おっぱいポイント

兎屋亀吉

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1.死ぬ直前に後輩のおっぱいを揉んだ結果

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 目の前には美女が涙を浮べている。
 おっぱいでかいな。
 美女は俺の会社の後輩だ。
 ストーカー被害にあった後輩のために一肌脱いだ結果がこのザマだ。
 ストーカー野朗は俺の背中を2、3回刺した後、逃げ出して車に轢かれて死んでしまった。
 なんて勝手なやつなんだ。
 だけど俺もそんなにあのストーカーと人間性は変わらない。
 後輩のために一肌脱ぐとかいって、本当は童貞を卒業できるかもしれないとか、お礼におっぱいくらい揉ませてくれないかなとか思っていたのだ。
 俺も最期くらい自分に正直に生きてみようか。
 もう声も出ないほど衰弱した俺は、自分の命を燃やし尽くすように最期の力を振り絞り右腕を上げ………後輩のおっぱいを揉んだ。
 やわらけぇ。
 それが俺の最期となった。




「素晴らしい」

 先ほどまで美人の後輩が涙を浮べていたが、今は俺の前でダンディーなおじさんが涙を浮べている。

「本当に素晴らしい。感動したよ。最後の最期でおっぱいを揉んで死ぬなんて君、僕は感動したよ」

「照れますね」

「いや本当に本当に素晴らしいよ。僕は性愛の神だからね、いろんな死に方を見てきたよ。腹上死やプレイ中の事故なんかで亡くなる人はいたけど、みんなその死に方を悔いていた。だけど君の心に残った後悔の念は、おっぱいを一揉みしたらすべて綺麗さっぱりなくなったんだ。こんなことって信じられるかい!?」

 性愛の神を自称するおじさんは、興奮しながら俺に詰め寄った。
 
「君はすごいよ。僕は君の人生をもっと見たいよ。君を見ていると、なにか自分の中の新しい扉が開くような気がするんだ。お願い、僕にもう少し君の生き様を見せてくれないかな?」

「と、おっしゃられても私はもう死んでますけど…」

「大丈夫、生き返らせるのは禁忌なんだけど、こっそり別の世界の死にかけの身体とかに魂を憑依させるとかは他の神たちもやってることだから」

「死にかけの身体に憑依してもすぐに死んじゃうんじゃないですか?」

「そうだね……そうだ!僕すごく面白いことを思いついたよ!!おっぱいを揉むごとにポイントが溜まるようにするんだ。それでそのポイントを使えばなんでも手に入る。さっき君は一揉みしてるからそのポイントを使って死にかけの状況から脱却してくれればいいんだよ」

 性愛の神はしきりに頷き、僕は天才だなどと言っている。
 
「でもそれだとお金払って揉ませてもらったらなんでもできちゃうんじゃ?」

「そっか。じゃあお金を払うのは無効で、無理やりもずるいし女の子が可哀想。あと1揉み何ポイントかは憑依する対象がおっぱいを揉む難易度によって最初に決めよう。ルールはこのくらいかな。楽しくなってきたね」

 余計なことを言ってせっかくのチートし放題を不意にしてしまっただろうか。
 いや、別にいいか。
 一度死んで、別の身体とはいえまだ生きることができるだけでもありがたい。
 今度は死んじゃう前におっぱいを揉みたいな。
 前世では結局1回しか揉んでないし。
 でもあの1回で何もかもが満たされた気がしたんだよな。
 おっぱいは偉大だ。

「うーん、あまりいい身体がないね」

 神様はなにやら水晶玉のようなものを覗きこんで良さそうな死にかけの人を探している。
 やはりまだ死んでなくて魂が抜けてしまっているいい感じの身体となると、なかなか思うようにはいかないようだ。

「この中だと46歳独身のおじさんの身体が一番マシかな。他はもう脳みそが機能停止しちゃってる身体とか赤ん坊とか老人とかだから」

 46歳か。
 そんなに老い先長くないよな。
 それに独身。
 奥さんがいればおっぱい揉むのは簡単なのにな。
 
「あ、でもちゃんとおっぱいポイント溜めれば若返りとかできるようにするから。ちょっと歳とってるくらいは問題ないよ。おっぱい揉むのは困難かもしれないけど…」

 おっぱい…揉みたい。
 俺は涙目で神様を見る。

「お、おっぱいポイントは奮発するよ。一揉み1万ポイント」
 
 おっぱい揉めないなら意味無いじゃん。

「顔はどんな感じですか?ダンディーな感じならまだいけるかも…」

「うーん。どうだろうね。こういう男の人が好きな人も……いるかも」

 神様が見せてくれた男の身体は、中年太りとバーコードのダブルパンチだった。
 職業は冒険者。
 それも鳴かず飛ばずのうちに46歳まできてしまった底辺冒険者だった。
 その腹は見事にビール腹。
 そして頭頂部の毛根が死滅していた。
 ひどすぎる。
 おっぱいを揉むには何もかもが遅すぎる。
 しかし若返ってやり直すにはおっぱいを揉んでポイントを溜めないといけない。
 
「でも他に良さそうな人はいないからねぇ。たぶん待っていてもこの人よりもいい感じの人が死にそうになるのに何年かかるか」

 しょうがない。
 あきらめよう。
 お金を払っておっぱいを揉んでもポイントは入らないけれど、おっぱいの柔らかさは同じじゃないか。
 前世ではなかなか勇気が出せなくて風俗店にはいけなかったけれど、今度こそ思う存分おっぱいを揉んでやる。
 そしてその先も。
 今度こそ、童貞を卒業するんだ。
 もうプロでもなんでもいいじゃないか。
 穴に棒が入っていたら童貞卒業だと思って何が悪いんだ。
 願わくば、これから向かう世界には素人童貞という言葉がありませんように。
 俺が無言でうんと頷くと、神様もうんと頷き返してくれた。
 さあ、異世界におっぱいを揉みに行こうか。

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