそうだ。
『グルルルルッ……』
親シーサーペントは自分の破壊光線を跳ね返したのが俺だと分かっているのか、少し警戒した様子だ。
船はまだ見える位置にいるので、慎重になってくれるのは俺としても望むところだ。
俺は空中に静止して様子を見る。
向こうが何かしてくるまでは様子見でいいな。
『グラァァァッ』
空がピカッと光って雷が俺目がけて落ちる。
もちろん雷なんて避けられるものじゃないので俺に命中した。
だからなんだという話だが。
アンネローゼさんとの決闘では電撃によって一時的に麻痺してしまったせいで手傷を負ってしまったのだ。
対策はしてある。
魔法文字を刺青として身体に刻むことによって、俺の身体は電流を別の空間に逃がす構造になっているのだ。
家電に付いているアース線みたいなものだ。
もちろん雷に打たれているわけなので、多少のダメージはある。
しかし動けなくなることがなければ、この身体の自然治癒力によってすぐにダメージは回復する。
『グルルル……』
雷を受けても平然としている俺に、親シーサーペントはさらに警戒を高める。
雨と風がさらに強くなった気がする。
もしかしてこの天候不良もこいつの仕業なのだろうか。
とんでもない魔物がいたもんだ。
海にはこんなのがうようよしているのだろうか。
怖すぎるな。
さすがにこんなやつは何匹もいないかも。
『グルァァァァァッ』
親シーサーペントはまた口に大量の魔力を溜め始める。
俺は後ろをちらっと見る。
船はもう見えないくらい遠くまで行ったようだ。
そろそろ、やるか。
俺は何度も練習して、特級魔法の中では一番早く発動できる魔法を使用する。
この魔法は剣に付与して使うものだから、竜殺しの剣を具現化する。
おそらく男爵から預かっている宝剣は耐えられないと思うから。
しかしそんな俺の考えとは違い、男爵家の宝剣はドクンと自分の存在をアピールするようにその波動を伝えてくる。
いけるのか。
いける、剣はそう答えたような気がした。
俺は竜殺しの剣を消し、男爵家の宝剣を鞘から抜いた。
俺の魔力を吸い取って、剣が振動する。
それはまるで剣が鳴いているようだった。
何百年ぶりに吸った魔力に歓喜するように、その力を振るえる強敵に感謝するように。
特級魔法の魔法陣が完成する。
魔法名は分子間結合力消滅ブレード。
作った奴はたぶん地球人だな、理系の。
魔法の知識は分かるけど、科学の知識がさっぱりだから俺には何がどうなっているのか分からない魔法だ。
しかしこの魔法を使えば剣に分子間結合力を失わせる力が宿る。
使う魔力量が膨大だから普通の剣では魔法を付与することができない。
男爵から預かっている宝剣はさすが元神器なだけあって、俺の魔力をもろともしない。
というか、俺の魔法を食ってないか?この剣。
なんだかいつもと感触が違う。
もう破壊光線が放たれてしまう。
俺は仕方なく空中を蹴って親シーサーペントの巨体に一撃入れた。
『グルァァァァッ!!』
ぼんやりとした燐光を纏った剣は、分厚い鱗の生えた表皮を切り裂いた。
魔法はちゃんと発動してくれたようだ。
やはり剣が短いのでそこまで深い傷は与えられなかったが、親シーサーペントは痛みに悶える。
その分厚い表皮を傷つけられたことなんてなさそうだからな。
痛みに弱いのだろう。
俺は親シーサーペントが悶えているうちに、特級魔法をもう一度発動させようとする。
しかし握っている剣から、ドクンとまた波動が伝わってくる。
必要ないって言ってるのか?
男爵家の宝剣はそうだとでも言うように俺の魔力を吸い上げる。
するとまるで分子間結合力消滅ブレードが発動しているかのように、刀身が燐光を放ち始める。
「お前、これ……」
剣はやれとでも言わんばかりに燐光を強める。
腐っても神器とか思ってごめん。
お前は立派に、神器だよ。
それもアタリのな。
俺はシーサーペントの首目がけて、本気の一撃を叩き込んだ。
巨大な蛇の首は半ばまで切断され、血の雨が降る。
いい剣だ。
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