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53.宝箱
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ダンジョンにはDPの消費によって生み出せるモンスターや宝箱、罠などがある。
罠やモンスターは基本的に防衛機構の一部なので島が大軍に攻められるようなことがない限りは、今後使うこともないだろう。
問題は宝箱だ。
宝箱は3種類。
消費DP1000の普通の宝箱と、消費DP1万の良い宝箱、消費DP10万のスペシャル宝箱。
現在の月間DP収支がプラス300ポイントくらい。
DPが1万や10万もかかる良い宝箱とスペシャル宝箱は、今のままではとても手の届くものではない。
だけど一番消費DPの低い普通の宝箱ならばなんとか届かないこともない。
一番欲しかった畑も作ることができたし、今はDPに余裕がある。
スマホに表示されたダンジョンのアプリを操作して普通の宝箱の数量を2にし、作成をタップ。
俺は一番安い普通の宝箱を2つ生み出してみた。
「へー、普通の宝箱っていうのがよくわからなかったけれど、たしかに普通と言われれば普通の外観だ」
長屋の板の間に生み出されたのは、木と金属で作られたRPGでおなじみの宝箱。
箱の表面には塗装も装飾もされておらず、飾り気のない外観は確かに普通といえる。
だが肝心なのは中身だ。
宝箱には鍵や罠もオプションでつけることができたが、当然ながら今回は何もつけていない。
ゆきまるが近づいても安心だ。
宝箱が気になるのか、ゆきまるはフンフンとしきりに宝箱の匂いを嗅いでいる。
やがてカリカリと短い前足で宝箱を開けろと催促し始めたのでそろそろ開けるとしよう。
宝箱の蓋に手をかけ、ぐっと力を入れて開ける。
結構重たい質感だ。
蝶番を支点にパカリと開く宝箱。
その中には小瓶が一つ。
「これは……万能薬だな」
Bランクでよく出る薬品、万能薬だった。
瓶に貼られたラベルにも達筆な日本語で万能薬と書かれている。
間違いなく万能薬だ。
たしかに何も知らない人が宝箱を開けて、そこにどんな病気でも治せる万能薬が入っていたらそれは大層喜ぶだろう。
万金にも換えがたい宝だ。
だけど俺はもうこのアイテムをたくさん持っている。
ガチャで出てくるときも10本単位で出てくるし。
少し残念な気分になった。
1000DP返してもらいたい。
残念ながら返品という項目はダンジョンアプリには無いようだ。
1000DPの使い方を完全に間違えてしまった。
そして残念なことはもう一つ。
宝箱がもう一つあります。
宝箱の中身を比較検証するために、俺は2つの宝箱を作成していたのだ。
あまり期待せずにもう一つの宝箱を開ける。
「うゎっ」
中に入っていたのは大量の金銀財宝だった。
まあまあ嬉しい。
必要か必要でないかで言ったら、必要ではない。
だが金銀財宝っていうのは貰ったらなんとなく嬉しいものだ。
キラキラ光る宝石の付いた首飾りがあったので、現在近所の奥様方と井戸端会議を繰り広げている雪さんが帰ってきたらあげるとしよう。
2つの宝箱を開けて、中身はランダムだということが分かった。
1000DPで生み出せる普通の宝箱から出てくるアイテムは、ガチャから出てくるアイテムのランクで評するならば大体Bランクくらいだろうか。
単純に考えるなら、1万DPの良い宝箱から出てくるのはAランク、10万DPのスペシャル宝箱から出てくるのはSランクのアイテムなのではないだろうか。
現在アイテムを手に入れる手段はガチャしかないわけで、それが俺の戦国時代を生きていくための頼みの綱なわけだ。
だけどこうしてDPを溜めればガチャに頼ることなくアイテムを手に入れることができることが分かった。
それも最近ではたまにしか出ないBASランクのアイテムがだ。
DPをもっと溜めて宝箱を量産したいものだ。
それにしても、中身を取り出したのに外側の箱が消えない。
1個、2個くらいはいい箱が手に入って家で使おうってなるかもしれないけれど、これからどんどん宝箱を量産していったら箱が邪魔になりそうだ。
箱屋が開けるかもしれない。
山内家の商売にするのはどうだろうか。
