女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
19 / 1,519

犯すの?

しおりを挟む


 スケイルの実を背負いカバンに七割方詰め込んだ辺りで取れる実がなくなってしまった。残っているのは蕾と花。そしてまだ取るに至らない若い実。
暫く経ったらまた来よう。

 一杯になった瓶と管を回収して思案する。
帰るにはまだ早い。腹減った。風呂入って寝たい。新しい下着欲しい。もう少し稼ぎたい。
思案は終わらず、山と並行してクリープしながら歩いてく。
低木の茂みが広がっているので何かしらあるかも知れん。安くても金になるなら回収して帰ろう。

胸下辺りの高さの低木が茂ってる。木の実も付いてないし、これはハズレかな?

(障害物や悪意ある行動を避けながら売れる物の場所に移動)

ハズレかと思いきや、何かあるようで体が引っ張られる。引き寄せられる方向に進んで行くとぽっかり空いた隙間に人が倒れてた。

(人は売る訳にゃいかんだろ…)

多分、持ち物などが売れるとの扱いなのだろうが、寝息立ててるし泥棒はダメだ。

「こんな所で寝てるとブフリムに食べられるぞ」

「う…」

「盗賊に捕まって犯されちゃうぞー」

「ん~…」

「…ご飯だよー」

こいつ、腹ぺ娘か。がばりと起き出しキョロキョロしだし、こちらを確認すると…

「犯すの?」

「そこはご飯?だろ」

「くれるの?」

「動けない程ならな」

「動けない!」

元気な行き倒れだ。スケイルの実を二つくれてやると、皮ごと齧り付いた。

「もっと…」

「上目遣いでお強請りしてもダメだぞ。今の二つで街に行けば四回は満腹になれる」

「マジで?」

「街に行くなら連れてってやる。後はギルドと相談だがな」

「私、売られちゃう?」

「売るならギルドでなく奴隷商だろ?奴隷なんて見た事ないけどな」

「ご飯くれるなら付いてく」

汚れた少女を手に入れた。買い取りしてくれたら良いな。二人で茂みを後にする。

「街って、何処?」

「あの山二つ越えた所だよ。お前は何処から来た?」

「多分、反対側。ずっと荒野だった」

「一人でか?」

「逃げて来たの」

「命があって良かったな」


 山道は普通に歩くとかなり険しい。俺はギフトで楽して移動して来たが、汚れた少女は歩きなので辛そうだ。後ろから押して参る。

「結構楽。貴方は疲れないの?」

「スキルで楽してんだよ。いーだろ?」

「いーなー」

「もう少し行ったら楽させてやる」

「下りだから?」

「それもある」

昼少し前くらいか、山の尾根に辿り着く。俺達以外の人が見てないのをギフトで確認した。やっと楽できる。

「肩車とお姫様抱っこ、どっちが良い?」

「どう違うの?」

「お姫様抱っこは腕が疲れる」

「じゃあ肩車で」

しゃがんだ俺の後ろから、背負いカバンに尻を、肩に太ももを乗せて座らせる。フード越しの太ももが柔らかい。

「しっかり掴まってないと死ぬぞ」

「わかった」

ホバー移動で斜面を滑り降りて行った。登りは降ろそうかと思ったが、人気も無いし面倒なのでそのまま森の出口付近まで移動してしまった。名残惜しそうなのを降りて貰ったが、もう少しで街だ。

 門の前ではたと気付く。

「お前、身分証あるか?」

「無くは無い。けど…」

「銀貨三枚、貸しにしとくぞ」

「神の御加護を!」

嫌われてると思うぞ俺。
門兵に銀貨を渡し水晶球をタッチさせて無事入門。ギルドは反対側なので歩いてく。

「先ずはギルドに行くぞ。お前の冒険者登録しておけば街に入るのがタダになるしな」

「ご飯…」

「カバンの中身を売ったらな」

露天街の良い匂いにじゅるりする汚れた少女を連行しギルドに到着。空いてるので登録美人に直行する。

「こんにち…誰ですその娘?」

目が怖い。

「採取先で行き倒れてたのを拾って来た」

「拾われました」

「…そう…ですか…」

「この娘の事はまだ何にも聞いてないんだ、名前すらな。訳ありだろうから話を聞いてやって欲しい。後、冒険者登録もしてやってくれ」

「……わかりました。では別室にてお話を伺わせて頂きます。お二人共、よろしいですね?」

目力が凄くて回避出来ない。俺達は美人に連行された。

 個室に通されソファに座る。美人は対面、俺達二人は横並び。

「で、こちらの方は?」

「私はイゼッタ。イゼッタ・シンプロン・ナーバーグ」

名前長いな。こっち見てる。俺も名乗るのか?

「俺はカケルだぞ」

「イゼッタと呼んで」

「ではナーバーグ嬢、貴方はなぜこの街にいらしたのですか?」

「逃げて来たの。多分内戦、だと思う」

聞く所に拠ると、突然兵隊がやって来て街や家を攻撃してして来たのだそうだ。で、家の人に逃げろと言われて地下水道から逃げて来て、飲まず食わずで数日移動しあの茂みで力尽きたと。

更に詳しく話をしたいと明日またギルドに呼ばれる事になりひとまず解放された。
買い取りして飯風呂せねば。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...