女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
53 / 1,519

指電ノコの威力

しおりを挟む


 サミイの家で一泊した俺達はゆっくり森の中を歩いていた。
勿論サミイは置いて来た。あの子が居ないと行商や買い付けに行けないからな。それに四人で住むにはあの家は狭い。あの家は三人用なのだ。

本当はササッと飛んで帰りたいのにイゼッタは安静にしろと言う。歩いて帰るのはともかくとして、島に渡るのどうすんだよ…。まぁその時はその時だ。
出て来たゴーラとブフリムを二人が軽く屠る。俺は出番無し。肩掛けカバンを左肩から掛けてるだけ。荷物持ちにもならん役立たずがここに居た。

「ナイフもう要らない」

「捨てて行くとモンスターが拾ってしまいます」

「ぐぬぬ…」

イゼッタが臭い袋の中身を俺のカバンにチャリチャリっと仕舞う。何度目かはもう忘れた。それ程に多いのだ。
初心者向けのモンスターであり、且つ、初心者キラーのコイツらは、数が多くなる程に初心者では対応出来なくなり、報酬が不味いせいで狩られなくなり数が増えるの悪循環である。ちょっと強くて味の良いゴーラは大体ブフリムとセットなので狩りを難しくしている。数を増やして力を得て、ウィンウィンの関係だな。

 夕方を過ぎ、星が出て、そろそろ湖に着く頃だ。
暗くなると野獣の活動時間だ。犬っぽいのが囲んで来るが俺達には近付けない。関わってはいけない相手だと野生の勘で判るのだろう。特にメスの方。おかげで少しだけ安全だ。犬っぽいのはヒトを諦めブフリム食い出してるし。
森の中に輝く場所がある。星灯を照り返す湖の光だ。

「やっと着いた」

「久しぶりに冒険者らしい事をした気がします」

「また冒険者やるか?」

「性奴隷は天職です」

イゼッタがパパッと丸太を切り出し、テイカと二人で筏を作り出した。俺は護衛でもしていよう。

「そこでじっとしてて」

…じっとしてた。
暇潰しに小石を軽くスローして骨の様子を確認する。だいぶ良さそうだ。リハビリがてら肩を回して出来上がるのを待った。

 島に着いて、家に入って、干し肉齧って、ベッドに潜り込む。
三人共朝まで起きなかった。
翌日は、干し肉齧って寝て過ごし、更に夜が明けた。

「よく寝た」

「寝過ぎだな。体がだるい」

「体を解して水浴びでもしましょうか」

「賛成」

畑の傍で水浴びし、血止め草のチェック。萎れず新芽も出てるので移植は成功だな。イゼッタは喜び勇んで葉っぱをもぎってトイレへ駆けて行った。
俺はタマゲルに餌をやろう。心做しか元気が無いように見えるし蟹が減ってる。餌を食い尽くして出て行ったのだな。餌と一緒にその辺の雑草も投げておく。ひもじい思いをさせてゴメンな。

 岩を割りに行くと言うとイゼッタが着いて来た。回復してくれるのかと思ったら、自分で切りたい欲が出たらしい。
結果は、以前より遥かに速い速度で岩を切り落とした。伸びる指電ノコの威力が凄まじい。イゼッタに拠ると、小さな風の刃を、指から前に伸びて行く力と高速回転で削り切る。との事。ほんとワイヤーソーだわ。
調子良さげに三枚切って岩を使い果たした。左肩で担いで三往復。これで五枚、新しい岩を探さねば。

昼飯食ったら岩を探しに行く。ついでに食肉狩り。
肉は対岸に渡ると沢山居るのですぐ取れた。大きい岩は家の近くでは見付からず、島の反対側で見付かった。三角に尖っているので下の方は地面に埋まってそうだな。イゼッタに報告して明日にでも切ってもらおう。

夕飯は焼肉とあって二人のテンションが高い。夜のテンションも高い。一杯食べて精力付けなきゃ。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...