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改稿版
26.地竜再び
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次の日だ。
俺たちの探索は順調に進み、亀のダンジョン第4層に到着。
この階層に出る魔物は1種類。
スチールタートルという硬い甲羅を持つ巨大な亀の魔物だけだ。
この魔物も非常に時空間魔法と相性のいい魔物だ。
動きは遅く、厄介なのはその防御力だけ。
しかも大魔石を宿しているというのだから、非常においしい魔物だ。
この階層で大魔石を大量に補充していこう。
「しかし、宝箱は全然出ないな」
「ここは逃げるだけなら難しくない魔物が多いですからな。魔物との戦闘を避けて宝箱ばかり探している冒険者なども多いのでしょう」
魔石の補充や金稼ぎにはなかなかいいダンジョンだと思うが、肝心の魔法具は手に入らずか。
まあ最下層まで行けば1つくらいは手に入るだろう。
ダンジョンの最下層には特別な宝箱があって、そこからはかなりの確率でレアアイテムが出るそうだからな。
その宝箱を守る守護者の魔物を倒さないといけないけどな。
倒すたびに守護者が変わるダンジョンもあるようだが、このダンジョンは毎回同じ魔物で、俺も前に倒したことのある魔物、地竜だ。
以前は上空から落とすという手段で倒したが、ダンジョンという狭い空間では同じ手段をとることはできないだろう。
しかしあれから俺も地竜のように特殊な魔法防御を持った魔物を倒せるように、色々と試行錯誤したからな。
地竜相手に通用するのか試してみるのが楽しみだ。
このダンジョンは全7層という階層の少ないダンジョンなので、あと3層下れば地竜とご対面だ。
俺たちは地竜に備えて3日ほど大魔石の補充に費やした。
「最下層っすね」
「地竜と戦ってみたい?」
「儂はできれば一太刀試してみたいですな」
「俺は御免ですよ」
「私も無理です。魔法具もなしには傷一つ付けられないと思います」
「右に同じ」
地竜相手に通常武器で戦ってみたいというのはアルベルトだけか。
アルベルトが少し戦闘狂なだけで、他のみんなの感覚が正常だろう。
あれに剣一本で立ち向かおうなんて馬鹿げている。
俺もいつもの装備では戦おうとは思わないからな。
これまで使ってきた拳銃を仕舞い、アメリカで買ってきた同じ会社の後継の拳銃を取り出す。
今まで使っていた拳銃は単発でしか撃てなかったが、この拳銃は3点バーストと呼ばれる3発連射できる機能の付いたものだ。
まずはこれを試してみる。
空から落とした感じだと、地竜は無敵とまではいかない防御力だった。
空間属性を付与した銃弾を連続で当てればあの光の防御を貫けるのではないかと考えたのだ。
「じゃ、行こうか」
俺はボス部屋の扉を開けた。
ボス部屋の扉が閉まってボスか冒険者が死ぬまでは出られないというダンジョンもあるようだが、このダンジョンはずっと開いているのでいざとなったら逃げることが可能だ。
そのへんもダンジョンの難易度を決めるポイントになっているようだ。
このダンジョンは最悪逃げることが可能という場面が多いので、地竜という強力な守護者がいるにも関わらずダンジョン自体の総合的な難易度はCだ。
あと罠も少ない。
これまで1回しか罠に遭遇していない。
罠の種類も単純な落とし穴だった。
冒険者としての様々な技術を持っていなくても、最悪逃げ足さえ早ければ宝箱に遭遇して一攫千金を狙うことができる。
運が良ければだが。
俺たちは一度も宝箱に遭遇しなかったから運が悪かったということかな。
その分この階層の宝箱から良い物が出てほしいのだが。
『グルルルルルゥッ!』
以前森の奥でゴブリンをむしゃむしゃしていた地竜は攻撃されるまでは俺のことを相手にしようとはしなかったが、ダンジョンにいるやつは違うようだ。
この部屋に入るものは何人たりとも許さないと言わんばかりに吠える。
「じゃあまずはアルベルト、やってみ。特殊能力は俺のほうで防ぐから気にしなくていい」
「了解。行きます」
