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15.おっさんと薬草とゴブリンと
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鑑定持ちに薬草採取なんて楽勝などというWEB小説の主人公の甘言にそそのかされて、ひとつ上のランクである薬草採取を受けてしまった俺だったが、いまだにひとつも薬草を見つけられないでいた。
あたりまえだが、薬草を薬草と見分けられるだけで薬草採取が楽勝になるんだったら誰も冒険者などという脳筋の集まりに依頼なんて出さない。
薬草採取の依頼がゴブリン駆除と同格のEランクの依頼である理由は、ゴブリンと戦うのと同等の危険がある場所に薬草が生えているからに他ならない。
つまり、町の周辺の安全な草むらなどを半日ほど延々と探し回っていた俺の苦労は無駄であったということだ。
みんな見ろ、これが情報弱者というものの姿だ。
哀れだ。
気を取り直して今度は薬草がどこに生えているのか聞いてから行く。
ギルド職員は快く薬草についてのいろいろを教えてくれた。
テレーニ草というワスレナグサに似た植物は、多くの庶民の味方である下級回復薬の原料になるらしく、この世界の人はテレーニ草のことを薬草と呼んでいるらしい。
それより上の魔法薬の原料は公開されていないため、庶民にとって薬草といえば下級回復薬の原料であるテレーニ草を指す。
そもそも名前も知らずに薬草を探していた俺は、少し恥ずかしくて赤くなってしまった。
薬草は森の中の日当たりが悪くてじめじめしている場所に生えていることが多いそうだ。
それも森が深ければ深いほどより多くの薬草が生えているという。
人を森深くいざなうなんて危険な草だな。
しかしなるほど、森に入らなくてはならないためEランクというわけだ。
だがギルド職員の話によれば浅いところにはそうたくさん生えているわけでもなさそうだ。
やはり薬草採取が割りのいい仕事だというのは一部のWEB小説が流したデマだったようだ。
それでも受けてしまったものは完遂しなければなるまい。
俺は気合を入れて森に向かった。
森にはモンスターが出る。
森の外にも出てこないわけではないが、古き良き日本で動物は里山に人間は町にというような住み分けがされていたように、この世界でもモンスターはそうそう人里には出てこないものだ。
そんなモンスターの世界である森にも、モンスターの分布というものがある。
人里に近いような場所には、強いモンスターはあまり生息していない。
それは人間が危険なモンスターを優先的に排除するからだ。
それゆえ、強いモンスターのいない森の浅部はEランクからDランクあたりの冒険者にとってちょうどいい狩場だ。
俺はFランクだがな。
俺はギルド職員に言われたとおり、木の陰になっているじめじめしたあたりを中心に薬草を探す。
片っ端から鑑定していくが、テレーニ草という植物は未だに見つからない。
ギルド職員からは、この依頼はもう少しランクが上がったら他の依頼のついでにやるものだと聞いたが、最初の依頼はやっぱり薬草採取がよかった俺はギルド職員の忠告を無視して依頼を受けてしまった。
やはり人の忠言は素直に聞いておいたほうがいいな。
今更泣き言を言ってもしょうがないので俺は少し森の奥に進む。
ここから先はモンスターと遭遇する可能性がかなり高くなるだろう。
覚悟を決めていこう。
少し森の奥に進んだだけなのに、先ほどとはかなり雰囲気が違う。
木の密度が上がり、昼間なのに薄暗く足場も悪い。
俺はおっぱいポイント10ポイントを消費し、安物の数打ち剣を交換する。
剣の種類はサーベルだ。
やはり日本刀に近い形状のサーベルは戦い方がイメージしやすい。
