おっぱいポイント

兎屋亀吉

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2.シスターがエロい確立は83%(当社調べ)

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 目を開けると同時に猛烈な痛みにうめき声をあげる。
 そういう仕様なのかこの身体の元の持ち主の今まで経験したことが流れ込んでくる。
 これで言葉も常識も何も問題ないというわけだ。
 だが、頭が割れるように痛い。
 さらには死にかけの身体なのだから当然致命傷を負っている。
 
「ぐぅ、い、痛ってぇ!」

 左腕が何かに食いちぎられたように千切れ飛んでいる。
 左脚も太ももから先に重みを感じない。
 身をよじると今まで辛うじて止まっていた血が噴出す。
 この身体の持ち主は冒険者なのだが、ゴブリンくらいしか倒せないくらい弱い。
 それなのに分不相応にも格上のフォレストウルフ討伐の依頼を受けて見事返り討ちにあったのだ。

「だめです!動かないで!!」

 痛みで無意識にビクンビクン痙攣する俺の身体を華奢な細腕が押さえつける。
 その白くて綺麗な手から暖かい光が降り注ぎ、俺の腕と脚の出血を抑える。
 完全には血は止まらなかったが、少しはマシになった。

「ケルビムさん、意識が戻ったんですね?これは何本に見えますか?」

 細腕の持ち主、黒い修道服を身に纏ったシスターが指を3本立てて俺に問う。

「3本…」

「よかった。本当に意識がはっきりしているんですね」

 シスターは少し安心したような顔になるが、その顔には隠しきれない憐憫の色が見て取れる。
 もう俺の死は覆せない、それを悟って死ぬ前になにか言い残すことなどを聞くつもりなのだろう。
 千切れた手足の汚い切断面からはまだジクジクと血が流れているし、神経に釘を打ち込まれているような耐え難い痛みが絶えず俺を襲っている。
 シスターの修道服の裾に付着する夥しい赤色が俺の出血量をものがたっている。
 早くおっぱいポイントを使って回復しないとシスターの予想通りになってしまうだろう。
 そこでふと思う。
 死ぬ直前というこの状況、前世に似ている。
 そこで一番に思い出すのはやはり美人後輩の柔らかいおっぱいの感触。
 俺は修道服の奥に隠れたシスターのおっぱいを幻視する。
 身体の線が出にくい修道服だが、シスターのおっぱいはそんなことは関係ないとばかりに自己主張している。
 今の俺の状況だったら、頼んだら揉ませてくれるんじゃないのか?
 家族も友人も恋人もいない、孤独に死にゆく男の最期の頼みだ。
 あわよくば、慈悲の心であの柔らかい宝具を貸してくれるかもしれない。
 そうと決まれば急がないと。
 2度目の俺の命が尽きる前に。

「シスター…」

「なんでしょう」

 シスターはデブでハゲな俺なんかの手をとって笑いかけてくれる。
 天使かあんたは。

「もう俺はだめだ、最期に頼みがあるんだ…」

「承りましょう」

「最期におっぱいが揉みたい」

 シスターは少し赤くなったが、悩んでいる時間がないと思ったかそれともこれから死ぬ奴に揉まれてもノーカウントだと思ったのかすぐに胸を差し出した。
 当然俺は1分1秒を惜しむように揉んだ。
 無事なほうの手にその柔らかさを刻み付けるようにして時に優しく時に激しく揉みしだいた。
 神に仕えるシスターを汚す背徳感が死にかけの俺の意識を繋ぎとめる。
 命の危機とシスターのおっぱいに反応した2度目の人生の相棒は、なかなかの大きさ。
 この身体を選んでよかった。
 性愛の神に祈りを。
 至福のときはあっという間に過ぎ行く。
 おっぱいを30回ほど揉んだところでそろそろ身体が限界だ。
 早く回復しないと死ぬ。
 シスターは顔を真っ赤にして少しメスの顔になっている。
 危ない危ない。
 シスターを快楽堕ちさせてしまうところだった。
 こういう真面目そうなタイプは簡単に快楽堕ちしちゃうからね。
 これエロゲの常識。
 と、ふざけてたら本当に死ぬ。
 俺はおっぱいポイントを使うと念じる。
 すると虚空に有機ELディスプレイみたいなものが出てきて、おっぱいポイント350000ポイントという表示と、その下に膨大な変換物リストが出てくる。
 これは時間の配分を間違えたかもしれない。
 おっぱいを揉みすぎた。
 この中から回復手段を探すのは時間がかかりそうだ。
 だがその懸念はすぐに解決された。
 ディスプレイの表示が変わり、この状況から回復できるスキルやアイテムなどがピックアップされたのだ。
 検索もできるなんて便利なシステムだ。
 俺はその中からスキル以外の手段を除外する。
 この世界にはスキルというものがある。
 それはこの世界すべての生き物に宿る神の恩恵。
 剣術のように武術をサポートするスキルや、前世の世界では超能力としかいえないような力まで様々なスキルによってこの世界の生き物は食物連鎖を成している。
 前世の世界ではウサギは決してライオンには勝てなかったが、この世界ではスキルによってその力関係が覆されることもある。
 そんなスキルを俺はおっぱいポイントで取得することができるのだ。
 一度は諦めたが、シスターのおかげで実現したチートというやつだ。
 シスターからもらった慈悲のおっぱいポイントを無駄にしないように、俺は一度の回復しかできないアイテムなどを除外して何度も使用できるスキルに対象を絞る。
 そして最終的に回復魔法と超再生の2択にまで絞り込んだ。
 迷っている時間はない。
 そろそろ俺の意識が飛びそうだ。
 意識を失えばもう戻ることはないだろう。
 俺は圧倒的に便利な回復魔法を選択しようとするがその直前で、ふと目の前のシスターと視線がぶつかる。
 彼女はどことなく申し訳なさそうな顔をしている気がする。
 ずっと俺に回復魔法をかけていたのに、スキルレベルが低いせいで俺を助けることができないことを悔いているのだろう。
 そんな彼女の前で、彼女よりもレベルが上の回復魔法なんて使えるか?
 今までそのスキルを使わなかった俺はなんだ?
 おっぱいまで揉んで、自分をあざ笑っていたのではと彼女は思うだろう。
 俺はもう回復魔法を選べなくなっていた。
 しょうがなく超再生を取得する。
 超再生ならば人間が取得することはありえないスキルだから彼女には何が起こっているのかわからないだろう。
 神にスキルを頂いたとでも言っておけば問題ない。
 神といってもこの世界の堅物みたいな神とは違ってゆるゆるの性愛の神だけどな。
 取得にかかるポイントは1万ポイント。
 レベルを1上げるのにかかるポイントも1万ポイント。
 スキルの有無で強さが決まる世界。
 そんな世界で俺はおっぱい一揉みで新しいスキルを取得し、もう一揉みでスキルレベルを1上げられる。
 まったく、チートってやつは持ち主を試してくるようだ。

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