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56.ゴブリンin東京
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次の日だ。
ゴブリンは昨日送還しなかったので奴隷牢の掃除をさせている。
へたに送還して金貨60枚もかけたゴブリンが冒険者に殺されでもしたらショックで寝込みそうだ。
名前はゴブ次郎とした。
ゴブ之助の想いを継いでくれ。
仕事終わりの僕は黒パンに塩スープを胃に流し込むように食べ、ゴブ次郎を目の前に立たせた。
「ゴブ次郎、ごめんね。君を異世界に送るよ」
「グギャ?」
僕は小首を傾げるゴブ次郎の頭の上のあたりにシロを召喚し、そのままゴブ次郎ごと送還した。
ゴブリンが町中に現れたら大変なことになるからもちろん事前にシロがどこにいるのかは憑依して確かめてある。
いつものようにシロはどこかのビルの屋上にある自分の巣にいた。
そしてそこに今、ゴブ次郎も送還した。
僕はシロに憑依して、ゴブ次郎の様子を見る。
ゴブ次郎はなんとか無事に異世界にたどり着いたようだ。
グギャグギャと落ち着かない様子だけれど、身体に異常があるようには見えない。
今度は僕はゴブ次郎に憑依してみる。
一気に鳩の視点からゴブリンの視点になって僕は軽い感動を覚えた。
シロに憑依して見る東京の街はまるでテレビで見る映像のようだったけれど、ゴブ次郎に憑依して見る東京の街はひどくリアルだ。
人間と視力や視点、視野が似ているゴブリンだからこその景色だ。
このまま街に繰り出して食べ歩きでもしたいところだけれど、ゴブリンの姿でそんなことをすれば大変な騒ぎになってしまうだろう。
お金も持っていないし、食べ歩きは自分の身体でのお楽しみとしよう。
今はやることがある。
こちらの世界でもスキルが使えるのかどうかを確かめなくてはならない。
昨日すでにゴブ次郎の身体強化スキルは使ってみたので、感覚は分かっている。
まずは身体強化スキルを使わずに、軽くジャンプしてみる。
ゴブ次郎の素の身体能力は僕と大差ない。
20センチほど身体が空中に浮き、すぐに着地する。
軽いジャンプだからこんなものかな。
全力ジャンプで40センチといったところだろうか。
僕は次に身体強化スキルを使用して、軽くジャンプしてみた。
先ほどと同じくらいの力でジャンプしたにも関わらず、全力でジャンプしたときと同じくらいの高さまで身体が浮き上がって少しびっくりする。
どうやらこちらの世界でもスキルは使用できるらしい。
僕は一応のため、夢幻魔法も使ってみる。
魔法スキルは使用できないとかそういう可能性もあるからね。
夢幻魔法は幻覚を見せる魔法なので僕は自分に向かって幻覚を見せてみた。
僕の目の前におぼろげな姿のゴブリンが現れる。
やっぱり幻術といえば分身だろう。
どれが本物の僕でしょうか?みたいな。
この幻覚はあまり写実的じゃなくてどれが本物かわからないというのは無理そうだ。
うっすらと向こう側が見えているし、煙みたいに揺らめいている。
これはスキルレベルをもっと上げる必要がありそうだ。
僕は最後に隠密スキルも使ってみた。
これは自分ではあまりわからないな。
僕は一度憑依を解く。
今度はシロに憑依し、ゴブ次郎に隠密スキルを使用するように念じる。
僕はシロの目でその様子を見る。
まだスキルレベルが1だからかもしれないけれど、あまり変わっているように思えないな。
気配とかそういうのを察知するスキルや、達人の感覚なんかには少しは違って感じられるんだろうか。
これもスキルレベルを上げる必要を感じるな。
しかし、異世界でスキルが使用できるのかどうかという実験としては成功だ。
この世界でもスキルは使用できる。
僕はそのことを確信すると、憑依を解いた。
視界が自分の身体に戻り、軽いめまいがする。
僕はどれくらいの時間が経っているのかを会長に聞いて確認する。
「大体1時間くらいじゃないか?」
なるほど、どうやら向こうの世界とこちらの世界では時間の流れが違うようだ。
大体こちらの時間はあちらの時間の5倍くらいの速さで進んでいる。
微妙な差だけれど、あまりあちらで長い時間を過ごすと会長やリリー姉さん、ミゲル君と生きる時間がずれてしまう。
僕はゴブ次郎を召喚してこちらの世界に戻し、今日はもう寝ることにした。
昨日夜更かししたから眠いんだ。
しかしこれでゴブ次郎も元の場所に送還することができなくなってしまったな。
クロはあまり場所を取らないから気にならなかったけれど、ゴブ次郎ちょっと邪魔だな。
さらに次の日だ。
どうやら昨日あちらの世界で数回スキルを使っただけでゴブ次郎のスキルはすべてレベル2になったようだ。
これはいったいどう考えたらいいのだろうか。
ゴブ次郎は天才なのか?
それともあちらの世界でスキルを使ったことに意味があったのだろうか。
これはいよいよ、僕があちらの世界に行って確かめなくてはならない。
少し緊張している。
なにせゴブリンが無事にあちらの世界に行ってスキルを使えたからといって、僕が行っても絶対に大丈夫という保証にはならないからだ。
人間には違うルールが適用されるかもしれない。
召喚スキルだけ使用できなくて、こちらの世界に帰ってこられなくなるかもしれない。
鳩10匹分といっても空間の穴は結構小さいから身体がはみ出してひき肉になってしまうかもしれない。
様々な可能性が僕の中を駆け巡るけれど、やっぱりあちらの世界への郷愁の念が勝る。
食べたいものもあるし、読みたい本もあるし。
僕は覚悟を決め、会長とリリー姉さん、ミゲル君に一応の別れを告げる。
「なあ、別に無理して行く必要はないんじゃないのか?」
「ローレン、男が一度決めたことよ。他人が口を出すような問題じゃない。クロード、無事で戻ってきてね」
「みんなで待ってるだよ……」
「うん、行ってきます」
僕はシロを頭の上に召喚し、自分ごと異世界へと送還した。
僕の視界は一瞬ブラックアウトし、次の瞬間僕の視界には東京の摩天楼が飛び込んできた。
「帰ってきた、のかな……」
ゴブリンは昨日送還しなかったので奴隷牢の掃除をさせている。
へたに送還して金貨60枚もかけたゴブリンが冒険者に殺されでもしたらショックで寝込みそうだ。
名前はゴブ次郎とした。
ゴブ之助の想いを継いでくれ。
仕事終わりの僕は黒パンに塩スープを胃に流し込むように食べ、ゴブ次郎を目の前に立たせた。
「ゴブ次郎、ごめんね。君を異世界に送るよ」
「グギャ?」
僕は小首を傾げるゴブ次郎の頭の上のあたりにシロを召喚し、そのままゴブ次郎ごと送還した。
ゴブリンが町中に現れたら大変なことになるからもちろん事前にシロがどこにいるのかは憑依して確かめてある。
いつものようにシロはどこかのビルの屋上にある自分の巣にいた。
そしてそこに今、ゴブ次郎も送還した。
僕はシロに憑依して、ゴブ次郎の様子を見る。
ゴブ次郎はなんとか無事に異世界にたどり着いたようだ。
グギャグギャと落ち着かない様子だけれど、身体に異常があるようには見えない。
今度は僕はゴブ次郎に憑依してみる。
一気に鳩の視点からゴブリンの視点になって僕は軽い感動を覚えた。
シロに憑依して見る東京の街はまるでテレビで見る映像のようだったけれど、ゴブ次郎に憑依して見る東京の街はひどくリアルだ。
人間と視力や視点、視野が似ているゴブリンだからこその景色だ。
このまま街に繰り出して食べ歩きでもしたいところだけれど、ゴブリンの姿でそんなことをすれば大変な騒ぎになってしまうだろう。
お金も持っていないし、食べ歩きは自分の身体でのお楽しみとしよう。
今はやることがある。
こちらの世界でもスキルが使えるのかどうかを確かめなくてはならない。
昨日すでにゴブ次郎の身体強化スキルは使ってみたので、感覚は分かっている。
まずは身体強化スキルを使わずに、軽くジャンプしてみる。
ゴブ次郎の素の身体能力は僕と大差ない。
20センチほど身体が空中に浮き、すぐに着地する。
軽いジャンプだからこんなものかな。
全力ジャンプで40センチといったところだろうか。
僕は次に身体強化スキルを使用して、軽くジャンプしてみた。
先ほどと同じくらいの力でジャンプしたにも関わらず、全力でジャンプしたときと同じくらいの高さまで身体が浮き上がって少しびっくりする。