アルベルトは滑るように滑らかな動きで地竜に走り寄る。
地竜は土石の槍を作り出し、アルベルトを攻撃しようとする。
俺は短距離転移で地竜の身体を反対に向かせる。
あの攻撃の照準はおそらく目視によるものだろう。
突然視界が変われば、狙いをつけられないはず。
俺の予想通り、土石の槍は地竜の動揺に呼応するようにポロポロ崩れ落ちた。
アルベルトはまっすぐ駆け、地竜の腹の下に潜り込む。
「きぃぇぇぇぇいっ!!」
アルベルトの口からは穏やかな普段の声とは全く違う、動物の鳴き声のような気合の声が響き渡る。
硬い地竜の表皮にアルベルトの振るう神速の斬撃が浅い切り傷を作る。
地竜が足を振り上げてスタンピングしようとしたので、俺は短距離転移でアルベルトを回収した。
「面目ない。ご主人様から頂いた剣を刃こぼれさせてしまいました」
「いや、よく刃こぼれで済んだな。それに地竜の表皮に傷を作るなんてすごいと思うぞ」
「いえ、まだまだです。今までいかに武器に頼っていたのか実感します」
アルベルトは騎士時代にも傭兵時代にも魔剣を使っていたらしい。
魔剣というのはたとえば地竜の牙などの魔物の素材を鍛えて作った剣のことで、普通の武器とは切れ味や強度が段違いだし、特別な能力が宿ることもあるという。
魔剣なら金を積めば手に入らないこともないので買ってやると言ったのだが、修行しなおしたいのでしばらく普通の剣を使いたいと断られてしまった。
普通の剣でも十分強いので、好きなようにさせている。
仕事さえしてくれれば修行でもなんでも好きにしてくれ。
俺は激昂して土石の槍を乱発する地竜を短距離転移で転ばせる。
高いところから落とすような空間は無くても、体制を崩すくらいはできるからな。
ひっくり返って地面に頭から落ちる地竜に拳銃を向け、3点バーストで放つ。
ワームホールを通って3発の銃弾がパパパンと地竜の腹に撃ち込まれた。
地竜の腹からは血が噴き出した。
光の防御があるために全弾は当たっていないようだが、少なくとも1発は当たったということだろう。
やはり空間属性を付与した銃弾の波状攻撃は有効なようだ。
俺たちの探索は順調に進み、亀のダンジョン第4層に到着。
この階層に出る魔物は1種類。
スチールタートルという硬い甲羅を持つ巨大な亀の魔物だけだ。
この魔物も非常に時空間魔法と相性のいい魔物だ。
動きは遅く、厄介なのはその防御力だけ。
しかも大魔石を宿しているというのだから、非常においしい魔物だ。
この階層で大魔石を大量に補充していこう。
「しかし、宝箱は全然出ないな」
「ここは逃げるだけなら難しくない魔物が多いですからな。魔物との戦闘を避けて宝箱ばかり探している冒険者なども多いのでしょう」
魔石の補充や金稼ぎにはなかなかいいダンジョンだと思うが、肝心の魔法具は手に入らずか。
まあ最下層まで行けば1つくらいは手に入るだろう。
ダンジョンの最下層には特別な宝箱があって、そこからはかなりの確率でレアアイテムが出るそうだからな。
その宝箱を守る守護者の魔物を倒さないといけないけどな。
倒すたびに守護者が変わるダンジョンもあるようだが、このダンジョンは毎回同じ魔物で、俺も前に倒したことのある魔物、地竜だ。
以前は上空から落とすという手段で倒したが、ダンジョンという狭い空間では同じ手段をとることはできないだろう。
しかしあれから俺も地竜のように特殊な魔法防御を持った魔物を倒せるように、色々と試行錯誤したからな。
地竜相手に通用するのか試してみるのが楽しみだ。
このダンジョンは全7層という階層の少ないダンジョンなので、あと3層下れば地竜とご対面だ。
俺たちは地竜に備えて3日ほど大魔石の補充に費やした。
「最下層っすね」
「地竜と戦ってみたい?」
「儂はできれば一太刀試してみたいですな」
「俺は御免ですよ」
「私も無理です。魔法具もなしには傷一つ付けられないと思います」
「右に同じ」
地竜相手に通常武器で戦ってみたいというのはアルベルトだけか。
アルベルトが少し戦闘狂なだけで、他のみんなの感覚が正常だろう。
