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18.モ〇バーガー
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検査の結果、俺と日野の身体からはなんら特別なことは見つからなかった。
病原菌なんかも問題ないそうだ。
俺の遺伝子もホモサピエンスのものと変わらなかった。
不思議なこともあったもんんだ。
科学的にはなんの特徴もない俺と日野の肉体。
しかしレベルアップによって上がった魔力値は確実に俺たちの身体を変容させているはずだ。
レベルや魔力値というものは科学では検証することのできないものなのかもしれない。
「それにしても、今日で6日か。明日はへたれドラゴンにあちらの世界に一度戻ると言った日だ。一度戻らないとな」
この国の意思決定機関が何かしらの決定を下すのを待っていたら年が明けてしまいそうだ。
何やら色々と議論しているようだが何一つとして決まっていないらしい。
今は確か日野のエクストラスキルが銃刀法違反に当たるのかどうかを議論しているとか上田一等陸尉が教えてくれたな。
日野のエクストラスキルは銃を2丁も召喚してしまうスキルだ。
当然この世界でも同じように召喚することができた。
この日本という国において銃を自由自在に召喚できる奴っていうのは治安維持する側にしてみたらやばすぎる。
しかし日野の召喚した銃を改めて良く調べてみたら科学的には弾丸を放つことなどできようもないモデルガンのようなものだったらしい。
撃鉄は雷管を爆ざすこともできない見せかけのもので、中に入っている弾丸にも火薬は使われていなかった。
薬莢の中に入っていたのはケイ素の粉末、つまり砂だ。
雷管を撃鉄が叩いても爆ぜるはずがない。
実際に他人が日野の召喚した銃を使ってみても銃口から弾が出ることはなかった。
しかしなぜか日野が使うと弾丸は初速400m/sでかっ飛んでいく。
これを現行の銃刀法違反で裁くことはできない。
かといって放っておくこともできない。
日野のこと以外にも、異世界への扉というファンタジーな存在は日本の現行の制度には当てはまらないことが多い。
存在自体がイレギュラーなのだから仕方がないだろう。
まだ次元の扉のことを国民に大っぴらにするわけにもいかないために、閣僚たちは毎日睡眠時間を削って極秘会議を繰り広げているらしい。
政治家っていうのも大変な仕事だな。
だが彼ら彼女らの苦労と俺の意思は全く関係ないことだ。
俺には俺の生活スタイルがある。
そろそろモ〇バーガーも食べたいことだし、一度お暇させてもらおう。
「抜け出すんですか?」
「病原菌には感染していないことはもう確認済みなんだ。拘束される理由はないだろ。一度確認してダメなら抜け出すさ」
「密入国とか、こじつければ理由はいくらでもありそうですが」
「そういうことをする国とは断交だ。クローゼットの前にでっかい銅像でも置いてやるよ」
「また運命神が怒りそうなことを……」
運命神はそんなことでは怒らないさ。
銅像を強制撤去されるだけだ。
何度でも置いてやるけどな。
案の定俺の一度戻りたいという言葉は却下されてしまった。
理由は安全保障上の問題というよくわからないものだった。
俺のような化け物にうろうろされると日本国民に危険が及ぶとでも言いたいのか。
まあそのとおりだが。
「というわけでちょっと岐阜城行ってくる。何もなければ扉が開いている10分の間に戻ってくる」
「ドラゴンさんによろしくお伝えください」
「契約書に触れればいつでもよろしく伝えられるだろ」
「そうでしたね」
「それと、そろそろ名前でも付けてやったらどうだ」
「考えておきます」
「俺のワイバーンがノブナガだから、ヒデヨシかイエヤスがいいと思うぞ」
「ははは……」
笑ってごまかすんじゃない。
まあドラゴンの名前なんかどうでもいいけどな。
思いつかなければポチとかぺスとかにしておけ。
精霊魔法で光学迷彩を纏い、病院を抜け出す。
あまり単身で空を飛ぶのはスーパーマンみたいで好きではないが、走って移動するには日本は地上がごちゃごちゃしすぎている。
仕方がなく風を纏い、電線の上あたりを低空飛行して岐阜城を目指した。
途中モ〇バーガーに寄る。
「モ〇バーガーセットを20個」
「20個ですか。少々お時間がかかりますがよろしいでしょうか」
「大丈夫です」
アイテムボックスに大量のモ〇バーガーセットをストックしておこうと時間にはかなり余裕を持って出てきたので問題はない。
日野に借りた金で清算を済ませ、借りてきたライトノベルを読みながら時間を潰す。
自衛隊が異世界に行って現代兵器で無双する内容のもので、結構面白い。
なんだか今の状況と少し似ているような気がしてなかなかに参考になる。
だがおそらく自衛隊の兵器はあちらの世界の生き物に対してそこまで劇的な効果を発揮することはないだろうな。
レベルも魔力値も低い一般市民ならともかく、ある程度レベルを上げている戦闘職や高レベル帯の魔物に対しては大口径の銃も効かないんじゃないだろうか。
竜種には言わずもがな。
どれだけ威力があろうが普通の金属で作られた武器で竜種に傷を負わせるのは不可能だ。
自衛隊が物語の中のように無双するには地道にレベル上げをしてミスリルやオリハルコンなどの幻想金属で作られた武器を使うしかないだろう。
未知の金属による武器の研究開発だけで何年もかかりそうな話だな。