箱屋山内、微妙だな。
とりあえず、ダンジョンの領域は島の周囲1キロくらいで止めておこうと思う。
海の中はダンジョンポイントの収集効率が悪いようだ。
日夜様々な命が生まれては消えていく海の中はエネルギーのサイクルが完成されていて余剰エネルギーが少ない、というのが俺の推論だ。
この推論は火山だとかプレートの境界線だとかの余剰エネルギーが度々自然現象として噴出する場所をダンジョンの領域にしてみれば確かめることができるだろう。
まあそれはそのうち。
今は手っ取り早くDPを稼ぎたい。
一番手っ取り早いのはやっぱり人のたくさんいる場所をダンジョンの領域とすることだろう。
しかし島からダンジョン領域を伸ばしていたのでは、本土にたどり着くのに何十年かかるのか分からない。
そこで俺は、サブコアというアイテムを使うことにした。
これはダンジョンに飛び地を作るためのアイテムだ。
ビー玉くらいの大きさで、ダンジョンコアを小さくしたような見た目をしている。
これを埋め込んだ場所がダンジョンの領域となってしまうという凄いアイテムだ。
更にDPを注ぎ込んでいくことによって、埋め込んだ場所からダンジョン領域を伸ばしていけるというわけだ。
本体のダンジョンコアは破壊されるとダンジョンがすべて塵となって更地に戻るというリスクを抱えているのだが、このサブコアも破壊されると飛び地はすべて塵となる。
埋め込む場所は良く考えて決めなければいけない。
島のダンジョンコアは以前子供たちがふざけて棒で叩こうとしていたので、すでに草原フィールドの隅に建てた玉座塔のてっぺんに移した。
ただ30メートルほどの高さの塔を建ててその上に玉座ごと動かしただけだが、なんの手がかりもないツルツルの塔を30メートル登れる人間は島には居ないのでたぶん大丈夫だろう。
これから設置するサブコアも、同じような工夫が必要になる。
問題は日本のどこに設置するかだが、今現在日本列島で一番人がいるのはどこだろうか。
京都か岐阜か、はたまた堺や博多なんかの港町も人は多いかな。
しかし普段行かない場所に大切なものを隠すのはなんか不安だから、やっぱり岐阜かな。
岐阜の町のどこにどうやってサブコアを埋め込むのか、それが問題だ。
罠やモンスターは基本的に防衛機構の一部なので島が大軍に攻められるようなことがない限りは、今後使うこともないだろう。
問題は宝箱だ。
宝箱は3種類。
消費DP1000の普通の宝箱と、消費DP1万の良い宝箱、消費DP10万のスペシャル宝箱。
現在の月間DP収支がプラス300ポイントくらい。
DPが1万や10万もかかる良い宝箱とスペシャル宝箱は、今のままではとても手の届くものではない。
だけど一番消費DPの低い普通の宝箱ならばなんとか届かないこともない。
一番欲しかった畑も作ることができたし、今はDPに余裕がある。
スマホに表示されたダンジョンのアプリを操作して普通の宝箱の数量を2にし、作成をタップ。
俺は一番安い普通の宝箱を2つ生み出してみた。
「へー、普通の宝箱っていうのがよくわからなかったけれど、たしかに普通と言われれば普通の外観だ」
長屋の板の間に生み出されたのは、木と金属で作られたRPGでおなじみの宝箱。
箱の表面には塗装も装飾もされておらず、飾り気のない外観は確かに普通といえる。
だが肝心なのは中身だ。
宝箱には鍵や罠もオプションでつけることができたが、当然ながら今回は何もつけていない。
ゆきまるが近づいても安心だ。
宝箱が気になるのか、ゆきまるはフンフンとしきりに宝箱の匂いを嗅いでいる。
やがてカリカリと短い前足で宝箱を開けろと催促し始めたのでそろそろ開けるとしよう。
宝箱の蓋に手をかけ、ぐっと力を入れて開ける。
結構重たい質感だ。
蝶番を支点にパカリと開く宝箱。
その中には小瓶が一つ。
「これは……万能薬だな」
Bランクでよく出る薬品、万能薬だった。
瓶に貼られたラベルにも達筆な日本語で万能薬と書かれている。
間違いなく万能薬だ。
たしかに何も知らない人が宝箱を開けて、そこにどんな病気でも治せる万能薬が入っていたらそれは大層喜ぶだろう。
万金にも換えがたい宝だ。
だけど俺はもうこのアイテムをたくさん持っている。
ガチャで出てくるときも10本単位で出てくるし。
少し残念な気分になった。
1000DP返してもらいたい。
残念ながら返品という項目はダンジョンアプリには無いようだ。
1000DPの使い方を完全に間違えてしまった。
そして残念なことはもう一つ。
宝箱がもう一つあります。
宝箱の中身を比較検証するために、俺は2つの宝箱を作成していたのだ。
あまり期待せずにもう一つの宝箱を開ける。
「うゎっ」
中に入っていたのは大量の金銀財宝だった。
まあまあ嬉しい。
必要か必要でないかで言ったら、必要ではない。
だが金銀財宝っていうのは貰ったらなんとなく嬉しいものだ。
キラキラ光る宝石の付いた首飾りがあったので、現在近所の奥様方と井戸端会議を繰り広げている雪さんが帰ってきたらあげるとしよう。
2つの宝箱を開けて、中身はランダムだということが分かった。
1000DPで生み出せる普通の宝箱から出てくるアイテムは、ガチャから出てくるアイテムのランクで評するならば大体Bランクくらいだろうか。
単純に考えるなら、1万DPの良い宝箱から出てくるのはAランク、10万DPのスペシャル宝箱から出てくるのはSランクのアイテムなのではないだろうか。
現在アイテムを手に入れる手段はガチャしかないわけで、それが俺の戦国時代を生きていくための頼みの綱なわけだ。
だけどこうしてDPを溜めればガチャに頼ることなくアイテムを手に入れることができることが分かった。
それも最近ではたまにしか出ないBASランクのアイテムがだ。
DPをもっと溜めて宝箱を量産したいものだ。
それにしても、中身を取り出したのに外側の箱が消えない。
1個、2個くらいはいい箱が手に入って家で使おうってなるかもしれないけれど、これからどんどん宝箱を量産していったら箱が邪魔になりそうだ。
箱屋が開けるかもしれない。
山内家の商売にするのはどうだろうか。
箱屋山内、微妙だな。
とりあえず、ダンジョンの領域は島の周囲1キロくらいで止めておこうと思う。
海の中はダンジョンポイントの収集効率が悪いようだ。
日夜様々な命が生まれては消えていく海の中はエネルギーのサイクルが完成されていて余剰エネルギーが少ない、というのが俺の推論だ。
この推論は火山だとかプレートの境界線だとかの余剰エネルギーが度々自然現象として噴出する場所をダンジョンの領域にしてみれば確かめることができるだろう。
まあそれはそのうち。
今は手っ取り早くDPを稼ぎたい。
一番手っ取り早いのはやっぱり人のたくさんいる場所をダンジョンの領域とすることだろう。
しかし島からダンジョン領域を伸ばしていたのでは、本土にたどり着くのに何十年かかるのか分からない。
そこで俺は、サブコアというアイテムを使うことにした。
これはダンジョンに飛び地を作るためのアイテムだ。
ビー玉くらいの大きさで、ダンジョンコアを小さくしたような見た目をしている。
これを埋め込んだ場所がダンジョンの領域となってしまうという凄いアイテムだ。
更にDPを注ぎ込んでいくことによって、埋め込んだ場所からダンジョン領域を伸ばしていけるというわけだ。
本体のダンジョンコアは破壊されるとダンジョンがすべて塵となって更地に戻るというリスクを抱えているのだが、このサブコアも破壊されると飛び地はすべて塵となる。
埋め込む場所は良く考えて決めなければいけない。
島のダンジョンコアは以前子供たちがふざけて棒で叩こうとしていたので、すでに草原フィールドの隅に建てた玉座塔のてっぺんに移した。
ただ30メートルほどの高さの塔を建ててその上に玉座ごと動かしただけだが、なんの手がかりもないツルツルの塔を30メートル登れる人間は島には居ないのでたぶん大丈夫だろう。
これから設置するサブコアも、同じような工夫が必要になる。
問題は日本のどこに設置するかだが、今現在日本列島で一番人がいるのはどこだろうか。
京都か岐阜か、はたまた堺や博多なんかの港町も人は多いかな。
しかし普段行かない場所に大切なものを隠すのはなんか不安だから、やっぱり岐阜かな。
岐阜の町のどこにどうやってサブコアを埋め込むのか、それが問題だ。
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