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ナイフ片手にご満悦な女子
しおりを挟む「お前ぇはまた面白ぇモン思いついたな」
俺は今、武器屋の親父に板バネを注文している。女子二人はお買い物。
板バネと言ってもただの板なら親父は感心しない。カッコを閉じた感じのデカい板バネは貴族や豪商が使っているのだ。俺の注文した板バネは比例曲線の如くV字に曲がっている。V字の片方はサイドに釘穴用の乳を付けてて貰う。これを四つ頼んだ。
「曲がるが戻り、折れない金属…」
唸りながらも二日でやると言う。板バネに打つ太めの釘も注文した。
女子二人のナイフを受け取り店を後にした。
が、やる事ない。
露店街をフラフラしながらスリを華麗にスルーしていると、皆手にキラキラしたのを持ってるのに気付く。わー、殺しに来てるなー。
間違って関係無い人を刺したら大変だし、少し揶揄ってやるか。左右から来るように誘導し、差し込まれる瞬間スッと後ろに回り込んでトンッとするとグサッと相討ち、二人はギャー。丸く人が捌けていく中、勿論俺もそっち側へ。なんぞなんぞと寄って来るマッチョ達。馬鹿・空間・マッチョ・一般の模様が出来上がる。
飯屋もあるし、先に一人で食べちゃおう。目の前の飯屋にそっと入った。
「いらっしゃいませ!お好きな席にどうぞー」
笑顔が可愛い看板幼女に誘われる。この流れ、理解した。
「イゼッタテイカ、何処に居る?」
ボックス席からニョキっとイゼッタが、横からススっとテイカが生えた。
「カケル?ここー」
「カケル様、よく此処と判りましたね」
「愛だよ、愛」
イゼッタの隣に失礼して昼食を楽しんだ。
「カケル様、先程外が騒がしく感じましたが、何かありましたか?」
「ああ、馬鹿が刃物で相討ちになってたようだ」
「平和が一番」
「二人は何も無かったか?」
「ナンパされた」
「良し、殺そう!」
スッと立ち上がる。
「問題ありません。既に警備に突き出してあります」
「命拾いしたな」
スッと席に着く。
「心配?」
「可愛い妻達だからな」
イチャコラしていると、テイカの目がスッとキツくなる。
同時にガチャガチャと騒がしい音が店内の雰囲気をぶち壊した。
「おい貴様、さっき店の前での騒ぎの時居ただろ?話を聞くから詰所まで来い」
「お前達は騒ぎがあったの気付いたか?」
「全然」
「だそうだぞ?」
「女共には聞いてない!貴様だ貴様」
「俺か?何で俺がその騒ぎの中に居たと思ったんだ?」
「そんなおかしな格好して居れば誰でも気付くわ!」
おかしな格好?皮のマントっておかしいのかな?
「なあテイカよ、俺の格好おかしいか?」
「特には。マントやローブは冒険者なら身に付けますし、詭弁ですね」
「女ぁ!」
「あ!そうそう、二人に特注の品が出来上がったので渡しておくわ」
二人に特注ナイフをこれ見よがしに渡してやる。この街の武器屋は全て親父の弟子だ。そして武器に銘を彫っているのは親父だけ。ナイフを見詰めうっとりしてるテイカの獲物に、男共は冷や汗を垂らす。
「折角だから試し斬り、してみるか?」
「うふ、うふふ…。それも良いですね」
陽に当たる刃に照らされる笑顔が怖い。
「私も」
鞘からナイフを引き抜いてキラキラさせてる。
イゼッタよ、お前のは純粋に料理用だ。
ナイフ片手にご満悦な女子二人に大の男が及び腰。捨て台詞を吐いて帰って行った。
「買い物が終わったらゴーラでも狩るか」
「買い物より試し斬り」
だからイゼッタのは料理用だってば。
「イゼッタ様に同意します」
無理に買い物する用も無かったし、すんなり街を出て行った。
南の森で雑魚を狩る。ブフリム、ゴーラ、ブフリム、ブフリム。
ナイフと小銭が貯まってく。人の気配も増えて行く。敵意を持って集まって、見えない範囲で群れていく。
「イゼッタ、あの方向の木、一撃で全部切れるか?」
「杖がある。余裕」
背中からの余裕の声に、発射の合図を躊躇わない。
「いつでも」
「て!」
幅五十ハーンもあるでっかい輪っかが膝の高さで飛んで行く。凄い速さでスパパパパーって。
真っ直ぐ切れた木々は動かない。暫くしたら切れた人々も動かなくなっていった。ギャーギャー喚いてたのも静かになった。
さあ、帰ろう。
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