女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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避妊魔法

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 ギルドから出た俺達は一旦アズとシトンと別れて行動する。二人は装備の購入など、俺達は教会だ。リュネはやる事が無いので俺達と同行する事となった。
教会は大通りの真ん中、街の中心にあり、大体何処からでも尖った塔が見えるメルタールのランドマークとなっている。
教会の中に入ると高い天井にはシャンデリア。壁の至る所に宗教画が描かれ、講壇の奥にはステンドグラスが輝きを放ち、女神像に降り注いでいた。
あの女神とはきっと別人だろう。アイツはこんな慈愛に満ちた笑顔はしない。

「ようこそ当教会へ」

横から音もなく現れたシスターにドキッとしたが、イゼッタの件で話をすると上の者にアポを取るって事で暫く待たされる事になった。まあ、急に来てサッと出来る程暇でも無かろう。長椅子に座る三人。
俺は心を落ち着かせ、呼吸は穏やかに、目を閉じて背凭れに体を委ねた。


 教会何かに来たせいか、シルケに来た初日の如く耳障りな音が聞こえる…。

「起きろ!このクソブサイクハゲ!」

俺は人なのでうんこでは無いし、イゼッタにフツメン認定を受けたのでブサイクでも無い。ましてやまだまだフサフサだ。きっと他の誰かを呼んでいるのだろう。

「起きなさいよ。狩場翔」

「寝てないぞ」

「完っ全に熟睡してたから。何?あの女神像が私じゃない?慈愛に満ちた笑顔をしない?あンた相手に笑顔になれる訳無いでしょ!」

プライバシーの侵害である。来星初日から殺そうとするくらい嫌いなら放っとけば良いのに。

「あンた、何で此処に呼ばれたかわか…らないわよねー?」

「馬鹿にしてるようだな。気分が悪いし用があるならとっとと済ませろよ」

「ちっ、クソが」

「早くしろ」

「…あンたが穢しまくってるイゼッタ、それにサミイ、避妊魔法なんて掛かってないから」

「ふむ。ならお前が妊娠させないようにしてるんだな?」

「ふふん」

「ならシトンはモンスターの子を孕む事になるのか?」

「他の男に抱かせると良いわよぉ~?」

「抱かれると思うのか…。まあレイプされてでもモンスターを孕むよりはマシか。何方にしても心が壊れるかも知れんがな。お前にとって人なんて可愛い虫程度の認識って事か、理解した」

「あンたが誰彼構わずセ「黙れ、帰らせろ」…マジウザ」

「世界に関与しないのが神だろ。ついでに異星人にも関与すんな。どーしても関与したいなら地球の神を連れて来いこのクソ邪し……」

言いたい事を伝えきる前に戻しやがった…。

「カケル?カケル?」

「寝てた」

「なんか、うなされてた」

「取り敢えず、此処での解除は中止とする。詳しくは宿に戻ってからするが、決してイゼッタの不徳の致すところでは無い。…ごめんな?」

「ん…。後で詳しく」

戻って来たシスターにお断りの意思を告げ、迷惑料に金貨をお供えして教会を後にした。
宿に着き、部屋に入っても誰も口を開かず、出るのは溜息ばかりだった。

「帰ってきたぞー」

「戻りましたー」

暫く経ってシトンとアズが部屋に戻って来た。落ち込んだ部屋の気配に気付き心配になる二人。

「どうしたのさ?」

「詳しくはカケルから」

「本日予定していた避妊魔法の解呪は、ある理由を以て中止とした。今からある理由を説明する」

この場の皆に俺のシルケでの生い立ち、女神とのいざこざ、種無しにされてシトンやサミイを孕ませられない事、イゼッタには避妊魔法が掛かってない事を説明した。

「マジかよ…」

「シトン、すまん」

「いや、あたいは良いって。それよりイゼッタ様が…」

「大丈夫だ、問題無い」

イゼッタよ、涙溜めてぐぬぐぬしながら言う台詞では無いぞ。抱き締めて泣き顔を隠してやると黙って泣いていた。

それを見て皆涙を流した。俺も。
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