143 / 1,519
避妊魔法
しおりを挟むギルドから出た俺達は一旦アズとシトンと別れて行動する。二人は装備の購入など、俺達は教会だ。リュネはやる事が無いので俺達と同行する事となった。
教会は大通りの真ん中、街の中心にあり、大体何処からでも尖った塔が見えるメルタールのランドマークとなっている。
教会の中に入ると高い天井にはシャンデリア。壁の至る所に宗教画が描かれ、講壇の奥にはステンドグラスが輝きを放ち、女神像に降り注いでいた。
あの女神とはきっと別人だろう。アイツはこんな慈愛に満ちた笑顔はしない。
「ようこそ当教会へ」
横から音もなく現れたシスターにドキッとしたが、イゼッタの件で話をすると上の者にアポを取るって事で暫く待たされる事になった。まあ、急に来てサッと出来る程暇でも無かろう。長椅子に座る三人。
俺は心を落ち着かせ、呼吸は穏やかに、目を閉じて背凭れに体を委ねた。
教会何かに来たせいか、シルケに来た初日の如く耳障りな音が聞こえる…。
「起きろ!このクソブサイクハゲ!」
俺は人なのでうんこでは無いし、イゼッタにフツメン認定を受けたのでブサイクでも無い。ましてやまだまだフサフサだ。きっと他の誰かを呼んでいるのだろう。
「起きなさいよ。狩場翔」
「寝てないぞ」
「完っ全に熟睡してたから。何?あの女神像が私じゃない?慈愛に満ちた笑顔をしない?あンた相手に笑顔になれる訳無いでしょ!」
プライバシーの侵害である。来星初日から殺そうとするくらい嫌いなら放っとけば良いのに。
「あンた、何で此処に呼ばれたかわか…らないわよねー?」
「馬鹿にしてるようだな。気分が悪いし用があるならとっとと済ませろよ」
「ちっ、クソが」
「早くしろ」
「…あンたが穢しまくってるイゼッタ、それにサミイ、避妊魔法なんて掛かってないから」
「ふむ。ならお前が妊娠させないようにしてるんだな?」
「ふふん」
「ならシトンはモンスターの子を孕む事になるのか?」
「他の男に抱かせると良いわよぉ~?」
「抱かれると思うのか…。まあレイプされてでもモンスターを孕むよりはマシか。何方にしても心が壊れるかも知れんがな。お前にとって人なんて可愛い虫程度の認識って事か、理解した」
「あンたが誰彼構わずセ「黙れ、帰らせろ」…マジウザ」
「世界に関与しないのが神だろ。ついでに異星人にも関与すんな。どーしても関与したいなら地球の神を連れて来いこのクソ邪し……」
言いたい事を伝えきる前に戻しやがった…。
「カケル?カケル?」
「寝てた」
「なんか、魘されてた」
「取り敢えず、此処での解除は中止とする。詳しくは宿に戻ってからするが、決してイゼッタの不徳の致すところでは無い。…ごめんな?」
「ん…。後で詳しく」
戻って来たシスターにお断りの意思を告げ、迷惑料に金貨をお供えして教会を後にした。
宿に着き、部屋に入っても誰も口を開かず、出るのは溜息ばかりだった。
「帰ってきたぞー」
「戻りましたー」
暫く経ってシトンとアズが部屋に戻って来た。落ち込んだ部屋の気配に気付き心配になる二人。
「どうしたのさ?」
「詳しくはカケルから」
「本日予定していた避妊魔法の解呪は、ある理由を以て中止とした。今からある理由を説明する」
この場の皆に俺のシルケでの生い立ち、女神とのいざこざ、種無しにされてシトンやサミイを孕ませられない事、イゼッタには避妊魔法が掛かってない事を説明した。
「マジかよ…」
「シトン、すまん」
「いや、あたいは良いって。それよりイゼッタ様が…」
「大丈夫だ、問題無い」
イゼッタよ、涙溜めてぐぬぐぬしながら言う台詞では無いぞ。抱き締めて泣き顔を隠してやると黙って泣いていた。
それを見て皆涙を流した。俺も。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる