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90.しりとり
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相変わらずワイバーンたちは街に向かって火炎ブレスを吐きまくる。
すべて跳ね返されて自分達に少なくない被害が出ているというのに、愚直にブレスを吐き続ける姿は竜種といえども滑稽だ。
頭はあまり良くないのかもしれない。
鳥頭のガルーダのほうがまだ賢かったように思える。
すでにワイバーンは半数近くにまで減ってしまっているのだけど、騎士団の人たちは何をしているのだろうか。
噂をすればなんとやら。
僕が騎士団を呼んだ声に呼応したわけではなかろうが、白銀の金属鎧を身に纏った鎧武者の集団が街中を馬に乗って走ってきた。
街中で馬に乗ることは騎士以外許されていないので、あれが騎士団で間違いないだろう。
ああ、どうもお疲れ様です。
僕はこのあたりで。
「ゴブ次郎」
「グギャ(承知)」
ゴブ次郎の夢幻魔法の力で僕の姿は城壁から消える。
このままここに残って防衛に参加してもろくなことにならない気がするんだよね。
僕は冒険者ギルドで依頼を受けてきたわけでもないから、ただの紛れ込んだ一般人だし。
騎士とかそういう偉ぶった人たちと話すのは苦手だし。
反転魔法のこととか詳しく聞かれそうだし。
そういうわけで、僕は一度冒険者ギルドに行ってリリー姉さんたちと合流しよう。
騎士団がワイバーンに攻撃を開始するのを確認して城壁を下りた。
ご飯の途中だったから少しお腹が空いている。
ブラックキューブの中からコンビニのおにぎりを取り出す。
腹ごしらえしてからでもいいよね。
ギルドに向かうと人で溢れかえっていた。
どうやら冒険者ギルドは民間人の避難場所になっているようだ。
冒険者とそうでない人が混ざり合って混沌と化している。
僕はもみくちゃにされながら受付前に向かう。
受付の前は依頼を受ける冒険者しかいなかったので少しだけ人の密度が薄い。
その中にミゲル君の巨体を発見した。
ミゲル君の元に向かうと、会長とリリー姉さんも一緒だ。
「遅いわよ。なにやってたのよ」
「ちょっとね……」
「俺達は臨時の避難所になっている冒険者ギルドの最終防衛が仕事らしい」
「なるほどね」
「ワイバーンだなんて、おっかないだ……」
「大丈夫、ミゲル君のほうがおっかないから……」
僕はさっき見たワイバーンを思い出す。
確かにスキルの関係上前衛職の2人はちょっと相性が悪いかもしれないけど、攻撃を防ぐことに徹して会長が削れば倒せない相手じゃない。
ミゲル君にいたってはつい先日スキル屋で毒耐性やら炎熱耐性やらの耐性スキルをまとめ買いしていたじゃないか。
何を恐れる必要があるのか。
それにすでに城壁には騎士団が到着している。
僕たちの仕事は少ないんじゃないかな。
ギルド職員の指示に従って配置についていく冒険者たち。
冒険者ギルドの建物はそこそこ大きくて裏に広い訓練場がある。
民間人はその訓練場に集められて、そこを冒険者たちが守る形になるらしい。
守るといってもワイバーンは空を飛べるし、火炎ブレスだって吐く。
たぶん騎士団が打ち漏らしたら民間人を守りきるのは難しいだろうな。
今回集められたのはCランク以上で、防御形のスキルを持つ冒険者と遠距離攻撃ができる冒険者だ。
それ以外は肉壁としての役割を期待されている。
僕たちはCランク以上でそれなりのスキルを持ってはいるのだけど、ギルドにはスキルを申告していない。
肉壁要員として頑張るか。
僕は懐中時計を取り出して時間を見る。
この時計は日本産だけど、懐中時計くらいならこちらの世界にも存在しているので目立つことは無い。
ネットで買った安物なのでそれほど正確ではないけれど、こちらの世界で使うのなら1分1秒を気にする必要もない。
時計は13時30分ほどを指し示している。
ワイバーンが襲来したのは昼過ぎくらいだったので、騎士団とワイバーンが交戦し始めてそろそろ1時間ちょっとになるだろうか。
城壁のほうからは未だにバンバンボンボン戦闘音が聞こえてくるのでまだ戦いは終わっていないみたいだ。
僕はそろそろ暇を持て余してきたよ。
他の冒険者たちも緊張感が薄れ、少し油断しているように思える。
しかし人間の集中力というものはそう長く続くものではないので、仕方がないだろう。
「しりとりしよっか」
「しりとりってなに?」
「そういう遊びだよ」
僕はしりとりのルールを説明する。
しりとりにはこちらの世界の人が分からない概念とかは無いし、ルールも単純なので説明の手間はそれほどかからなかった。
僕「時計」
リリー姉さん「糸」
ミゲル君「トカゲ」
会長「ゲイルブラスト」
ゲイルブラストとは風の砲弾を撃ち出すスキルだ。
ちなみに値段は金貨90枚。
