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37.お礼参り
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トカゲに罪はないとはいえ、こんなにたくさん放し飼いにされていたら盗賊がいなくなった後も近隣住民が迷惑するに違いない。
僕は心を鬼にしてトカゲに向けて引き金を引いた。
耳をつんざく轟音と共に、ライフルの銃口から弾丸が放たれた。
しかし僕はライフルどころか銃を撃つこと自体初めてだ。
当然上手く当たるはずもなく、銃弾は狙っていたトカゲの5メートルほど奥に小さな砂煙を立てるだけとなった。
「結構反動が大きいな。肩が痛い」
それに耳がキーンとする。
耳栓か何かで鼓膜へのダメージを軽減しないと、いつか難聴になってしまいそうだ。
まあそのときはエリクサーで治せばいいだけの話なのだけれど、事前に防げるならばそれに越したことはない。
僕は応急処置として頭にねじり鉢巻きのように手ぬぐいを巻いた。
耳の部分にはハンカチを詰めて轟音を軽減する。
ザックスは周囲の警戒があるので聴力を遮ることはできないらしく、少し可哀そうだ。
今日は入浴剤にエリクサーを使ってもいいので鼓膜を癒してほしい。
僕はボルトハンドルを引き、次弾を装填する。
今度はスコープを使ってみよう。
このライフルにはかなり倍率の高いスコープが付いている。
スナイパーがビルの屋上で距離がどうとか言いながらつまみをキリキリ回しているあれだ。
トカゲは肉眼で十分見える距離にいるのでスコープを使う必要はないのだけれど、僕はこのスコープを覗き込みながら撃つというのがやってみたいのだ。
そしてつまみをキリキリしながらハートショットとか言いたいのだ。
よくわからないけれどなんとなくでやってみよう。
「距離、たぶん40メートルくらい。これどのつまみをどっちに回したら何がどうなるのかな」
「坊ちゃん、適当すると壊れるぞ」
まあそうなんだけど、壊れたらコピーをまたコピーして使えばいい。
スコープを外したところで使えないわけでもないしね。
猟師さんとかスコープなんてあまり付けてるのを見たことないから、きっとこのくらいの距離ではこの銃口の先に付いている突起なんかを使って照準するのが普通なんじゃないかな。
最悪僕もそれで撃てるように練習するとして、スコープはスコープで使えるようになっておいて損はない。
まずは適当に全部のつまみを回してみる。
手前の数字の付いたものを回すと倍率を調節できるというのはわかった。
他は何が変わっているのかよくわからないな。
たぶんどれか一つは角度を調節するものだと思うのだけど。
このへんは撃ちながらちょっとずつ理解していくしかないようだ。
スマホで調べられたらいいのにな。
僕はスコープの十字の真ん中にトカゲが来るように調節して引き金を引く。
「んがっ」
目に激痛が走った。
怖いのですぐにエリクサーを目に振りかける。
痛みはすぐに引いたけれど、いったい何が起こったんだ。
「坊ちゃん、この覗き窓に目を近づけすぎだ。撃った反動でその筒に目が当たっちまったんだよ」
なるほど、目にスコープが激突したのか。
映画とかだとスコープに目を当てたまま撃つようなイメージだけど、それは危険だということがわかった。
スコープはある程度距離をとって覗き込まなければならないということか。
それで肝心の弾はというと、トカゲから2メートルほど離れた場所から砂煙が上がっている。
どうやらあのあたりに当たったみたいだ。
さっきよりは近くなったけれどまだまだ遠いな。
僕はしばらくつまみをいじっては撃ってを繰り返した。
「坊ちゃん、そろそろ盗賊たちが出てきちまうぞ。遊びはこのへんで終わりだ」
「仕方がないね」
10分ほど撃ったあたりで痺れを切らしたザックスに止められる。
まだ1発もトカゲに当たっていないというのに。
でもここで盗賊たちが駆けつけてトカゲと一緒に襲い掛かって来ると少し不安だ。
なにせあちらにはサラマンダーというこのノーマルトカゲたちの上位種がいる。
前に見たときは頭目が跨っている1匹だけだったけれど、あのトカゲが複数いないとも限らないのだ。
なるべくトカゲは減らしておきたいところだ。
僕は先日侯爵家のご隠居夫妻から買った歩兵携行型プラズマキャノンを取り出す。
プラズマキャノンの本体はスナイパーライフルよりも少し大きいライフル銃のような形をしていた。
未来でも軍用兵器のデザインというのはそれほど変わりないようで、マッドブラックに塗装されている。
普通の銃とは違って銃身が太いのが特徴的だ。
重さも先ほどまで使っていたライフルと比べると重たい。
ご隠居夫妻から買ったときには銃床に取り付けるエネルギーパックが1つしか付いておらず、1発しか撃つことはできなかった。
しかしそれもスキルの力によって量産済みだ。
撃ちまくることが可能。
セレクトレバーには3つの文字が書かれている。
セーフモード、キャノンモード、バーストモードの3つだ。
セーフはただの安全装置、キャノンは1発でかいのを撃つモード、そして最後のバーストモードは小さなプラズマを連射するモードだ。
エネルギーパックはキャノンモードなら1発で空になる。
バーストモードは同じエネルギーで1分間掃射することが可能だ。
僕はセレクトレバーをバーストモードに合わせ、引き金を引いた。
光の嵐が吹き荒れた。
僕は心を鬼にしてトカゲに向けて引き金を引いた。
耳をつんざく轟音と共に、ライフルの銃口から弾丸が放たれた。
しかし僕はライフルどころか銃を撃つこと自体初めてだ。
当然上手く当たるはずもなく、銃弾は狙っていたトカゲの5メートルほど奥に小さな砂煙を立てるだけとなった。
「結構反動が大きいな。肩が痛い」
それに耳がキーンとする。
耳栓か何かで鼓膜へのダメージを軽減しないと、いつか難聴になってしまいそうだ。
まあそのときはエリクサーで治せばいいだけの話なのだけれど、事前に防げるならばそれに越したことはない。
僕は応急処置として頭にねじり鉢巻きのように手ぬぐいを巻いた。
耳の部分にはハンカチを詰めて轟音を軽減する。
ザックスは周囲の警戒があるので聴力を遮ることはできないらしく、少し可哀そうだ。
今日は入浴剤にエリクサーを使ってもいいので鼓膜を癒してほしい。
僕はボルトハンドルを引き、次弾を装填する。
今度はスコープを使ってみよう。
このライフルにはかなり倍率の高いスコープが付いている。
スナイパーがビルの屋上で距離がどうとか言いながらつまみをキリキリ回しているあれだ。
トカゲは肉眼で十分見える距離にいるのでスコープを使う必要はないのだけれど、僕はこのスコープを覗き込みながら撃つというのがやってみたいのだ。
そしてつまみをキリキリしながらハートショットとか言いたいのだ。
よくわからないけれどなんとなくでやってみよう。
「距離、たぶん40メートルくらい。これどのつまみをどっちに回したら何がどうなるのかな」
「坊ちゃん、適当すると壊れるぞ」
まあそうなんだけど、壊れたらコピーをまたコピーして使えばいい。
スコープを外したところで使えないわけでもないしね。
猟師さんとかスコープなんてあまり付けてるのを見たことないから、きっとこのくらいの距離ではこの銃口の先に付いている突起なんかを使って照準するのが普通なんじゃないかな。
最悪僕もそれで撃てるように練習するとして、スコープはスコープで使えるようになっておいて損はない。
まずは適当に全部のつまみを回してみる。
手前の数字の付いたものを回すと倍率を調節できるというのはわかった。
他は何が変わっているのかよくわからないな。
たぶんどれか一つは角度を調節するものだと思うのだけど。
このへんは撃ちながらちょっとずつ理解していくしかないようだ。
スマホで調べられたらいいのにな。
僕はスコープの十字の真ん中にトカゲが来るように調節して引き金を引く。
「んがっ」
目に激痛が走った。
怖いのですぐにエリクサーを目に振りかける。
痛みはすぐに引いたけれど、いったい何が起こったんだ。
「坊ちゃん、この覗き窓に目を近づけすぎだ。撃った反動でその筒に目が当たっちまったんだよ」
なるほど、目にスコープが激突したのか。
映画とかだとスコープに目を当てたまま撃つようなイメージだけど、それは危険だということがわかった。
スコープはある程度距離をとって覗き込まなければならないということか。
それで肝心の弾はというと、トカゲから2メートルほど離れた場所から砂煙が上がっている。
どうやらあのあたりに当たったみたいだ。
さっきよりは近くなったけれどまだまだ遠いな。
僕はしばらくつまみをいじっては撃ってを繰り返した。
「坊ちゃん、そろそろ盗賊たちが出てきちまうぞ。遊びはこのへんで終わりだ」
「仕方がないね」
10分ほど撃ったあたりで痺れを切らしたザックスに止められる。
まだ1発もトカゲに当たっていないというのに。
でもここで盗賊たちが駆けつけてトカゲと一緒に襲い掛かって来ると少し不安だ。
なにせあちらにはサラマンダーというこのノーマルトカゲたちの上位種がいる。
前に見たときは頭目が跨っている1匹だけだったけれど、あのトカゲが複数いないとも限らないのだ。
なるべくトカゲは減らしておきたいところだ。
僕は先日侯爵家のご隠居夫妻から買った歩兵携行型プラズマキャノンを取り出す。
プラズマキャノンの本体はスナイパーライフルよりも少し大きいライフル銃のような形をしていた。
未来でも軍用兵器のデザインというのはそれほど変わりないようで、マッドブラックに塗装されている。
普通の銃とは違って銃身が太いのが特徴的だ。
重さも先ほどまで使っていたライフルと比べると重たい。
ご隠居夫妻から買ったときには銃床に取り付けるエネルギーパックが1つしか付いておらず、1発しか撃つことはできなかった。
しかしそれもスキルの力によって量産済みだ。
撃ちまくることが可能。
セレクトレバーには3つの文字が書かれている。
セーフモード、キャノンモード、バーストモードの3つだ。
セーフはただの安全装置、キャノンは1発でかいのを撃つモード、そして最後のバーストモードは小さなプラズマを連射するモードだ。
エネルギーパックはキャノンモードなら1発で空になる。
バーストモードは同じエネルギーで1分間掃射することが可能だ。
僕はセレクトレバーをバーストモードに合わせ、引き金を引いた。
光の嵐が吹き荒れた。
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