おっぱいポイント

兎屋亀吉

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22.おじさん2人による生産チート

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 俺とランサーはさっそく次の日の昼過ぎから行動を開始した。
 ランサーが金にものを言わせ大きな倉庫を借りてきた。
 そこを作業場にするらしい。
 作業台の上に山盛りに盛られているのは、竜鱗。
 剥がすのめちゃくちゃ痛かったけれど、俺が血みどろになりながら竜爪で1枚1枚剥がして産出した兵器の素材だ。
 俺達が造ろうとしているのはパワードスーツだ。
 SFでよく出てくるこの兵器だが、俺が目指しているのはもっと物理法則を無視したファンタジーな代物だ。
 具体的には普段は指輪サイズになったり、ビームが出たりするような。
 スキルというものが存在するこの世界ならば、できるはずだ。
 おっさん2人が力を合わせればできるはずだ!
 と、そこで倉庫の扉が開き、ランサーが入ってきた。

「オリハルコンは問題なく調達できた」

「こっちも竜鱗の用意できた」

 竜鱗はそのままでは加工には向かないため、合金にするらしい。
 合わせる金属はファンタジーではおなじみのオリハルコン。
 金色に輝く硬質な金属。
 めちゃくちゃ高いらしいが、ランサーにはその程度の金は余裕らしい。
 羨ましい。
 
「それじゃ、始めよう」

「おす」

 合金の作成と、パワードスーツの整形はランサーの錬金術で行う。
 まずは合金、作業台の上にランサーがオリハルコンのインゴットを並べる。
 そして手をかざすと竜鱗とオリハルコンがあっという間に溶け合い、一つの大きな金属塊になった。
 色は俺の赤い竜鱗とオリハルコンのゴールドが混ざったようなサーモンゴールド。
 
「成功、次に整形する」

 そう言ってランサーは昨日朝までかかって2人で描いたデザイン画を見ながら、形を整えていく。
 こちらは慎重に微調整しながら1時間ほどかけて納得いくものになった。
 デザインのコンセプトは鬼。
 俺のよく変身するオーガと並んだときに、統一感が出るように鬼をイメージしてデザインした。
 兜には立派な2本の角が生えている。
 人間工学に基づいた機能的で近未来的なフォルムに、恐ろしい鬼の形相、各パーツごとの刺々しい装飾がなかなかアンバランスで見るものに畏怖を与えるデザインとなっている。
 
「完璧だな」

「ああ。かなりかっこいい」

 だがこれではまだ、かっこいいただの鎧が完成しただけだ。
 着たところでおそらく重くて動くこともままならないだろう。
 ここに、着心地の改良や様々な調整、さらには魔法付与などをプラスしていくことで本当の意味での完成となる。
 まずはバラバラに分解し、パーツごとにランサーの体型に合わせて衝撃吸収素材の配置を整えていく。
 すべてが終われば、今度は全身に装着してバランスをとる。
 何度も何度もバランス調整して、やっとランサーのOKが出た。
 まだまだ作業はつづく。
 ここからはランサーの作業だ。
 時空魔法を付与して、指輪からパワースーツ装着までのアクションを実現するらしい。
 ランサーが作業しているうちに俺はおっぱいポイントでスキルを取得する。
 取得するのはスキル付与というスキル。
 自分のスキルを物体に付与することができるという魔法付与と同種のスキルだ。
 最高の素材で作った鎧に、ありったけのスキルと魔法を付与することによりパワードスーツというロマン兵器は完成するのだ。
 このスキルを使用するついでに、確かめておきたいことがある。
 それは同じスキルを2つ取得したらどうなるのかということだ。
 俺はさっそく身体強化をもう一つ取得する。
 元々もっていた身体強化のレベルは15、そこに新たに身体強化を取得する。
 単純に考えて15+1なんだろうか。
 試すにもどうしたらいいだろうか。
 もっと分かりやすくしようと俺は新しく取得した方の身体強化のレベルを上げようとするが、おっぱいディスプレイの身体強化の文字がグレーアウトしている。
 試しに投擲スキルをもう一つ取得してみるが、やはりレベル2にはできない。
 2個目はレベル1までしか上げられないようだ。
 威力はどうだろうか。
 分かりやすいものといったら竜鱗だろうか。
 竜鱗スキルは単純に硬度の差。
 古い竜鱗と新しい竜鱗をぶつけてみたら実験ができるかもしれない。
 俺はさっそく竜鱗を1枚剥がし、竜鱗スキルをもう一つ取得する。
 そして再度竜鱗を発動すると、すでに見た目が違った。
 前は朱色に近い赤だったのが、新しい竜鱗は血のように紅い深紅になっている。
 すでに結果は出ているようなものだが、一応実験もしてみる。
 カチカチ玉、またの名をニュートンのゆりかごのような装置を作った。
 振り子がカチカチぶつかるあの装置だ。
 今回は振り子の変わりに金属塊を使い、金属塊同士の接触面に鱗をくくりつける。
 手を放すと、金属塊にくくりつけた鱗同士が衝突した。
 深紅の鱗は無傷。
 朱色の鱗にはヒビが入っていた。
 やはりかなり硬度に違いがあるようだ。
 パワードスーツのモデルチェンジの際にはこちらの鱗を使いたい。
 俺の実験が終わると、ちょうどランサーの魔法付与も終わったようで今度は俺の番となる。

「よし、やるぞ」

 俺はパーツごとにスキルを付与していく。
 といっても付与するのはほとんど身体強化だ。
 身体能力を強化して、自分の肉体で戦うのがこのパワードスーツの設計理念なので当然だ。
 その他、咄嗟にパーツのみ装着して戦うことも考えて、多彩なスキルを盛り込まなくてはならない。
 格闘術、剣術、槍術、武器を持って戦うシチュエーション、武器を持たずに戦うシチュエーション、あらゆる状況を想定し、俺は夢中でスキルを付与した。
 メインウェポンはランサーの名前にちなんで槍、そしてサブウェポンが剣だ。
 両方パワードスーツと同じ合金で作られており、投擲のスキルと時空魔法が付与されている。
 必ず当るというほどではないが、かなりの確立で当り、さらに手元に戻ってくるという神話の武器のような性能になった。
 そして最後に、頭のパーツだ。
 これには3つのスキルを付与する。
 パワードスーツにおける頭の役割は大きい。
 周囲の視認、情報分析、そしてビーム。
 最低でもそのくらいの機能はほしい。
 そこで俺が付与するのは千里眼、鑑定、ドラゴンブレスだ。
 奮発して全てレベル5のものを付与する。
 千里眼、鑑定はそんなにポイントがかからないが、ドラゴンブレスは50万ポイントだ。
 パワードスーツ全体で使ったポイントは実験も含めると90万ポイントを超える。
 女湯に行っていなかったら危なかった。
 しかしこれで、準備は整った。
 おじさんたちの猛攻が始まる。

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