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23.ここからずっとおじさんのターン
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2日後、俺達2人は冒険者ギルドを訪れていた。
2日間みっちりと動作テストを終え、ついに冒険者ギルドにリベンジだ。
俺とランサーの右手中指にはサーモンゴールドの無骨な指輪が光る。
ランサーのはパワードスーツ。
俺のはランサーが作ってくれたアイテムボックスだ。
どうせならこれをパーティの証みたいにしようとランサーが言い出したので俺はこれにアイテムが収納できたら便利だと提案したのだ。
それからあれがあったら便利だ、これがあったら冒険者活動が楽しくなるという話に発展し、動作テストに2日もかかってしまった。
おかげで俺達の装備は万全。
ドラゴンでも狩れそうだ。
ベテラン冒険者のような顔をして冒険者ギルドに足を踏み入れる。
「よう、あんたたち。まだ死んでなかったんだな」
いつだかのガチムチ兄やんがまた絡んでくるが、無視する。
俺達はまっすぐ依頼の張り出されているボードに向かう。
受けるのはBランクのオークの集落の殲滅依頼。
俺はCランクなのでBランクの依頼までは受けられる。
これをパーティで達成すればランサーもあっという間にCかDランクくらいまでは上がるはずだ。
受付に持っていくと、ギルド職員にすらも無理だよ死んだなこいつらみたいな顔をされたが、俺達は終始無言でギルドを後にした。
「いよいよだな」
「ああ」
森に入るとすぐにモンスターに出くわす。
カーティスよりもモンスターがたくさんいるようだ。
始めはおなじみゴブリン。
パワードスーツの性能を試すにはちょうどいい相手だ。
「いくぞ。パワードスーツ展開!」
口に出さなくてもパワードスーツは展開されるのだが、やはりこういうのは男のロマンだからな。
世界が変わってもそういうところは変わらないらしい。
指輪に収納されていた各種パーツが瞬時にランサーの身体に装着され、一瞬にして異形の鎧に身を包んだ怪人が誕生する。
動作テストで何度も見ているのだが、何度見てもかっこいい。
「こいつらは私に任せてくれるか?」
気密性の高いパワードスーツを着ているにも関わらず、ランサーの声がクリアに聞こえる。
これは気密性が高すぎて声も聞こえないし息も出来なかったためにランサーが付与した時空魔法の効果だ。
これによりランサーの声は外に転送されるし、外の空気も中に転送されている。
今後大気に有害物質が含まれる場所での行動を想定して、そのあたりは改良していくつもりだ。
毒ガスの中とかでもパワードスーツを着ていれば行動できたりするとかっこいいからな。
俺が頷くとランサーは行動を開始する。
ゴブリン相手なので武器はなしだ。
ランサーはゆっくりとゴブリンに歩いて近づく。
当然ゴブリンは錆びた武器を振り上げて攻撃するが、パワードスーツのサーモンゴールドに輝く装甲には傷一つ付かない。
ランサーはそのまま近づき、ゴブリンの頭を掴み、そして握りつぶした。
ぐちゃりという不快な音がして、ゴブリンは絶命する。
「おいおい、装甲が汚れるだろ。もうちょっとスマートにやれよ」
俺はそう言って浄化魔法で装甲をピカピカに磨いた。
「すまん、この怪力を試してみたくてな」
まあわからんでもない。
子供の頃、自分が怪力の化け物になったらみたいなごっこ遊びをしていたっけな。
あの頃はダンボールを素手で引き裂いたらなんか怪物になった気がしていたっけな。
丈夫だけど紙だからなあれ。
まあとりあえずゴブリンで感覚はつかめただろ。
そろそろ本命のオークだ。
依頼書に書いてあった場所に近づくと、オークが増えてきた。
俺とランサーは接敵したオークを1匹も逃がさないように、すばやく倒していく。
俺は竜爪で、ランサーは槍で、心臓か脳を一突きだ。
「すごい、まるで長年訓練してきたように槍が扱える!」
そう言ってランサーは興奮している。
そのくらいで喜んでいてはパワードスーツを使いこなせないぞ。
なんてったって目玉はやはりビームだろう。
フェイスマスクに付与したドラゴンブレスレベル5がどんな仕事をしてくれるのか、非常に楽しみだ。
俺達はオークを順調に倒しながら集落に向かった。
オークの集落は、木と動物の皮で作られたテントのような家がたくさん建てられただけの原始的なものだ。
だが、報告にあったよりもオークの数が多い。
倍くらいいるのではないだろうか。
この依頼はどのくらい放置されていたのだろうか。
そのへんの説明も、依頼を受けるときにギルド職員のほうから一言あってもいいんじゃないだろうか。
まあ、ギルドへの不満を今更言っても仕方が無い。
ギルドの情報の真贋を見極めるのも冒険者にとって大事なことだってケニーも言っていたじゃないか。
オークが予定より多かった、だったら予定より多く報酬をもらえるかもしれないと思えばいい。
