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改稿版
11.地竜討伐戦
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「なんで……」
切れないものなんて無いと思っていた空間属性を付与した剣が、通用しなかった。
こんなことは初めてだ。
ゴツゴツとした鱗を、光の膜が覆っているように見える。
あれが俺の魔法を弾いたのかもしれない。
最強種の一角であるドラゴンが、一筋縄でいくはずはなかったのだ。
剣が折れてしまったし、空間属性付与も効かないとわかった。
どうすればこの魔物を倒せるだろうか。
「グルルルル……」
地竜は口ではゴブリンをむしゃむしゃしながらも、目だけは俺のほうを見ている。
貴様などは飯の片手間でも相手できる、と言っているようだ。
俺は空間収納からナイフを取り出す。
今まで使っていた剣は最初に襲ってきたマッチョが使っていたものだ。
そしてこのナイフはネズミ顔が使っていたもの。
別に折れても惜しくはない。
俺はナイフに空間属性を付与し、ワームホールを使って地竜の目玉にナイフを突き入れる。
パキンッと、ナイフも折れてしまった。
あの光の膜が厄介だ。
首筋や目玉もカバーしているようだし、あっとは口の中くらいか。
地竜は目玉にナイフを突き立てられそうになって多少鬱陶しかったのかぐるると一声鳴いたが、またゴブリンをむしゃむしゃする作業に戻った。
ゴブリンも逃げろよ。
どう考えても君たちが勝てる相手じゃないだろ。
多少知恵があるといっても所詮は小鬼畜生か。
俺は地竜がゴブリンを食べようと口を開いた瞬間に口の中にナイフを突き入れた。
しかし結果はまたもナイフが折れることとなった。
光の膜は口の中にまで広がっているらしい。
弱点が無い。
地竜はナイフの残骸をペッと吐き出すと、鋭い目つきでぐるると鳴いた。
怒らせてしまっただろうか。
地面がゴゴゴと音を立てる。
小石や砂などが地竜の元に集まると、槍のように細く鋭く尖っていく。
地竜というくらいだからこの手の攻撃は予想していたが、はたしてどのくらいの威力なのか。
一度威力を見よう。
土石の槍が放たれる。
俺は短距離転移で地竜の反対側に回る。
バキバキという木がなぎ倒される音がした。
土石の槍によって、大木が何本もなぎ倒された。
そこそこの威力だ。
だが防げない攻撃じゃない。
それに次弾装填も遅い。
これならいける。
攻撃手段はついさっき思いついた。
というか忘れていた。
翼の無い生き物には致命的な攻撃手段を持っていることに。
俺は短距離転移で地竜の背中に乗ると、地竜ごと大空へ短距離転移した。
「グルァァァァァァァッ……」
地竜は悲痛な叫びを上げながら地上へと垂直落下を始める。
自重の重い大型魔物が、この高さからの落下に耐えられるかな。
あの光の膜がどの程度の防御力があるかは分からないが、地竜を討伐した記録があるということは無敵ではないのだろう。
死ぬまで落とし続ければいい。
俺は落下地点から少し離れた木の上に短距離転移して地竜が落ちていくのを眺めた。
まるで隕石だ。
高さは3000メートルほどだからそこまで空気摩擦は無いみたいだけど。
どんどんスピードは上がり、地竜はものすごいスピードで地面に落下した。
この世の終わりみたいな地響きがする。
ご近所さんには悪いことをした。
落下の衝撃で色々なものが吹き飛ばされて飛んでくる。
俺は八方結界という魔法を使用する。
8箇所を基点とした全方位バリアの魔法だ。
これとは別に一方位だけの四方結界というバリアもある。
結界にはボンボンと石や木が当たった。
近くに人が居たら本当に申し訳ない。
死んでなければ怪我くらいは無料で治すよ。
やがて飛んでくるものが無くなり、静寂が戻ってきた。
俺は結界を解除し、恐る恐る地竜のもとへ向かう。
生きていたとしたらとても怒っているだろうから。
森の一部に小さな隕石が落ちたようなクレーターになっている場所がある。
その中心に地竜はいた。
「ぐるるぅ……」
驚いたことにまだ生きている。