パタンとラノベを閉じると、ちょうど20個のモ〇バーガーセットができあがったようだ。
俺は良い匂いのする袋を両手に下げ、店を後にした。
病原菌なんかも問題ないそうだ。
俺の遺伝子もホモサピエンスのものと変わらなかった。
不思議なこともあったもんんだ。
科学的にはなんの特徴もない俺と日野の肉体。
しかしレベルアップによって上がった魔力値は確実に俺たちの身体を変容させているはずだ。
レベルや魔力値というものは科学では検証することのできないものなのかもしれない。
「それにしても、今日で6日か。明日はへたれドラゴンにあちらの世界に一度戻ると言った日だ。一度戻らないとな」
この国の意思決定機関が何かしらの決定を下すのを待っていたら年が明けてしまいそうだ。
何やら色々と議論しているようだが何一つとして決まっていないらしい。
今は確か日野のエクストラスキルが銃刀法違反に当たるのかどうかを議論しているとか上田一等陸尉が教えてくれたな。
日野のエクストラスキルは銃を2丁も召喚してしまうスキルだ。
当然この世界でも同じように召喚することができた。
この日本という国において銃を自由自在に召喚できる奴っていうのは治安維持する側にしてみたらやばすぎる。
しかし日野の召喚した銃を改めて良く調べてみたら科学的には弾丸を放つことなどできようもないモデルガンのようなものだったらしい。
撃鉄は雷管を爆ざすこともできない見せかけのもので、中に入っている弾丸にも火薬は使われていなかった。
薬莢の中に入っていたのはケイ素の粉末、つまり砂だ。
雷管を撃鉄が叩いても爆ぜるはずがない。
実際に他人が日野の召喚した銃を使ってみても銃口から弾が出ることはなかった。
しかしなぜか日野が使うと弾丸は初速400m/sでかっ飛んでいく。
これを現行の銃刀法違反で裁くことはできない。
かといって放っておくこともできない。
日野のこと以外にも、異世界への扉というファンタジーな存在は日本の現行の制度には当てはまらないことが多い。
存在自体がイレギュラーなのだから仕方がないだろう。
まだ次元の扉のことを国民に大っぴらにするわけにもいかないために、閣僚たちは毎日睡眠時間を削って極秘会議を繰り広げているらしい。
政治家っていうのも大変な仕事だな。
だが彼ら彼女らの苦労と俺の意思は全く関係ないことだ。
俺には俺の生活スタイルがある。
そろそろモ〇バーガーも食べたいことだし、一度お暇させてもらおう。
「抜け出すんですか?」
「病原菌には感染していないことはもう確認済みなんだ。拘束される理由はないだろ。一度確認してダメなら抜け出すさ」
「密入国とか、こじつければ理由はいくらでもありそうですが」
「そういうことをする国とは断交だ。クローゼットの前にでっかい銅像でも置いてやるよ」
「また運命神が怒りそうなことを……」
運命神はそんなことでは怒らないさ。
銅像を強制撤去されるだけだ。
何度でも置いてやるけどな。
案の定俺の一度戻りたいという言葉は却下されてしまった。
理由は安全保障上の問題というよくわからないものだった。
俺のような化け物にうろうろされると日本国民に危険が及ぶとでも言いたいのか。
まあそのとおりだが。
「というわけでちょっと岐阜城行ってくる。何もなければ扉が開いている10分の間に戻ってくる」
「ドラゴンさんによろしくお伝えください」
「契約書に触れればいつでもよろしく伝えられるだろ」
「そうでしたね」
「それと、そろそろ名前でも付けてやったらどうだ」
「考えておきます」
「俺のワイバーンがノブナガだから、ヒデヨシかイエヤスがいいと思うぞ」
「ははは……」
笑ってごまかすんじゃない。
まあドラゴンの名前なんかどうでもいいけどな。
思いつかなければポチとかぺスとかにしておけ。
精霊魔法で光学迷彩を纏い、病院を抜け出す。
あまり単身で空を飛ぶのはスーパーマンみたいで好きではないが、走って移動するには日本は地上がごちゃごちゃしすぎている。
仕方がなく風を纏い、電線の上あたりを低空飛行して岐阜城を目指した。
途中モ〇バーガーに寄る。
「モ〇バーガーセットを20個」
「20個ですか。少々お時間がかかりますがよろしいでしょうか」
「大丈夫です」
アイテムボックスに大量のモ〇バーガーセットをストックしておこうと時間にはかなり余裕を持って出てきたので問題はない。
日野に借りた金で清算を済ませ、借りてきたライトノベルを読みながら時間を潰す。
自衛隊が異世界に行って現代兵器で無双する内容のもので、結構面白い。
なんだか今の状況と少し似ているような気がしてなかなかに参考になる。
だがおそらく自衛隊の兵器はあちらの世界の生き物に対してそこまで劇的な効果を発揮することはないだろうな。
レベルも魔力値も低い一般市民ならともかく、ある程度レベルを上げている戦闘職や高レベル帯の魔物に対しては大口径の銃も効かないんじゃないだろうか。
竜種には言わずもがな。
どれだけ威力があろうが普通の金属で作られた武器で竜種に傷を負わせるのは不可能だ。
自衛隊が物語の中のように無双するには地道にレベル上げをしてミスリルやオリハルコンなどの幻想金属で作られた武器を使うしかないだろう。
未知の金属による武器の研究開発だけで何年もかかりそうな話だな。
パタンとラノベを閉じると、ちょうど20個のモ〇バーガーセットができあがったようだ。
俺は良い匂いのする袋を両手に下げ、店を後にした。
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