もちろん剣術スキルなど取るつもりはないのだけれど、冒険者が防具も付けずに丸腰で森に入るのはどう考えても不自然すぎるから一応腰に下げておこうと思ったのだ。
このあたりに生息するゴブリンやコボルトなどを倒すためにいちいちオーガやフォレストウルフに変身していたのでは服が何着あっても足りない。
その程度のモンスターくらいは変身せずにこのサーベルで倒せるようになりたいものだ。
しばらく鑑定で薬草探しをしていた俺だが、薬草を見つけるよりも先に俺がモンスターに見つかるほうが早かったようだ。
がさがさと木立を分ける音と、グギャグギャというゴブリンの鳴き声が聞こえ、俺の前に3匹のゴブリンが姿を現す。
いきなり3匹か。
かつてこのゴブリンを狩って生計を立てていたケルビムさんだが、彼がフォレストウルフに無謀な戦いを挑むまで生き延びてこられたのはなるべくゴブリンと1対1になるように立ち回っていたからだ。
この状況、かつてのケルビムさんだったらとっくに人生諦めている。
だが俺にはパイロキネシスもあるし、超再生もある。
奥の手の変身もある。
負けることはないが、人間の姿のままスマートに勝てるかと聞かれると少し怪しい。
こんな森の中ではパイロキネシスを全力で放つことは危険だろう。
森林火災になって危うく俺自身が火に焼かれることになりかねない。
だが俺にはパイロキネシス以外に攻撃系のスキルがない。
一度スキル構成を見直す必要がありそうだが、今はそんなことをしている暇は無い。
俺はさきほど交換したばかりの新品のサーベルを抜き、ゴブリンと対峙した。
ゴブリンは絶対切られたくないような錆びて刃こぼれした武器を手に襲ってきた。
ケルビムさんの記憶があるといっても、俺自身は初めて対峙する野生のモンスターだ。
めちゃくちゃ怖い。
とっさのことで想定していた動きができない。
客観的に見たらきっとゴブリンの動きは単調で遅いのだろうけど、視野の狭くなった当事者にはそんな攻撃でさえ避けることは難しい。
あっという間にゴブリンに接近され、叩きつけられる鉈やナイフは俺の肌を削り取る。
切れない刃物で切られるのはめちゃくちゃ痛い。
その痛みがさらに冷静さを失わせる。
20代の姿に擬態したおっさんとゴブリンの戦いは長時間にわたる泥仕合となった。
あたりまえだが、薬草を薬草と見分けられるだけで薬草採取が楽勝になるんだったら誰も冒険者などという脳筋の集まりに依頼なんて出さない。
薬草採取の依頼がゴブリン駆除と同格のEランクの依頼である理由は、ゴブリンと戦うのと同等の危険がある場所に薬草が生えているからに他ならない。
つまり、町の周辺の安全な草むらなどを半日ほど延々と探し回っていた俺の苦労は無駄であったということだ。
みんな見ろ、これが情報弱者というものの姿だ。
哀れだ。
気を取り直して今度は薬草がどこに生えているのか聞いてから行く。
ギルド職員は快く薬草についてのいろいろを教えてくれた。
テレーニ草というワスレナグサに似た植物は、多くの庶民の味方である下級回復薬の原料になるらしく、この世界の人はテレーニ草のことを薬草と呼んでいるらしい。
それより上の魔法薬の原料は公開されていないため、庶民にとって薬草といえば下級回復薬の原料であるテレーニ草を指す。
そもそも名前も知らずに薬草を探していた俺は、少し恥ずかしくて赤くなってしまった。
薬草は森の中の日当たりが悪くてじめじめしている場所に生えていることが多いそうだ。
それも森が深ければ深いほどより多くの薬草が生えているという。
人を森深くいざなうなんて危険な草だな。
しかしなるほど、森に入らなくてはならないためEランクというわけだ。
だがギルド職員の話によれば浅いところにはそうたくさん生えているわけでもなさそうだ。
やはり薬草採取が割りのいい仕事だというのは一部のWEB小説が流したデマだったようだ。
それでも受けてしまったものは完遂しなければなるまい。
俺は気合を入れて森に向かった。
森にはモンスターが出る。
森の外にも出てこないわけではないが、古き良き日本で動物は里山に人間は町にというような住み分けがされていたように、この世界でもモンスターはそうそう人里には出てこないものだ。
そんなモンスターの世界である森にも、モンスターの分布というものがある。
人里に近いような場所には、強いモンスターはあまり生息していない。
それは人間が危険なモンスターを優先的に排除するからだ。
それゆえ、強いモンスターのいない森の浅部はEランクからDランクあたりの冒険者にとってちょうどいい狩場だ。
俺はFランクだがな。
俺はギルド職員に言われたとおり、木の陰になっているじめじめしたあたりを中心に薬草を探す。
片っ端から鑑定していくが、テレーニ草という植物は未だに見つからない。
ギルド職員からは、この依頼はもう少しランクが上がったら他の依頼のついでにやるものだと聞いたが、最初の依頼はやっぱり薬草採取がよかった俺はギルド職員の忠告を無視して依頼を受けてしまった。
やはり人の忠言は素直に聞いておいたほうがいいな。
今更泣き言を言ってもしょうがないので俺は少し森の奥に進む。
ここから先はモンスターと遭遇する可能性がかなり高くなるだろう。
覚悟を決めていこう。
少し森の奥に進んだだけなのに、先ほどとはかなり雰囲気が違う。
木の密度が上がり、昼間なのに薄暗く足場も悪い。
俺はおっぱいポイント10ポイントを消費し、安物の数打ち剣を交換する。
剣の種類はサーベルだ。
やはり日本刀に近い形状のサーベルは戦い方がイメージしやすい。
もちろん剣術スキルなど取るつもりはないのだけれど、冒険者が防具も付けずに丸腰で森に入るのはどう考えても不自然すぎるから一応腰に下げておこうと思ったのだ。
このあたりに生息するゴブリンやコボルトなどを倒すためにいちいちオーガやフォレストウルフに変身していたのでは服が何着あっても足りない。
その程度のモンスターくらいは変身せずにこのサーベルで倒せるようになりたいものだ。
しばらく鑑定で薬草探しをしていた俺だが、薬草を見つけるよりも先に俺がモンスターに見つかるほうが早かったようだ。
がさがさと木立を分ける音と、グギャグギャというゴブリンの鳴き声が聞こえ、俺の前に3匹のゴブリンが姿を現す。
いきなり3匹か。
かつてこのゴブリンを狩って生計を立てていたケルビムさんだが、彼がフォレストウルフに無謀な戦いを挑むまで生き延びてこられたのはなるべくゴブリンと1対1になるように立ち回っていたからだ。
この状況、かつてのケルビムさんだったらとっくに人生諦めている。
だが俺にはパイロキネシスもあるし、超再生もある。
奥の手の変身もある。
負けることはないが、人間の姿のままスマートに勝てるかと聞かれると少し怪しい。
こんな森の中ではパイロキネシスを全力で放つことは危険だろう。
森林火災になって危うく俺自身が火に焼かれることになりかねない。
だが俺にはパイロキネシス以外に攻撃系のスキルがない。
一度スキル構成を見直す必要がありそうだが、今はそんなことをしている暇は無い。
俺はさきほど交換したばかりの新品のサーベルを抜き、ゴブリンと対峙した。
ゴブリンは絶対切られたくないような錆びて刃こぼれした武器を手に襲ってきた。
ケルビムさんの記憶があるといっても、俺自身は初めて対峙する野生のモンスターだ。
めちゃくちゃ怖い。
とっさのことで想定していた動きができない。
客観的に見たらきっとゴブリンの動きは単調で遅いのだろうけど、視野の狭くなった当事者にはそんな攻撃でさえ避けることは難しい。
あっという間にゴブリンに接近され、叩きつけられる鉈やナイフは俺の肌を削り取る。
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