この場にいるオークのことごとくを討伐し、素材を剥ぎ取ってやればいいだけの話だ。
オークよお前達に怨みはないが、おじさん2人の踏み台になってもらおう。
俺は服を脱ぎ、アイテムボックスに収納する。
全裸の状態では格好もつかないが、一応キメ顔でランサーに声をかける。
「ランサー」
「ああ、ケルビム」
さあ、蹂躙をはじめようか。
俺はオーガに変身し、竜鱗と竜爪も発動する。
そして異形のおじさん2人組がオークに踊りかかった。
俺の爪が、ランサーの槍が、次々オークを屠っていく。
オークメイジ、オークソルジャー、オークジェネラル、上位種も変異種も関係ない。
俺達の装甲には武器も魔法も通らないし、俺達の武器はオークの分厚い皮膚を容易に貫通する。
俺達の前に、上位種であるかどうかなどもはや誤差でしかない。
俺の竜爪がオークジェネラルの首をもぎ取り、ランサーの投げた槍がオークメイジの心臓を正確に貫く。
オークたちが一時的に無手になったランサーの隙を突こうとするが、そもそも攻撃が通らないのではそんなものは意味が無い。
ランサーは悠々と時空魔法で槍を手元に戻すと、また蹂躙を再開した。
そしてあらかた殲滅が完了すると、最後に出てくるのはオークキングだ。
「ケルビム、私がやってもいいか?」
「グルルルゥ……」
変身状態ではしゃべれないので頷いて意思表示する。
ランサーは気負うことなく槍を肩に担ぎ、オークキングのほうへ向かっていった。
オークキングはゴブリンとは違って錆びていない業物の大剣を振り回して応戦するが、3合ほど打ち合った後あっさりと脳天を貫かれて絶命した。
それもそのはず、鑑定で見たオークキングのスキルレベルの平均がレベル3なのに対してランサーのパワードスーツに付与した戦闘系スキルはすべてレベル5以上だ。
身体強化スキルに至っては各所に付与したため、単純に合計していいものかどうか分からなくなってしまっている。
単純に合計したら24になる。
俺の身体強化15+1よりも高レベルだ。
まだ実験は必要だが、スキル付与を使えば俺自身にもまだうえがあるかもしれないということが分かった。
これからさらにランクが上のモンスターで色々と試していこう。
俺は変身を解き服を着ながら、オークキングを倒した余韻に浸っているランサーに話しかける。
「おつかれ、気分はどうだ?」
「最高だ」
「そうか」
ランサーは子供の頃からの夢だった冒険者になれて、それなりに楽しんでいるようだ。
だが、まだまだおじさん2人の伝説は始まったばかりだからな。
2日間みっちりと動作テストを終え、ついに冒険者ギルドにリベンジだ。
俺とランサーの右手中指にはサーモンゴールドの無骨な指輪が光る。
ランサーのはパワードスーツ。
俺のはランサーが作ってくれたアイテムボックスだ。
どうせならこれをパーティの証みたいにしようとランサーが言い出したので俺はこれにアイテムが収納できたら便利だと提案したのだ。
それからあれがあったら便利だ、これがあったら冒険者活動が楽しくなるという話に発展し、動作テストに2日もかかってしまった。
おかげで俺達の装備は万全。
ドラゴンでも狩れそうだ。
ベテラン冒険者のような顔をして冒険者ギルドに足を踏み入れる。
「よう、あんたたち。まだ死んでなかったんだな」
いつだかのガチムチ兄やんがまた絡んでくるが、無視する。
俺達はまっすぐ依頼の張り出されているボードに向かう。
受けるのはBランクのオークの集落の殲滅依頼。
俺はCランクなのでBランクの依頼までは受けられる。
これをパーティで達成すればランサーもあっという間にCかDランクくらいまでは上がるはずだ。
受付に持っていくと、ギルド職員にすらも無理だよ死んだなこいつらみたいな顔をされたが、俺達は終始無言でギルドを後にした。
「いよいよだな」
「ああ」
森に入るとすぐにモンスターに出くわす。
カーティスよりもモンスターがたくさんいるようだ。
始めはおなじみゴブリン。
パワードスーツの性能を試すにはちょうどいい相手だ。
「いくぞ。パワードスーツ展開!」
口に出さなくてもパワードスーツは展開されるのだが、やはりこういうのは男のロマンだからな。
世界が変わってもそういうところは変わらないらしい。
指輪に収納されていた各種パーツが瞬時にランサーの身体に装着され、一瞬にして異形の鎧に身を包んだ怪人が誕生する。
動作テストで何度も見ているのだが、何度見てもかっこいい。
「こいつらは私に任せてくれるか?」
気密性の高いパワードスーツを着ているにも関わらず、ランサーの声がクリアに聞こえる。
これは気密性が高すぎて声も聞こえないし息も出来なかったためにランサーが付与した時空魔法の効果だ。
これによりランサーの声は外に転送されるし、外の空気も中に転送されている。
今後大気に有害物質が含まれる場所での行動を想定して、そのあたりは改良していくつもりだ。
