女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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甘い食べ物

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 《今一番甘い食べ物》と指示して飛んでいるが、島を飛び越え大陸に入ってしまった。
島には無い木の実でもあるのだろうか?
森の中にある小高い岩山の上空で下降を始める。パッと見木の実も草も見えない。これ嫌な予感がする奴だ。
岩の隙間に黒い染み。中にも外にもブンブンブン。蜂と言うより、羽の生えた鋏の無い蠍が無数に飛んでいる。
尻尾が尖ってるし、刺されたら大変だなこりゃ。
五ドン程の黄色い蠍蜂が一匹此方に飛んで来た。此奴は多分斥候だ。間合いを保ってゆっくり逃げて、何とかお帰り頂いた。
こりゃ無理だよ。戦うのは多分問題無いが、巣の中に入ったら逃げ場が無くて負けると思う。
刺されて腫れる程度なら良いが、即死レベルの毒だったりしたら洒落にならん。

《蜂蜜以外の甘い食べ物》と指示を変えて飛んだら普通に糖の実成ってたよ。
成ってる実をありったけカバンに詰めて、植樹用に枝も数本貰って飛んで帰った。

「カケル、どこ行ってた」

イゼッタさんがプンスコしてらっしゃるので糖の実を献上して怒りを収めて貰う。
糖の実は王女達も知っていて、大層お喜びになられた。
露店のおまけで貰った壺では足りなそうだと言う事で、イゼッタが木をくり抜いて蜜樽を作ってくれた。
くり抜いた後に僅かに成長させて、内側に皮を発生させると漏れなくなるのだそうだ。よくそんな事知ってたもんだと感心したが、水でやって漏れまくったのだと。
失敗は成長の母である。

夕飯は肉と魚の燻製の炙りとソーサー。鍋は糖の実を煮てるので仕方無いね。
干し肉の燻製は歯応え増し増しになっているが味も増し増しになっていた。美味いんだが顎が疲れる。ナイフで削いでちょっとずつ食べるのが良さそうだ。

勝手に干し肉の燻製を作ってたので今一度窘めとく。燻製作りは燻製器の換気をしっかりしてから取り込まないと本当に死んじゃうぞ?
蜂蜜と言い燻製と言い、命を懸けてまで得る物じゃない。
蜂蜜と聞いてスイーツ女子共がザワつくが、採る手段がないので諦めてもらった。
皆殺しにして得ようとする程、彼女らも鬼では無い。
因みに貴族社会でも蜂蜜は超貴重で、基本は上の貴族への贈答用。王家に集まるかと思いきや、最終的には宗教関連と魔法関連に集められるそうな。
そう言う人達に取っては命懸けになるのかも知れんな。

「カケル様の魚釣りも命懸けですね」

「懸けるつもりは全く無いのだがな」

魚の動きを避けられない理由は、俺の反応速度が遅い訳では決して無い。
彼奴らには敵意が無い。唯々捕食の為、ある意味何も考えず口に入れてしまうのだ。丸太の釣り針も吐き出さなかったしな。
敵意に反応して逃げる指示を出しても無意味なのである。
蠍蜂の斥候も然り。警戒心のみで近寄って来てたので魚と同じ指示だったらハグされて、避ける隙を無くされた上でプチコーンやられてたかも知れない。

明日は街に行って鍋釜を補充しよう。大量に余ったもじゃりも処分したいしな。

「あのもじゃり、売れると思うか?」

「手間の割には安いかと思います」

「逆に、原料の方が買い手が付きそうではありますね。良くない目的にしか使われないと思われますが」

「わかるー」

  「男性不能の治療くらいでしょうか」
「理性が飛ぶからそれもちょっと。私は好きだが」

サミイにくれてやって寝具屋の儲けにしてやるか。義理の弟か妹も増える事だし。

飯の後は風呂に入って、完成したベッドで激しい使用テストを行った。柔らかいフェルトだが一晩ではへたりも無く充分な反発を得られた。
広いのに固まって寝るのはちょっと暑いです。





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