だけど身体中から血を流していて、今にも息絶えそうな様相だ。
俺は一応のためにもう一度短距離転移で大空に飛ばした。
「ぐる……るぅ……」
地竜は涙を流していた。
ちょっとだけ地竜に同情してしまう。
でも俺がやらなくても誰かには討伐されていたことだろう。
俺はそう考えて少しでも罪悪感を減らす。
地竜は再び地面に叩きつけられて今度こそ絶命した。
死なば皆仏だ。
俺は手を合わせて地竜の冥福を祈った。
あとはこの付近の冒険者に被害が出ていないか確認しておこう。
使うのは空間探知の魔法。
この魔法は一定空間内のすべてを把握することのできる魔法だが、魔石消費が中魔石2個と多いので普段は使っていない魔法だ。
被害が予想される大森林中層付近には、16人の冒険者が存在した。
大半がパーティを組んでいる。
ソロは1人だけ。
様子を見るに、ほとんどの人がパーティを組んでいたために無事だったようだ。
いざというときに助け合って生存率を高められるのがパーティの大きなメリットだ。
森の中層まで来ているのはCランク以上の冒険者ばかりだから、いざという時の役割分担もしっかりとできていたのだろう。
パーティを組んでいた人たちは皆地竜落下時の轟音に警戒して森から離脱するために走っていた。
あんな轟音が2回もしたんじゃ、森の異変を疑うのも分かる。
冒険者の行動としては、たぶんグラントさんも二重丸をくれる行動だ。
パーティを組んでいる人たちは問題ない。
あと残るは一人、ソロの男性。
その人だけはちょっと不味い状況だった。
地竜が落下したときに吹き飛ばされたとみられる大きな岩の下敷きになっていたのだ。
申し訳ないことをした。
俺はすぐに岩をアイテムボックスに収納して、冒険者さんを助け出した。
奇跡的にまだ息があった。
急いで時間遡及を使う。
身体中大怪我しているので脳以外全部だ。
40代くらいに見えるのでおまけで10歳くらい若返らせる。
中魔石を50個も使ってしまったけれど、特大魔石が手に入るのなら安いものだ。
特大魔石1個のエネルギーが、まさか中魔石50個分にも満たないということは無いはずだ。
この冒険者さんには本当に悪いことをしてしまった。
お詫びというわけではないけれど、魔石以外の地竜の素材を好きなだけ譲ることにしよう。
切れないものなんて無いと思っていた空間属性を付与した剣が、通用しなかった。
こんなことは初めてだ。
ゴツゴツとした鱗を、光の膜が覆っているように見える。
あれが俺の魔法を弾いたのかもしれない。
最強種の一角であるドラゴンが、一筋縄でいくはずはなかったのだ。
剣が折れてしまったし、空間属性付与も効かないとわかった。
どうすればこの魔物を倒せるだろうか。
「グルルルル……」
地竜は口ではゴブリンをむしゃむしゃしながらも、目だけは俺のほうを見ている。
貴様などは飯の片手間でも相手できる、と言っているようだ。
俺は空間収納からナイフを取り出す。
今まで使っていた剣は最初に襲ってきたマッチョが使っていたものだ。
そしてこのナイフはネズミ顔が使っていたもの。
別に折れても惜しくはない。
俺はナイフに空間属性を付与し、ワームホールを使って地竜の目玉にナイフを突き入れる。
パキンッと、ナイフも折れてしまった。
あの光の膜が厄介だ。
首筋や目玉もカバーしているようだし、あっとは口の中くらいか。
地竜は目玉にナイフを突き立てられそうになって多少鬱陶しかったのかぐるると一声鳴いたが、またゴブリンをむしゃむしゃする作業に戻った。
ゴブリンも逃げろよ。
どう考えても君たちが勝てる相手じゃないだろ。
多少知恵があるといっても所詮は小鬼畜生か。
俺は地竜がゴブリンを食べようと口を開いた瞬間に口の中にナイフを突き入れた。
しかし結果はまたもナイフが折れることとなった。
光の膜は口の中にまで広がっているらしい。
弱点が無い。
地竜はナイフの残骸をペッと吐き出すと、鋭い目つきでぐるると鳴いた。
怒らせてしまっただろうか。
地面がゴゴゴと音を立てる。
小石や砂などが地竜の元に集まると、槍のように細く鋭く尖っていく。
地竜というくらいだからこの手の攻撃は予想していたが、はたしてどのくらいの威力なのか。
一度威力を見よう。
