女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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俺の能力

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 飯を食って回復したのか、イゼッタの歩みは早い。レベル的な上昇もあるのだろうか。

「何処に向かってるの?」

「取り敢えずは森に入る」

「それから?」

「俺の能力を少しだけ見せてやるよ。喋ったらさよならだ」

「墓場まで持ってく」

「それが良い」

畑ゾーンの出口から柵沿いに薮へ。草原に行くよりこっちの方が早いし心癒すタマゲルがいる。
柵を齧るタマゲルをそっと降ろして移動する。

「これは倒さないの?」

「作物を荒らすが人の役にも立つ。素材も安い」

あと可愛い。
薮の中に居るな。匂いで分かる。臭い!

「あの臭いのを殺してみろ」

「え?何処?」

「臭い辺りだ」

杖なしの魔法は威力が弱まるだの消費が激しいだの言っているが、要は殺せない言い訳だ。犯されて苗床にされたく無ければ殺るしかない。

渋々魔法を唱えると、手にモヤモヤが溜まっていく。

「エアロ!」

風の魔法だな。ゲームで見た事ある。鎌鼬のような見えない風が音を立てて薮に放たれると薮の草木と共にブフリムの血が舞い上がる。
相手が見えないからこそヤれたのだろうな。緑色の血を見て驚いてる。

「やったか?」

近くに寄って確認する。ちゃんと殺れてた。

「見てみろお前が殺したんだ」

小刻みに震え立ち尽くすイゼッタ。だが慣れてもらわねば困る。そのうち人も相手にしなきゃならない時も来るだろう。勿論俺にとっても。臭い袋を奪い取り、震える子鹿に投げて渡す。

「くっ、臭い…」

「中身を見てみろ。それがお前の報酬だ」

鉄貨や銅貨がチャリッと入ってる筈だ。

「銀貨以上が入ってたら当たりだ」

「無かった…です…」

「残念だったな、では行こうか」

この辺りに居るのはこの一匹だけだったようだ。せめてナイフを拾っておきたかったな。ズンズン進み森の中へ…。


 ギフトで人の居ないのを確認した。これで飛べる。

「肩車するぞ」

「今?」

「俺の能力を見せると言ったろ」

谷を降りる時と同じく太股に挟まれる。

「大声を出すなよ?あと落ちるな。死ぬぞ」

「はっはい!」

(回避行動。加速上昇。高度五百メートル。隣の大陸まで移動後停滞)

森の木々を躱しつつ、速度を上げて上昇して行く。太股の主は必死に叫びたいのを我慢している模様。努力が強く、柔らかで暖かい。
イゼッタにとっては初めての飛行なので速度は落とし気味。時間を食うのは嫌なんだが慣れるまでは仕方ない。

目標高度に達し左にGが掛かると体を進行方向へ向け、少しだけ前傾姿勢を取る。

「もう喋っても良いぞ」

「は、はい…。凄いです」

「これから別の大陸に向かう。そう易々とは追って来れまい?」

「そうですね。凄いです」

「ちなみに今から行く方向の大陸は判るか?」

「近い所から、ヒズラー大陸、ウラシュ島、キネイアッセン大陸。今まで居たのはメルタル大陸」

「アルバイン地方って判るか?」

「キネイアッセン大陸だったかと」

「ならそこは避けよう。敵がヤバくて死にかけた」

「な、何が居たの?」

「青黒い1つ目の巨人に石を投げつけられた」

「多分、デッドサーチャー」

かっこいい名前だなおい。

「戦って勝てると思うか?」

「絶対嫌!」

だろうな。俺もだ。

「取り敢えずウラシュ島まで行ってみるか?」

「うん!あ」

「あ?」

「多分あそこ、戦争…してるかも?」

「ダメじゃん」

「学校で習った。ヒズラーとキネイアッセンが盗り合ってる」

「ヒズラーしか無い、か」

「キネイアッセンの先にノースバー大陸ある。けど寒い」

「寒いのは嫌だな」

「同意」

選択肢がないのでヒズラー大陸に向かう。出来るだけウラシュ島から遠い位置に。


 客を乗せてるので早い移動がし難い。ちょっと早足の台風程度の速さで移動してるので中々目的地に辿り着かん。
腹も減ったし、トイレ行きたいとか言い出すし、海沿いの孤島を見つけてそこまで我慢して貰う事にした。

「ううーっトイレトイレ」

「残念ながらトイレは無いぞ?大きさから見て無人島っぽいしな」

「一緒にしよ?」

「男は連れションしない物だ。見張っててやるから木の蔭でしてらっしゃい」

「覗く?」

「後でな」

(敵意ある存在が近くに来たらその存在に向かってほんの少し移動)

この指示のおかげで敵意を感知出来る。とても役立つ指示だ。
クリープで浮きながら倒木に腰掛け、買って来た昼飯を頬張る。ちゃんと肉増しになってた。

「ずるい!私も!」

水魔法で手をバチャバチャしながら駆け寄って来るイゼッタであった。
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