ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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14.オーク狩り紀行2

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 開けて翌日。
 昨日と同じところで眠った僕は、今日も黒巻貝の中で起床する。
 また髪の山が大きくなってしまうな。
 髪はタンパク質からできているので微生物に分解されるとは思うけれど。
 僕は街で買ってきた固焼きパンと干し肉で朝ご飯をとり、黒巻貝の中から抜け出した。
 黒巻貝に繋がっている襟足をナイフで切ると、要塞のように堅固な巻貝は崩れて毛髪の山になった。
 ちょっと邪魔になってきたな。
 僕は髪の山を少し横にずらしてオークの縄張りに向かった。




 昨日は1匹もオークを狩れなかった。
 僕は探索系のスキルも獣人のように鋭い感覚も持っていないから、オークを見つける手段がない。
 だから今日はウロウロ探し回るのではなく、待ち構えてみようと思う。
 僕は昨日オークの足跡を見つけた場所の足首くらいの高さに髪を束ねて作ったワイヤーを張る。
 これでここを通ったオークはきっと転ぶだろう。
 転ばなかったら正面から戦うことになるけれど、初めて戦う魔物だから2匹以上いたら逃げようと思う。
 オークはゴブリンよりもさらに足が遅い。
 逃げるだけならそれほど難しくないだろう。
 さて、隠れてオークが現れるのを待とうか。
 僕はワイヤートラップが見える場所に隠れてスタンバイする。
 気は進まないけれどあの吐きそうな匂いのする布を被って匂いをカモフラージュした。
 これは植物の汁を染み込ませた布だから自然界ではそんなに変な匂いじゃあないはずだ。
 しばらくは苦痛な時間が続いたけれど、1時間くらいで慣れた。
 それにしても暇だな。
 スキルのレベル上げでもしているかな。
 僕は未だに荷物を軽くすることしかできていない【重力(仮)魔法lv1】のレベル上げをすることにした。
 スキルレベルが上がればきっと重くすることもできるはずなんだ。
 僕は地面に落ちている石に向かってひたすら【重力(仮)魔法lv1】を発動する訓練を始めた。
 スキルのレベルというものは上限が10だとされており、5までは割と簡単に上がるみたいだ。
 すべてスキル屋の店主に聞いた話なので確かなはず。
 僕はこれまで次々と新しいスキルを手に入れてきたから、スキルのレベルが全体的に低い。
 そろそろ全部のスキルのレベルを上げることに尽力してもいいかもしれない。
 とりあえずは全部のスキルがレベル5になるまで次のスキルは買わないようにしよう。
 10日ほどはここでオークを狩るつもりなので、その間に全部レベル5になるといいんだけどな。
 やっぱり新しいスキルを買うのは楽しいので、できるだけ早くスキルレベルを上げて次のスキルを手に入れたい。
 その日は結局オークがその木立の間を通ることはなかった。
 【重力(仮)魔法lv1】のレベルがひとつ上がり、【重力(仮)魔法lv2】になった。
 相変わらず物を軽くすることしかできない。
 もう軽くなりすぎて浮いているので、(仮)を外してもいいと思うけれど重くすることができるまでは一応付けておこうかな。





 さて、今日も収穫ゼロに終わってしまったのはしょうがないとして、就寝方法を変えようと思う。
 黒巻貝は最強鉄壁の就寝方法だと思うけれども、野営した場所に大量の毛髪の山を残してしまうという欠点がある。
 一人前の冒険者たるもの野営の痕跡は残さない方がいいと思うし、なにより髪がなんとなくもったいない。
 なので今日から近くで見つけた洞窟に寝泊りしたいと思う。
 浅くてこじんまりとした落ち着く物件だ。
 原住民がいないのも確認済み。
 小動物か何かがかなり前にねぐらにしていた痕跡はあったけれども明らかに古いものだった。
 多分今は何も住んでいないはずだ。
 僕は細い木の枝を数本束ねて髪の紐で縛った即席のホウキを作って小動物の済んでいた痕跡を外に掃き出す。
 まあ少々ホコリっぽいけど快適な空間になった。
 後は入り口を何かで塞ぐだけだ。
 入り口は小さめなので人間大くらいのの岩が動かせればなんとか塞げそうだけど。
 もちろん僕にそんな怪力はないし【毛魔法lv3】の力でも多分無理だろう。
 僕は考えた結果、髪で代用することにした。
 近くの川で人間の腕くらいの太さの流木を拾う。
 僕の力で引きずることができるギリギリの大きさだ。
 それを洞窟の中に入れ、横にする。
 それに髪を巻き付けていき、段々と太くしていく。
 ここで重要なのが、たまに結び目を作って髪を切り離してもほどけにくいようにしておくことだ。
 【スキル効果10倍】を取得したおかげで【毛魔法lv3】で操る毛の力(以降毛力と呼ぶ)は僕の生身の腕力をはるかに超えている。
 そんな怪力で締め上げながら巻いていくことで、カッチカチの毛巻きができあがるのだ。
 巻き上がった毛巻きは大きすぎてすでに入り口を通れない。
 それを利用してコロコロと入り口を塞ぐように設置して後ろに杭を打っておけば、オークの力でもこの洞窟に入ることはできなくなる。
 完璧だな。
 髪を再利用できる形にしつつも、黒巻貝と同じくらい最強鉄壁の住処が完成した。
 毛巻きは完全に入り口を塞いでいるわけではないので窒息することもない。
 素敵なねぐらができたことだし、ゆっくりと英気を養おうかな。
 オーク?明日は見つかるって。
 僕は光球を浮かべて本の続きを読み始める。
 やっぱり面白いな『帝国後宮物語』は。
 ドロドロで。


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