女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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パン食い競走

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 今日は一人で湖の周辺を見回りしている。
一昨日の被災地から更に範囲を広げて何か無いかと探しているのだ。

この湖がある森は、昨日サミイが持って来た地図を見る限り街からはだいぶ遠い。そしてモンスターや野獣は冒険者的には不味い部類に入る。門から五分も歩けば同じのが居るからだ。
なのに何故人が居たのか?野盗共はまだ理解できる。が、女二人は?野盗に捕まった感じは無かったし、何より、ギフトは女二人の冒険者を敵として認識した。

テイカの時もそうだったが、冒険者って悪事に手を染める事に抵抗ないのか?それとも仕事が無くて仕方なく?
否、悪事と気付いてない可能性もある。他の街に入る時、門で水晶玉に触れる事があると言うのに危険な橋を渡る奴が居るのか?居ると言えば居る。だが多くはない筈だ。

ギルドなどに依頼されてる可能性…。ありそうで嫌だな。

 水流の流れた端まで探索を終えたが、人の死体は古い白骨のみで鮮度のあるのは無かった。野獣やモンスターの死骸は殆ど生き残った野獣達に食べられていて、残り物の骨と皮が蟹山に埋もれていた。お掃除ご苦労様です。
蟹が食べない金になりそうな落とし物と、俺達が食べる木の実を採取して島に戻ろうとした時、近くに人が居る反応があった。

(一人なら右へ、二人以上なら左へ)

左に押される。

(二人なら右へ、三人以上なら左へ)

また右。

(男が一人なら右へ、二人なら左へ、居なければ前へ)

左に押された。嫁が増えなくて良かった。

(二人で俺より弱ければ右へ、強ければ左へ)

右。よしよし。ん?弱いのにこんな所に来れるのか?ブフリム十匹ゴーラ五匹とか群れなして歩いてる場所なのに。
今も俺の周りにそのくらいの数が群れてるのに。

(俺に敵意があるなら右へ、無いなら左へ)

右か。ならMPKしちゃおう。
モンスターをたっぷり集めて囲んでボコらせた。
死んでない程度に弱った所で一人を掴んで木の上に引っ掛ける。

「お前、何しに来たの?」

「たっ、助けて…」

「言わないとああなるぞ?」

下ではパーティーの真っ最中で、クチャラー共が生肉奪い合ってる。

「ひっ!!」

「早くぅ~。俺らに悪さする為に来たんでしょ~?」

首根っこ捕まえて木の上から降ろしてやるとパリピが足を切り付ける。

「やめっ!話す!頼む!」

「話したら上げてやる」

「ギルドの依頼だ!カケルの居場所を探せば金が入る!」

「はいはい嘘乙。まぁギルドの依頼なのは予想してたがな。お前らが俺に敵意向けてんのバレてんだよ」

男の股間に群がりパン食い競走の始まりだ。

「ぎゃぁぁ!死にたくない!!殺せば金目の物が手に入るとっうぎゃーっ!」

パンが手元から引きずり降ろされてしまった。もう話は聞けないな、残念。島に帰った。

「おかえりなさい。ここまで悲鳴が聞こえてましたよ」

「干し肉焼けてる」

昼飯に間に合って良かったぜ。摘んで来た木の実と焼きたてソーサーも美味しく頂けた。

「んで、何があったの?」

「ギルドが俺らの居場所を探しているんだと」

「殺しの依頼じゃないんですね」

「殺す気はあったみたいだけど聞き出す前に食べられちゃった」

「しかたない」

「聞かれなかったので言いませんでしたが、言った方が良いですか?」

「耳が痛そうだな」

「はい。後でさすってあげますね。あの時のカケル様達は…、今もですがランクも低く無名の新参者だった訳です」

「そんな俺らがアホみたいに金を稼いだ。ギルドから金を巻き上げた」

「馬鹿のせい」

「おかげであたしはカケル様に拾われました。ギルドにはある意味感謝です。とは言え」

「それは俺も感謝だ。しかしこっちはちゃんと物を売ってんだからなー」

「自己中」

「そうですね。有無を言わさぬ程ランクを上げるのが良いと思いますが…」

「折角家も出来たのに引越しするの面倒だなー」

「サミイどーする?」

「移動が大変ですね。遅くはなりますが荷車とホルストを用意しなくてはいけませんね」

「ホルスト?」

作曲家か?

「荷車を牽く獣です」

あの馬っぽいのも大層偉そうな名前付いてたんだな。

「移動用の箱でも作るか」

「善は急げ」

「まだ慌てるような時間じゃないが、板と角材の用意はしておいてくれ」

午後はイゼッタを連れて太い木をチョイスして伐採し、夜は移動用の箱の設計に思考を巡らせた。

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