どうやらこちらの世界でもスキルは使用できるらしい。
僕は一応のため、夢幻魔法も使ってみる。
魔法スキルは使用できないとかそういう可能性もあるからね。
夢幻魔法は幻覚を見せる魔法なので僕は自分に向かって幻覚を見せてみた。
僕の目の前におぼろげな姿のゴブリンが現れる。
やっぱり幻術といえば分身だろう。
どれが本物の僕でしょうか?みたいな。
この幻覚はあまり写実的じゃなくてどれが本物かわからないというのは無理そうだ。
うっすらと向こう側が見えているし、煙みたいに揺らめいている。
これはスキルレベルをもっと上げる必要がありそうだ。
僕は最後に隠密スキルも使ってみた。
これは自分ではあまりわからないな。
僕は一度憑依を解く。
今度はシロに憑依し、ゴブ次郎に隠密スキルを使用するように念じる。
僕はシロの目でその様子を見る。
まだスキルレベルが1だからかもしれないけれど、あまり変わっているように思えないな。
気配とかそういうのを察知するスキルや、達人の感覚なんかには少しは違って感じられるんだろうか。
これもスキルレベルを上げる必要を感じるな。
しかし、異世界でスキルが使用できるのかどうかという実験としては成功だ。
この世界でもスキルは使用できる。
僕はそのことを確信すると、憑依を解いた。
視界が自分の身体に戻り、軽いめまいがする。
僕はどれくらいの時間が経っているのかを会長に聞いて確認する。
「大体1時間くらいじゃないか?」
なるほど、どうやら向こうの世界とこちらの世界では時間の流れが違うようだ。
大体こちらの時間はあちらの時間の5倍くらいの速さで進んでいる。
微妙な差だけれど、あまりあちらで長い時間を過ごすと会長やリリー姉さん、ミゲル君と生きる時間がずれてしまう。
僕はゴブ次郎を召喚してこちらの世界に戻し、今日はもう寝ることにした。
昨日夜更かししたから眠いんだ。
しかしこれでゴブ次郎も元の場所に送還することができなくなってしまったな。
クロはあまり場所を取らないから気にならなかったけれど、ゴブ次郎ちょっと邪魔だな。
さらに次の日だ。
どうやら昨日あちらの世界で数回スキルを使っただけでゴブ次郎のスキルはすべてレベル2になったようだ。
これはいったいどう考えたらいいのだろうか。
ゴブ次郎は天才なのか?
それともあちらの世界でスキルを使ったことに意味があったのだろうか。
これはいよいよ、僕があちらの世界に行って確かめなくてはならない。
少し緊張している。
なにせゴブリンが無事にあちらの世界に行ってスキルを使えたからといって、僕が行っても絶対に大丈夫という保証にはならないからだ。
人間には違うルールが適用されるかもしれない。
召喚スキルだけ使用できなくて、こちらの世界に帰ってこられなくなるかもしれない。
鳩10匹分といっても空間の穴は結構小さいから身体がはみ出してひき肉になってしまうかもしれない。
様々な可能性が僕の中を駆け巡るけれど、やっぱりあちらの世界への郷愁の念が勝る。
食べたいものもあるし、読みたい本もあるし。
僕は覚悟を決め、会長とリリー姉さん、ミゲル君に一応の別れを告げる。
「なあ、別に無理して行く必要はないんじゃないのか?」
「ローレン、男が一度決めたことよ。他人が口を出すような問題じゃない。クロード、無事で戻ってきてね」
「みんなで待ってるだよ……」
「うん、行ってきます」
僕はシロを頭の上に召喚し、自分ごと異世界へと送還した。
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