土石の槍が放たれる。
俺は短距離転移で地竜の反対側に回る。
バキバキという木がなぎ倒される音がした。
土石の槍によって、大木が何本もなぎ倒された。
そこそこの威力だ。
だが防げない攻撃じゃない。
それに次弾装填も遅い。
これならいける。
攻撃手段はついさっき思いついた。
というか忘れていた。
翼の無い生き物には致命的な攻撃手段を持っていることに。
俺は短距離転移で地竜の背中に乗ると、地竜ごと大空へ短距離転移した。
「グルァァァァァァァッ……」
地竜は悲痛な叫びを上げながら地上へと垂直落下を始める。
自重の重い大型魔物が、この高さからの落下に耐えられるかな。
あの光の膜がどの程度の防御力があるかは分からないが、地竜を討伐した記録があるということは無敵ではないのだろう。
死ぬまで落とし続ければいい。
俺は落下地点から少し離れた木の上に短距離転移して地竜が落ちていくのを眺めた。
まるで隕石だ。
高さは3000メートルほどだからそこまで空気摩擦は無いみたいだけど。
どんどんスピードは上がり、地竜はものすごいスピードで地面に落下した。
この世の終わりみたいな地響きがする。
ご近所さんには悪いことをした。
落下の衝撃で色々なものが吹き飛ばされて飛んでくる。
俺は八方結界という魔法を使用する。
8箇所を基点とした全方位バリアの魔法だ。
これとは別に一方位だけの四方結界というバリアもある。
結界にはボンボンと石や木が当たった。
近くに人が居たら本当に申し訳ない。
死んでなければ怪我くらいは無料で治すよ。
やがて飛んでくるものが無くなり、静寂が戻ってきた。
俺は結界を解除し、恐る恐る地竜のもとへ向かう。
生きていたとしたらとても怒っているだろうから。
森の一部に小さな隕石が落ちたようなクレーターになっている場所がある。
その中心に地竜はいた。
「ぐるるぅ……」
驚いたことにまだ生きている。
だけど身体中から血を流していて、今にも息絶えそうな様相だ。
俺は一応のためにもう一度短距離転移で大空に飛ばした。
「ぐる……るぅ……」
地竜は涙を流していた。
ちょっとだけ地竜に同情してしまう。
でも俺がやらなくても誰かには討伐されていたことだろう。
俺はそう考えて少しでも罪悪感を減らす。
地竜は再び地面に叩きつけられて今度こそ絶命した。
死なば皆仏だ。
俺は手を合わせて地竜の冥福を祈った。
あとはこの付近の冒険者に被害が出ていないか確認しておこう。
使うのは空間探知の魔法。
この魔法は一定空間内のすべてを把握することのできる魔法だが、魔石消費が中魔石2個と多いので普段は使っていない魔法だ。
被害が予想される大森林中層付近には、16人の冒険者が存在した。
大半がパーティを組んでいる。
ソロは1人だけ。
様子を見るに、ほとんどの人がパーティを組んでいたために無事だったようだ。
いざというときに助け合って生存率を高められるのがパーティの大きなメリットだ。
森の中層まで来ているのはCランク以上の冒険者ばかりだから、いざという時の役割分担もしっかりとできていたのだろう。
パーティを組んでいた人たちは皆地竜落下時の轟音に警戒して森から離脱するために走っていた。
あんな轟音が2回もしたんじゃ、森の異変を疑うのも分かる。
冒険者の行動としては、たぶんグラントさんも二重丸をくれる行動だ。
パーティを組んでいる人たちは問題ない。
あと残るは一人、ソロの男性。
その人だけはちょっと不味い状況だった。
地竜が落下したときに吹き飛ばされたとみられる大きな岩の下敷きになっていたのだ。
申し訳ないことをした。
俺はすぐに岩をアイテムボックスに収納して、冒険者さんを助け出した。
奇跡的にまだ息があった。
急いで時間遡及を使う。
身体中大怪我しているので脳以外全部だ。
40代くらいに見えるのでおまけで10歳くらい若返らせる。
中魔石を50個も使ってしまったけれど、特大魔石が手に入るのなら安いものだ。
特大魔石1個のエネルギーが、まさか中魔石50個分にも満たないということは無いはずだ。
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