僕「トルネード」
トルネードとは小規模の竜巻を起こすスキルだ。
ちなみに値段は金貨50枚。
リリー姉さん「ドラゴンブレス」
ドラゴンブレスとは高位のドラゴンが持っているとされているスキルのことだ。
ワイバーンの火炎ブレスなどとは比べ物にならない熱量で、SFの世界の光学兵器みたいな攻撃らしい。
ちなみに店には売ってないので値段はプライスレス。
ミゲル君「スライム」
スライムとはRPGなどでおなじみの不定形粘液生物であるあれだ。
この世界にもスライムはいる。
スキルを持っていなければただの粘液なのだけど、たまに物理攻撃無効とかスキル吸収とかの転生者かと疑うような壊れ性能スキルを持った個体が生まれることがあるらしいので要注意だ。
会長「ムートンバード」
ムートンバードとは羊のような毛を持つ鳥の魔物で、その毛は高級品だ。
危険度は低い魔物なのだけど、非常に警戒心が強く人前に姿を見せることが少ないことから幻の鳥と呼ばれているのだ。
僕「ドレイク」
ドレイクは別名走竜と呼ばれる下級竜で、ティラノサウルスみたいなやつだ。
気性が荒く、非常に凶暴なのでSランク認定されている。
生命力が強く、首だけになっても噛み付かれたという本当だか嘘だか分からないような噂がある。
リリー姉さん「クリムゾンフラワー」
クリムゾンフラワーとは植物の魔物だ。
これがまた花粉がニトログリセリンみたいなやつで、非常に危険。
自身は炎熱耐性を持っているために、燃やして討伐することもできない。
更には種を飛ばして増殖し、成長速度もそこそこだというんで文句なしのSランク認定だ。
ていうか魔物やスキルの名前はなしにしたほうが良かったかな。
終わりそうにない。
ミゲル君「わ、わ、わ……」
お、ミゲル君が何も思いつかなくなったみたいだ。
僕もそろそろ頭文字によってはヤバイかもしれない。
リリー姉さんもそこまで余裕のある顔してないな。
やっぱり知識量のある会長がこういうのは一番得意かもしれない。
ミゲル君「わ、わ、わ……ワイバーン……」
「あはは、ミゲル君の負け」
僕はほっとしてそう言うが、ミゲル君はよほど悔しかったのか顔が真っ青だ。
しりとりに負けたからといって死ぬわけでもあるまいし。
しかしミゲル君の顔色はすこぶる悪い。
あまりゲームに熱くなるタイプには見えないのに、意外だな。
ミゲル君はプルプル振るえ、なぜか僕の後ろを指差す。
なんだろな。
「はへ?」
そこには片翼から血を流し、こちらに突っ込んでくるワイバーンの姿があった。
すべて跳ね返されて自分達に少なくない被害が出ているというのに、愚直にブレスを吐き続ける姿は竜種といえども滑稽だ。
頭はあまり良くないのかもしれない。
鳥頭のガルーダのほうがまだ賢かったように思える。
すでにワイバーンは半数近くにまで減ってしまっているのだけど、騎士団の人たちは何をしているのだろうか。
噂をすればなんとやら。
僕が騎士団を呼んだ声に呼応したわけではなかろうが、白銀の金属鎧を身に纏った鎧武者の集団が街中を馬に乗って走ってきた。
街中で馬に乗ることは騎士以外許されていないので、あれが騎士団で間違いないだろう。
ああ、どうもお疲れ様です。
僕はこのあたりで。
「ゴブ次郎」
「グギャ(承知)」
ゴブ次郎の夢幻魔法の力で僕の姿は城壁から消える。
このままここに残って防衛に参加してもろくなことにならない気がするんだよね。
僕は冒険者ギルドで依頼を受けてきたわけでもないから、ただの紛れ込んだ一般人だし。
騎士とかそういう偉ぶった人たちと話すのは苦手だし。
反転魔法のこととか詳しく聞かれそうだし。
そういうわけで、僕は一度冒険者ギルドに行ってリリー姉さんたちと合流しよう。
騎士団がワイバーンに攻撃を開始するのを確認して城壁を下りた。
ご飯の途中だったから少しお腹が空いている。
ブラックキューブの中からコンビニのおにぎりを取り出す。
腹ごしらえしてからでもいいよね。
ギルドに向かうと人で溢れかえっていた。
どうやら冒険者ギルドは民間人の避難場所になっているようだ。
冒険者とそうでない人が混ざり合って混沌と化している。
僕はもみくちゃにされながら受付前に向かう。
受付の前は依頼を受ける冒険者しかいなかったので少しだけ人の密度が薄い。
その中にミゲル君の巨体を発見した。
ミゲル君の元に向かうと、会長とリリー姉さんも一緒だ。
「遅いわよ。なにやってたのよ」
「ちょっとね……」
「俺達は臨時の避難所になっている冒険者ギルドの最終防衛が仕事らしい」
「なるほどね」
「ワイバーンだなんて、おっかないだ……」
「大丈夫、ミゲル君のほうがおっかないから……」
僕はさっき見たワイバーンを思い出す。
確かにスキルの関係上前衛職の2人はちょっと相性が悪いかもしれないけど、攻撃を防ぐことに徹して会長が削れば倒せない相手じゃない。
