【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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地域、平定

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 一番大きい集落に、その他4つの集落の者が全員集まっていた。何人か少なく感じるが、まあそう言う事だろう。

「あの後少ない所を狙われてね」

「追い払いはしたけどさ、殺られた年寄りもいて、さ」

 やはりそう言う事らしい。魔獣帯から離れていても魔物は結構いるのだ。

「で?コイツ等を受け入れんのか。旦那、どうする?」

「生きたいだけで村に来るなら死んでもらうよ。コッチだって無駄口に食べさせる程の余裕は無いからね」

 粉にすれば足りるし酒や糖蜜にしなけりゃ足りるのだが、それはここで言う事ではない。年寄り達と、村に来なかった女達と子供達に覚悟を問うた。もちろん幼児や子供に働かせるつもりはないが、その親達が甘い考えでは困るのだ。何もしないからって親子を追い出すのは気が引けるしね。

「体が言う事聞くまで、やらせてもらいやす」

「この子が大人になれるなら…いくらでも…」

 馬車に年寄りと子供を詰めて、他は歩いて村へと戻る。移動時間が伸びたおかげで3度魔物に襲われたが、卑怯な僕の敵ではなく、肉と素材になった。

「あンた…いや、領主様。強いんだね…」

「上手く戦ってるだけで本当は弱いんだ。命懸けなら負けないけどね」

「そー言うのを強ぇって言うんだ。腕っぷしだけあっても死ぬモンは死ぬ。道具があっても使えなきゃ戦えねえ。獲物を狩れて、生き残る奴が強ぇんだよ」

 エヴィナの声は獣人達の耳に響いたようで、移動中の愚痴を無くすのに十分な声量であった。

「旦那様、随分遅かったな。お前等も疲れたろ、風呂入って飯食って寝ろ」

 ハキから先輩風が吹いているが、新規獣民は素直に受け止め風呂へ案内される。疲れているのもあるが、皆大人なのだ。ここまで来て追い出されたら敵わんよな。

 翌日になり、年寄り達の仕事の割り振りが決まる。村内の見回りと子供達の見張りとなった。

「それでは仕事になっておりやせんぞ」「狩りの囮にでもされるやと思うておりやしたが」

「人がいるから囮は要らないし、子供達が危なそうな事するのを防ぐのは大事な仕事だ」

 事実、壁の上段で追い掛けっこする馬鹿はいて、女性達に尻を引っ叩かれている。内側なら4m、外に落ちれば8mだ。無事では済まないだろう。川もそうだ。風呂ではソロソロ歩きでも、川だと飛び込んだりしてる。浅い分油断が危険を呼びかねない。子供のためだと強調して説明すると年寄り達も納得した。

 新規獣民の女達は先入者から仕事を聞いて、それぞれ合ってそうな仕事に就いた。ほとんどが家事全般だが、一部が狩りや製造補佐、夜警のサンダの下に就く者もいた。

「サンダの姐さんが…」「あんなに愛されてるなんて…」「流石族長の」

「止めなっ。領主様はそんな事じゃあ愛してくれないよっ」

 彼女等は元々サンダの下にいた取り巻きなのだろうか?長い物に巻かれたいタイプなのかも知れない。担ぎ上げようとする取り巻きに睨みを利かせる。

「ウチ等がしっかり働いてるのを見て惚れて下さるからこそ、あんだけ尻尾を振っておくれなのさ」

「あ、アタイも頑張りやすっ」「アッシも尻尾振られてぇっす」「流石ご領主様っ」

 僕に尻尾は生えてないが、獣人的隠語なのだそうで凄い人は二本持ちって呼ばれるんだと。それよりも、夜更かしして夜警の監視をしなきゃならなくなった。

 近隣獣民が全て統合された事で、夜警の仕事が少しだけ増えた。矢の消費が増えたが矢の加工を年寄り達がやってくれたのは凄く助かる。畑の手伝いは不慣れだが、建築士の手伝いで運搬等をする者が現れた事でオッサン達が小綺麗になった。凄く凄く助かる。

「そろそろまた来ないかしら」

「誰が?」

 昼下がり、仕事終わりのセーナに返すが、ここに来るのは魔物か獣人か竜騎士くらいだ。先の2つは違うだろうが、やはり答えはそうだった。

「竜騎士よ」

私もわたくし用立て物があるわ」

 義母様も何か頼んでいるようだ。まあその内来るだろう。









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