【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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 村を2つ経由して、9日目の昼に2つ目の町、ローウィラーに到着した。此処で1日準備を整える。検問の列に並んで待つ間、中での過ごし方を話し合う。

「まずは宿屋かな」

「そうね。お風呂に行って買い物しましょ」

「パンを焼く鍋が欲しいわね」

 僕の提案にセーナが乗り、レイさんも提案を出す。毎回串パンでは串を拾うのも億劫なのだ。嵩張るのを覚悟してでもパン用の鍋は欲しい。セーナも僕もその提案に乗った。

「では、私達も倣いましょうか」

 僕達の予定を話していると正面から。

「「そのように」」「休まれないので?」

 左右の女性は真ん中の女性の案に乗るが、剣士は休む事を勧めた。慣れない旅に、見えない疲れは付き物だ。長くなればなる程ソレが見えるようになって来る。前の街では風呂は後にしたかったのを直ぐ入るように考えを改めたのも疲れ対策の一環だ。2泊出来れば風呂の後すぐに寝たいんだけど、長居してホリーさんを待たせる訳には行かないからね。貴族っぽい女性は我を張ろうとしたが、結局は折れて休む選択をした。2泊するからだ。

 ローウィラーの町に入り、まず向かうのは冒険者ギルドだ。僕とセーナには関係無いんだけど、冒険者は町に着くと所在確認しなきゃいけないそうで、受付にギルドカードを提出する義務がある。まあ冒険者だったら移動中に会敵して剥ぎ取りしてるだろうし、換金して情報交換して依頼を見てって出来るから苦にはならないのだろう。僕も覚えとこ。

 受付で事務作業したついでに宿屋を聞く。レイさんは即決でミドルクラスの宿を決めていた。

「みんな、売る物はあったかしら」

「私は無いわ」「僕も無いかな」

「あンた、ブフリムのお金貯めてたでしょ?洗ってもらいなさいな」

 お金を洗う。要するに臭くないお金と交換してもらうって事だが、ブフリムのお金の中には割れたりして使えない物や両替しないと使えない他国のお金。お金によく似た金属片なんてのが混じってて、財布を無駄に膨らませる事になる。僕は臭いお金を財布には入れず、全部鞄に放り込んでたから両替するのも良いかと考え買取りカウンターに向かう事に決めた。

「いらっしゃいませー。買取りですかー?」

「両替を頼むわ。ユカタ、出してあげて」

「はーい」

 僕は冒険者じゃ無いのでレイさんのお供と言う扱いだ。レイさんの指示に従い、カバンの中身を浅カゴに流し込み、売らない物を引っ込める。

「あら?そんなのいつ拾ったの?」

「どれ?」

「コレ、ペンダントトップね」

「多分夜戦の時のだろうね。見ないでカバンに流してたから」

「ちょっと見せてくれる?」「私も見たいわ」

 レイさんに続いてセーナも見たいって。女性はオシャレアクセが気になるのだろうね。

「カメオね」「誰かの持ち物かも知れないわ」

「別料金ですが、5,00ウーラで鑑定してお調べ出来ますよー?」

「どうするユカタ」

「銅貨5枚ならここにある分で足りるし、やってみても良いね」

「なら、そうしてちょうだい」

「承りましたー。先にお金から処理しますねー」

 お金もアイテムも同じ水晶玉で鑑定するのだけど、お金は斜面を滑らせて使用可能か見るだけだから素早く出来る。今回は全部使えるお金だったそうで、そこから銅貨5枚抜かれた総額を受け取った。11,39,71ウーラ也。

 アイテムの鑑定は滑らさず、しっかり置いて見ると言う。水晶玉に浮かんだ文字を、薄い板に書き写す。

「…ふんふん。コレ旧市街の遺跡品ですよー?ダンジョン潜ったんですかー?」

「いいえ。私達は移動中に出会したブフリムを倒しただけ。ソレの元の持ち主がダンジョンに潜っていたのかもね」

「まずは落とし主の有無を確認しますー。次に買取る場合高額になると思われますのでー、ギルドカードへの入金でお願いしますー」

 何だか面倒臭いな…。







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