毒ガスの中とかでもパワードスーツを着ていれば行動できたりするとかっこいいからな。
俺が頷くとランサーは行動を開始する。
ゴブリン相手なので武器はなしだ。
ランサーはゆっくりとゴブリンに歩いて近づく。
当然ゴブリンは錆びた武器を振り上げて攻撃するが、パワードスーツのサーモンゴールドに輝く装甲には傷一つ付かない。
ランサーはそのまま近づき、ゴブリンの頭を掴み、そして握りつぶした。
ぐちゃりという不快な音がして、ゴブリンは絶命する。
「おいおい、装甲が汚れるだろ。もうちょっとスマートにやれよ」
俺はそう言って浄化魔法で装甲をピカピカに磨いた。
「すまん、この怪力を試してみたくてな」
まあわからんでもない。
子供の頃、自分が怪力の化け物になったらみたいなごっこ遊びをしていたっけな。
あの頃はダンボールを素手で引き裂いたらなんか怪物になった気がしていたっけな。
丈夫だけど紙だからなあれ。
まあとりあえずゴブリンで感覚はつかめただろ。
そろそろ本命のオークだ。
依頼書に書いてあった場所に近づくと、オークが増えてきた。
俺とランサーは接敵したオークを1匹も逃がさないように、すばやく倒していく。
俺は竜爪で、ランサーは槍で、心臓か脳を一突きだ。
「すごい、まるで長年訓練してきたように槍が扱える!」
そう言ってランサーは興奮している。
そのくらいで喜んでいてはパワードスーツを使いこなせないぞ。
なんてったって目玉はやはりビームだろう。
フェイスマスクに付与したドラゴンブレスレベル5がどんな仕事をしてくれるのか、非常に楽しみだ。
俺達はオークを順調に倒しながら集落に向かった。
オークの集落は、木と動物の皮で作られたテントのような家がたくさん建てられただけの原始的なものだ。
だが、報告にあったよりもオークの数が多い。
倍くらいいるのではないだろうか。
この依頼はどのくらい放置されていたのだろうか。
そのへんの説明も、依頼を受けるときにギルド職員のほうから一言あってもいいんじゃないだろうか。
まあ、ギルドへの不満を今更言っても仕方が無い。
ギルドの情報の真贋を見極めるのも冒険者にとって大事なことだってケニーも言っていたじゃないか。
オークが予定より多かった、だったら予定より多く報酬をもらえるかもしれないと思えばいい。
この場にいるオークのことごとくを討伐し、素材を剥ぎ取ってやればいいだけの話だ。
オークよお前達に怨みはないが、おじさん2人の踏み台になってもらおう。
俺は服を脱ぎ、アイテムボックスに収納する。
全裸の状態では格好もつかないが、一応キメ顔でランサーに声をかける。
「ランサー」
「ああ、ケルビム」
さあ、蹂躙をはじめようか。
俺はオーガに変身し、竜鱗と竜爪も発動する。
そして異形のおじさん2人組がオークに踊りかかった。
俺の爪が、ランサーの槍が、次々オークを屠っていく。
オークメイジ、オークソルジャー、オークジェネラル、上位種も変異種も関係ない。
俺達の装甲には武器も魔法も通らないし、俺達の武器はオークの分厚い皮膚を容易に貫通する。
俺達の前に、上位種であるかどうかなどもはや誤差でしかない。
俺の竜爪がオークジェネラルの首をもぎ取り、ランサーの投げた槍がオークメイジの心臓を正確に貫く。
オークたちが一時的に無手になったランサーの隙を突こうとするが、そもそも攻撃が通らないのではそんなものは意味が無い。
ランサーは悠々と時空魔法で槍を手元に戻すと、また蹂躙を再開した。
そしてあらかた殲滅が完了すると、最後に出てくるのはオークキングだ。
「ケルビム、私がやってもいいか?」
「グルルルゥ……」
変身状態ではしゃべれないので頷いて意思表示する。
ランサーは気負うことなく槍を肩に担ぎ、オークキングのほうへ向かっていった。
オークキングはゴブリンとは違って錆びていない業物の大剣を振り回して応戦するが、3合ほど打ち合った後あっさりと脳天を貫かれて絶命した。
それもそのはず、鑑定で見たオークキングのスキルレベルの平均がレベル3なのに対してランサーのパワードスーツに付与した戦闘系スキルはすべてレベル5以上だ。
身体強化スキルに至っては各所に付与したため、単純に合計していいものかどうか分からなくなってしまっている。
単純に合計したら24になる。
俺の身体強化15+1よりも高レベルだ。
まだ実験は必要だが、スキル付与を使えば俺自身にもまだうえがあるかもしれないということが分かった。
これからさらにランクが上のモンスターで色々と試していこう。
俺は変身を解き服を着ながら、オークキングを倒した余韻に浸っているランサーに話しかける。
「おつかれ、気分はどうだ?」
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ランサーは子供の頃からの夢だった冒険者になれて、それなりに楽しんでいるようだ。
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