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骨は、捻じる
しおりを挟む村の造成に役立たない僕の護衛に、エリザベス様とエヴィナが就いた。3人とも役立たずなのだが流石に失礼が過ぎるので言えない。それに三人三様で役はある。今はその時ではないだけなのだ。
拠点を南に、魔物の水源に向かう。水場に集まり水を飲む魔物が見える。ボア種と馬…馬?
「馬って魔物化するっけ?」
「草食の獣は稀ですが。しかし群れなす程は発生しないかと」
「捕まえて売っちまうか?」
今回の目的は魔石だから止めとこうって話になった。ではボア種はって話になったのだが、馬に気付かれて歩き去られてしまった。
「あーあ、行っちまった」
「ボアって魔物だよね?」
「そりゃあそうだが?」
「何で襲って来ないんだろ」
「不思議ですこと。水や食べ物に不自由ないからでしょうか」
雑食だからだろうね、って事で獲物の居なくなった水場を離れる。さらに南へ下って廃村跡を過ぎ、やっと好戦的な奴と会敵した。
「ブッフッ」「ブフッ」
ゴーラだ。2匹なら僕とエヴィナで大丈夫。エリザベス様には警戒を続けてもらい、一人一殺で戦闘を終えた。処理は後でやろう。
「進むと夕食に遅れますわね」
「また鍛冶屋にドヤされっぜ?」
ちゃんと使って汚れたならアルアインさんは怒らないよ。手入れを怠ったり足りなかった時だけだ。装備に着いた血をタオルで拭い、拠点に戻る。
「解体は明日にして、装備と洗濯物を出して体を洗ってらっしゃいね」
ほれ見ろ怒らなかったじゃないか。脱衣場で服を脱ぎながら隣に告げる。隣でははいはいそーだなーっと場を流そうとするエヴィナ。
「ンな事より早く入ろ……」
「早く入ろうか」
「…だな」
風呂飯寝る…で朝。眠いのを堪えて食事をし、解体を手伝うハキを伴い水場下の川へ来た。目的は魔石だが、ゴーラは肉も食べるので血抜きからやるつもりだ。
「まずは手足と首を落として肉に入ってる血を出せるだけ出すんだ。出す程肉が美味くなる。水に着けながら腹を割いて臟も出す。見ながらやってみれ」
「旦那様、骨が切れねえ」
「当たり前だ。ソコはな…」
知らない事を教えながら血と臟を抜き、肉を解体する。魔石は心臓の辺りに魔力臓器と言う器官があって、大体1つ入ってる。僕は魔石を取り出すと、捨てる部分をポーチにしまう。ハキは魔石を僕にくれると内臓をポーチにしまった。
「ゴミも僕が持つよ」
「ヤダよ。旦那様と一緒にいてえもん」
いじらしい事言いよる。昼飯の時間まで一緒に居てやった。解体して体と服を洗ってたらこの時間になっただけだがね。
「やったか?」
「…やった!」「やってない!」
下品な貴族の質問が、食事の時間を凍らせる。ハキも分かってなくて言ってるが、否定しないと僕は正座する羽目に遭う。即答で否定しエヴィナを睨む。
「食事の場だぞ?」「へいへーい」
「するなら避妊魔術を受けさせなさいね」
セーナ、食事の場だよ?
「何だぞれ?」
僕の心を他所に、皆が説明した結果、ハキは悲しそうな顔をした。
「俺、俺も旦那様の赤ちゃん、欲しいよ…」
「村が軌道に乗ったら皆で子を成しましょうね」
「お姉様…」
エリザベス様はハキにお姉様と呼ばせている。ライラは奥様呼びなのに、合わせないのはなぜだろう。末っ子だったからか?ちなみにハキは、他の女性は姉御と、ライラは姐さんと呼ぶ。何かの序列か?
水無川の縁まで壁を延ばし、一段落着いたと言うので町に行く事になった。まだ家の外は開放状態だが、野菜や消耗品の調達はしなきゃだし、魔道具の卸しもしたいと言うのであれば断る理由がない。朝食を食べたら支度して、出発となった。
やはり枯れた草薮の方が獲物が出る。夜襲は面倒だけど、魔石の調達は道中でやるのが良さそうだ。オーイまでの10日間で30個程の魔石が取れたが、コレでも前より少ない方だ。壁がない時の方が沢山来てたが、安全には替えられないのでジュンには頑張ってもらう。
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