あれに剣一本で立ち向かおうなんて馬鹿げている。
俺もいつもの装備では戦おうとは思わないからな。
これまで使ってきた拳銃を仕舞い、アメリカで買ってきた同じ会社の後継の拳銃を取り出す。
今まで使っていた拳銃は単発でしか撃てなかったが、この拳銃は3点バーストと呼ばれる3発連射できる機能の付いたものだ。
まずはこれを試してみる。
空から落とした感じだと、地竜は無敵とまではいかない防御力だった。
空間属性を付与した銃弾を連続で当てればあの光の防御を貫けるのではないかと考えたのだ。
「じゃ、行こうか」
俺はボス部屋の扉を開けた。
ボス部屋の扉が閉まってボスか冒険者が死ぬまでは出られないというダンジョンもあるようだが、このダンジョンはずっと開いているのでいざとなったら逃げることが可能だ。
そのへんもダンジョンの難易度を決めるポイントになっているようだ。
このダンジョンは最悪逃げることが可能という場面が多いので、地竜という強力な守護者がいるにも関わらずダンジョン自体の総合的な難易度はCだ。
あと罠も少ない。
これまで1回しか罠に遭遇していない。
罠の種類も単純な落とし穴だった。
冒険者としての様々な技術を持っていなくても、最悪逃げ足さえ早ければ宝箱に遭遇して一攫千金を狙うことができる。
運が良ければだが。
俺たちは一度も宝箱に遭遇しなかったから運が悪かったということかな。
その分この階層の宝箱から良い物が出てほしいのだが。
『グルルルルルゥッ!』
以前森の奥でゴブリンをむしゃむしゃしていた地竜は攻撃されるまでは俺のことを相手にしようとはしなかったが、ダンジョンにいるやつは違うようだ。
この部屋に入るものは何人たりとも許さないと言わんばかりに吠える。
「じゃあまずはアルベルト、やってみ。特殊能力は俺のほうで防ぐから気にしなくていい」
「了解。行きます」
アルベルトは滑るように滑らかな動きで地竜に走り寄る。
地竜は土石の槍を作り出し、アルベルトを攻撃しようとする。
俺は短距離転移で地竜の身体を反対に向かせる。
あの攻撃の照準はおそらく目視によるものだろう。
突然視界が変われば、狙いをつけられないはず。
俺の予想通り、土石の槍は地竜の動揺に呼応するようにポロポロ崩れ落ちた。
アルベルトはまっすぐ駆け、地竜の腹の下に潜り込む。
「きぃぇぇぇぇいっ!!」
アルベルトの口からは穏やかな普段の声とは全く違う、動物の鳴き声のような気合の声が響き渡る。
硬い地竜の表皮にアルベルトの振るう神速の斬撃が浅い切り傷を作る。
地竜が足を振り上げてスタンピングしようとしたので、俺は短距離転移でアルベルトを回収した。
「面目ない。ご主人様から頂いた剣を刃こぼれさせてしまいました」
「いや、よく刃こぼれで済んだな。それに地竜の表皮に傷を作るなんてすごいと思うぞ」
「いえ、まだまだです。今までいかに武器に頼っていたのか実感します」
アルベルトは騎士時代にも傭兵時代にも魔剣を使っていたらしい。
魔剣というのはたとえば地竜の牙などの魔物の素材を鍛えて作った剣のことで、普通の武器とは切れ味や強度が段違いだし、特別な能力が宿ることもあるという。
魔剣なら金を積めば手に入らないこともないので買ってやると言ったのだが、修行しなおしたいのでしばらく普通の剣を使いたいと断られてしまった。
普通の剣でも十分強いので、好きなようにさせている。
仕事さえしてくれれば修行でもなんでも好きにしてくれ。
俺は激昂して土石の槍を乱発する地竜を短距離転移で転ばせる。
高いところから落とすような空間は無くても、体制を崩すくらいはできるからな。
ひっくり返って地面に頭から落ちる地竜に拳銃を向け、3点バーストで放つ。
ワームホールを通って3発の銃弾がパパパンと地竜の腹に撃ち込まれた。
地竜の腹からは血が噴き出した。
光の防御があるために全弾は当たっていないようだが、少なくとも1発は当たったということだろう。
やはり空間属性を付与した銃弾の波状攻撃は有効なようだ。
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