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犯すの?
しおりを挟むスケイルの実を背負いカバンに七割方詰め込んだ辺りで取れる実がなくなってしまった。残っているのは蕾と花。そしてまだ取るに至らない若い実。
暫く経ったらまた来よう。
一杯になった瓶と管を回収して思案する。
帰るにはまだ早い。腹減った。風呂入って寝たい。新しい下着欲しい。もう少し稼ぎたい。
思案は終わらず、山と並行してクリープしながら歩いてく。
低木の茂みが広がっているので何かしらあるかも知れん。安くても金になるなら回収して帰ろう。
胸下辺りの高さの低木が茂ってる。木の実も付いてないし、これはハズレかな?
(障害物や悪意ある行動を避けながら売れる物の場所に移動)
ハズレかと思いきや、何かあるようで体が引っ張られる。引き寄せられる方向に進んで行くとぽっかり空いた隙間に人が倒れてた。
(人は売る訳にゃいかんだろ…)
多分、持ち物などが売れるとの扱いなのだろうが、寝息立ててるし泥棒はダメだ。
「こんな所で寝てるとブフリムに食べられるぞ」
「う…」
「盗賊に捕まって犯されちゃうぞー」
「ん~…」
「…ご飯だよー」
こいつ、腹ぺ娘か。がばりと起き出しキョロキョロしだし、こちらを確認すると…
「犯すの?」
「そこはご飯?だろ」
「くれるの?」
「動けない程ならな」
「動けない!」
元気な行き倒れだ。スケイルの実を二つくれてやると、皮ごと齧り付いた。
「もっと…」
「上目遣いでお強請りしてもダメだぞ。今の二つで街に行けば四回は満腹になれる」
「マジで?」
「街に行くなら連れてってやる。後はギルドと相談だがな」
「私、売られちゃう?」
「売るならギルドでなく奴隷商だろ?奴隷なんて見た事ないけどな」
「ご飯くれるなら付いてく」
汚れた少女を手に入れた。買い取りしてくれたら良いな。二人で茂みを後にする。
「街って、何処?」
「あの山二つ越えた所だよ。お前は何処から来た?」
「多分、反対側。ずっと荒野だった」
「一人でか?」
「逃げて来たの」
「命があって良かったな」
山道は普通に歩くとかなり険しい。俺はギフトで楽して移動して来たが、汚れた少女は歩きなので辛そうだ。後ろから押して参る。
「結構楽。貴方は疲れないの?」
「スキルで楽してんだよ。いーだろ?」
「いーなー」
「もう少し行ったら楽させてやる」
「下りだから?」
「それもある」
昼少し前くらいか、山の尾根に辿り着く。俺達以外の人が見てないのをギフトで確認した。やっと楽できる。
「肩車とお姫様抱っこ、どっちが良い?」
「どう違うの?」
「お姫様抱っこは腕が疲れる」
「じゃあ肩車で」
しゃがんだ俺の後ろから、背負いカバンに尻を、肩に太ももを乗せて座らせる。フード越しの太ももが柔らかい。
「しっかり掴まってないと死ぬぞ」
「わかった」
ホバー移動で斜面を滑り降りて行った。登りは降ろそうかと思ったが、人気も無いし面倒なのでそのまま森の出口付近まで移動してしまった。名残惜しそうなのを降りて貰ったが、もう少しで街だ。
門の前ではたと気付く。
「お前、身分証あるか?」
「無くは無い。けど…」
「銀貨三枚、貸しにしとくぞ」
「神の御加護を!」
嫌われてると思うぞ俺。
門兵に銀貨を渡し水晶球をタッチさせて無事入門。ギルドは反対側なので歩いてく。
「先ずはギルドに行くぞ。お前の冒険者登録しておけば街に入るのがタダになるしな」
「ご飯…」
「カバンの中身を売ったらな」
露天街の良い匂いにじゅるりする汚れた少女を連行しギルドに到着。空いてるので登録美人に直行する。
「こんにち…誰ですその娘?」
目が怖い。
「採取先で行き倒れてたのを拾って来た」
「拾われました」
「…そう…ですか…」
「この娘の事はまだ何にも聞いてないんだ、名前すらな。訳ありだろうから話を聞いてやって欲しい。後、冒険者登録もしてやってくれ」
「……わかりました。では別室にてお話を伺わせて頂きます。お二人共、よろしいですね?」
目力が凄くて回避出来ない。俺達は美人に連行された。
個室に通されソファに座る。美人は対面、俺達二人は横並び。
「で、こちらの方は?」
「私はイゼッタ。イゼッタ・シンプロン・ナーバーグ」
名前長いな。こっち見てる。俺も名乗るのか?
「俺はカケルだぞ」
「イゼッタと呼んで」
「ではナーバーグ嬢、貴方はなぜこの街にいらしたのですか?」
「逃げて来たの。多分内戦、だと思う」
聞く所に拠ると、突然兵隊がやって来て街や家を攻撃してして来たのだそうだ。で、家の人に逃げろと言われて地下水道から逃げて来て、飲まず食わずで数日移動しあの茂みで力尽きたと。
更に詳しく話をしたいと明日またギルドに呼ばれる事になりひとまず解放された。
買い取りして飯風呂せねば。
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