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濡れ鼠
しおりを挟む食休みの後、椅子からクッションを取り外し荷台に敷いて、いよいよ進水テストだ。
女子二人は左右の船に、俺は船を繋ぐ柱に座る。
先ずは俺のギフトだけでやってみる。
「行くぞ」
(前方に向かって逃げる)
体がフロントに押し付けられて行く。手だけだったのが、頭、胸と押し付けられるが動かない。何でだ?
外から回ってチェックする。見た目異常無し。
後ろから押してみる。押せるし進む。
持ち上げてみる。後輪だけ上がったが持ち辛いので辞めた。
荷車に乗り直し、今度は指示を変えてみる。
(荷車ごと一ドン上昇して逃げてクリープ)
浮いた気がする?女子二人も動揺してるし浮いているのか?
リアの出入口から後輪を空転させてみると、回った。浮いてる!
「浮いた!」
「おめでとうございます。カケル様、よろしいでしょうか?」
「どうした?」
「体を押さえつけられてる感覚があります」
「動けるか?」
「はい、何とか…」
立ち上がり、また座る。
少し荷車を動かすと、女子二人は後部にズレていた。人やフェルトは移動してない事に気付く。一旦地面に降ろすと、二人ともほっとしてた。
以前検証した時はこんな事やれなかったから新発見だ。俺が触っている物はギフトの影響を受ける。触っていない物は受けない。当たり前だが奥深い。もしかしてこれ、星にまで影響与えたりして?流石にそれは無いか。と言うか怖くて検証出来ないな。
間接的に触れている物を指示したら効果あるだろうか?
(荷車を中身ごと地面から一ドン上昇し、クリープで逃げる)
何となく浮遊感。いけたか?
「どうだ?」
「先程の感覚が無くなりました」
ゆっくり進ませる…。
「違和感は?」
「ありません」
そのまま湖に突っ込ませた。音も無く地上を滑り、静かに入水、そして、沈んでった。
「ヤバい!指示ミスった!」
(水面まで移動してクリープ!)
荷車は水風呂になり、俺達は濡れ鼠。
「ぷふっ」
「笑ったな?」
「ごめん…なさい」
「良い。イゼッタはやっぱり笑顔の方が可愛いぞ」
「カケルにも、笑ってて欲しい」
「出来るだけそうする」
「良かったですね、イゼッタ様」
イゼッタの水と風魔法で水風呂を空にして、ギフトを解除すると、ドプンと水面に着水した。
水漏れしてるかどうかはまだ分からないので暫くクルージングを楽しむ。
直進はスムーズだが、横への移動はディスクホイールが狙い通り抵抗を受けるので、旋回して曲がる。梶があれば尚良しだが、無理はすまい。
次はイゼッタの魔法で航行してもらう。
俺の前に座ったイゼッタは追い風を作り出し船を押した。
イゼッタの風魔法は威力の割に力が無い。
帆でもあれば変わるだろうな。
ぐぬぐぬ言いながら風を操るイゼッタにそっと寄り添うテイカ。するとどうだろう?急に動きが良くなった。
特に旋回がスムーズで急旋回もドリフトでギューンって。
あれ?ディスクホイールの効果出てないな?
「テイカよ、何を吹き込んだ?」
「いろんな魔法を使うよう薦めただけですよ」
風でないなら水か。湖から水流が発生して船体を押し、推進力を生み出している。旋回は車輪に空気の泡を纏わせ抵抗を弱めているようだ。水の中でハイドロプレーニング現象させるとは流石だな。
しかしこれ、家飛ばせるんじゃね?土台が根張りしてるから地面を切り離してから飛ばさなきゃならんけど。ただ、俺が離れると効果を失うだろうから、天空の城は無理そうだ。
コイツに関しては、水上機としては合格だ。水漏れの確認をして、島に戻ってチェックとメンテナンスしたら陸でのテストをしよう。
イゼッタを後ろから抱き締めて陸を目指した。
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