ミゲル君にいたってはつい先日スキル屋で毒耐性やら炎熱耐性やらの耐性スキルをまとめ買いしていたじゃないか。
何を恐れる必要があるのか。
それにすでに城壁には騎士団が到着している。
僕たちの仕事は少ないんじゃないかな。
ギルド職員の指示に従って配置についていく冒険者たち。
冒険者ギルドの建物はそこそこ大きくて裏に広い訓練場がある。
民間人はその訓練場に集められて、そこを冒険者たちが守る形になるらしい。
守るといってもワイバーンは空を飛べるし、火炎ブレスだって吐く。
たぶん騎士団が打ち漏らしたら民間人を守りきるのは難しいだろうな。
今回集められたのはCランク以上で、防御形のスキルを持つ冒険者と遠距離攻撃ができる冒険者だ。
それ以外は肉壁としての役割を期待されている。
僕たちはCランク以上でそれなりのスキルを持ってはいるのだけど、ギルドにはスキルを申告していない。
肉壁要員として頑張るか。
僕は懐中時計を取り出して時間を見る。
この時計は日本産だけど、懐中時計くらいならこちらの世界にも存在しているので目立つことは無い。
ネットで買った安物なのでそれほど正確ではないけれど、こちらの世界で使うのなら1分1秒を気にする必要もない。
時計は13時30分ほどを指し示している。
ワイバーンが襲来したのは昼過ぎくらいだったので、騎士団とワイバーンが交戦し始めてそろそろ1時間ちょっとになるだろうか。
城壁のほうからは未だにバンバンボンボン戦闘音が聞こえてくるのでまだ戦いは終わっていないみたいだ。
僕はそろそろ暇を持て余してきたよ。
他の冒険者たちも緊張感が薄れ、少し油断しているように思える。
しかし人間の集中力というものはそう長く続くものではないので、仕方がないだろう。
「しりとりしよっか」
「しりとりってなに?」
「そういう遊びだよ」
僕はしりとりのルールを説明する。
しりとりにはこちらの世界の人が分からない概念とかは無いし、ルールも単純なので説明の手間はそれほどかからなかった。
僕「時計」
リリー姉さん「糸」
ミゲル君「トカゲ」
会長「ゲイルブラスト」
ゲイルブラストとは風の砲弾を撃ち出すスキルだ。
ちなみに値段は金貨90枚。
僕「トルネード」
トルネードとは小規模の竜巻を起こすスキルだ。
ちなみに値段は金貨50枚。
リリー姉さん「ドラゴンブレス」
ドラゴンブレスとは高位のドラゴンが持っているとされているスキルのことだ。
ワイバーンの火炎ブレスなどとは比べ物にならない熱量で、SFの世界の光学兵器みたいな攻撃らしい。
ちなみに店には売ってないので値段はプライスレス。
ミゲル君「スライム」
スライムとはRPGなどでおなじみの不定形粘液生物であるあれだ。
この世界にもスライムはいる。
スキルを持っていなければただの粘液なのだけど、たまに物理攻撃無効とかスキル吸収とかの転生者かと疑うような壊れ性能スキルを持った個体が生まれることがあるらしいので要注意だ。
会長「ムートンバード」
ムートンバードとは羊のような毛を持つ鳥の魔物で、その毛は高級品だ。
危険度は低い魔物なのだけど、非常に警戒心が強く人前に姿を見せることが少ないことから幻の鳥と呼ばれているのだ。
僕「ドレイク」
ドレイクは別名走竜と呼ばれる下級竜で、ティラノサウルスみたいなやつだ。
気性が荒く、非常に凶暴なのでSランク認定されている。
生命力が強く、首だけになっても噛み付かれたという本当だか嘘だか分からないような噂がある。
リリー姉さん「クリムゾンフラワー」
クリムゾンフラワーとは植物の魔物だ。
これがまた花粉がニトログリセリンみたいなやつで、非常に危険。
自身は炎熱耐性を持っているために、燃やして討伐することもできない。
更には種を飛ばして増殖し、成長速度もそこそこだというんで文句なしのSランク認定だ。
ていうか魔物やスキルの名前はなしにしたほうが良かったかな。
終わりそうにない。
ミゲル君「わ、わ、わ……」
お、ミゲル君が何も思いつかなくなったみたいだ。
僕もそろそろ頭文字によってはヤバイかもしれない。
リリー姉さんもそこまで余裕のある顔してないな。
やっぱり知識量のある会長がこういうのは一番得意かもしれない。
ミゲル君「わ、わ、わ……ワイバーン……」
「あはは、ミゲル君の負け」
僕はほっとしてそう言うが、ミゲル君はよほど悔しかったのか顔が真っ青だ。
しりとりに負けたからといって死ぬわけでもあるまいし。
しかしミゲル君の顔色はすこぶる悪い。
あまりゲームに熱くなるタイプには見えないのに、意外だな。
ミゲル君はプルプル振るえ、なぜか僕の後ろを指差す。
なんだろな。
「はへ?」
そこには片翼から血を流し、こちらに突っ込んでくるワイバーンの姿があった。
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