女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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海は全てを洗い流してくれる

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 何時も誰も居ない海岸に佇みホイットニーの串焼きを齧る。やっぱタレだよなぁ。食べ終えた串はミズゲルの傍に落とすと巻きついて食べてくれる。とても環境に優しい。
エディアルタに卸す魔石は兎達が組み立ててるので今日はべしゃっとせず、揺蕩うミズゲルと小魚を見て過ごす。

そうそう、俺に害意を持つ馬鹿共は纏めて海に投げてやったよ。海は全てを洗い流してくれる。そしてミズゲルが掃除してくれる。タマゲルより少し食欲旺盛なミズゲル達はほんのり赤味を帯びて塊っていた。

 夕方迄魚でも見て暇を潰そうかと思ったら、壁の上の衛兵に捕まり取り調べを受け、ミズゲルべしゃってるヒョロガキにそんな事出来まいって事で保釈され、身元保証人のカロ邸にてお茶を啜っている。見知らぬおっさんと対面で。

「旦那様、此方冒険者で当家と懇意にしておりますカケル様です。カケル様、此方はメリクヒャー家当主のタイデン様、お嬢様のお父上で御座います」

そう言ってアルネスは茶菓子を取りに行ったっきり。体感で三年程経っただろうか?長い沈黙を破り当主でお父上のタイデンが口を開いた。

「娘とは…、ど、どう言う関係だ?」

「子供は三人欲しいと話し合う感じです」

「っ!姫様とはどの様な関係なのだ!?」

「子供は男女二人欲しいと」

「…メイドの言っていた事は事実であったか…」

すっかり項垂れてしまった。沈黙が重い。

「言いたい事があるのでしょう?」

「……そりゃああるさ…。姫様が相手の愛妾、良い事じゃあないか。正妻達に受け入れられ、夫とは互いに好意もあると聞く。レッサードラゴンや海竜を倒したとも聞いた。金があっても無駄遣いせず、驕り高ぶる事も無い。宰相閣下が戦争反対の意向を示された事は当人から直接聞かされた。親として、こんなに嬉しい事は無い…。公王陛下がそれを望んでいるならな」

「平民で冒険者。降嫁するにも低過ぎるっと」

「そうだ。それに戦争に関してもだ。このままでは内乱も起きかねん」

「家に帰ったらリアの考えを問わないとならないな」

「私からの提案は高位貴族になるか、国を起こすか、それに匹敵する武力を持つか、だ」

「やはり俺は弱そうに見える、か…」

「纏った魔力を見たら皆黙るか武器を向けるだろうがな」

お茶が冷めた所でノックと共にアルネスが戻って来た。フラーラも一緒だ。多分テイカは隠れているな?ああ、厨房でお茶してやがる。

「旦那様遅くなりまして申し訳御座いません。姫様付きのメイド、フラーラ様をお連れしました」

「紹介に与ったフラーラと申します」

「タイデンだ」

「お話は後でカケル様に伺います。追ってご連絡させて頂きましょう」

「宜しく頼む」

アルネスとヌプヌプしたかったが妻の父が居てはそうも出来ん。大人しく家に帰るしかないな。荷物の積み込みも終えているそうなので改めて助けてもらった礼を述べカロ邸を後にした。

「残念でしたね」

心做しか嬉しそうなテイカである。

「そうだな。今日は外に出ちゃいけない日、だったのかもなー」

「したいならギルドでカロ嬢とでもしたら良かったのに」

風俗点は論外っぽいな

「用も無いのに仕事の邪魔をしたくないんだよ」

「アルネス様は良いのですか?」

「したいけど、カロ邸に行ったのはその為じゃ無いし」

「衛兵に逮捕されたと聞いたぞ?」

「悪意を払っただけなんだがな」

「やるか?」「消しますか?」

「すんな。普通に仕事してただけだろ」

駄弁りながら寝具店の裏口に戻ると奥様達が集まってた。

「あ、旦那さま達おかえりなさーい」

サミイも奥様だったな、違和感はあるが。奥様方の視線に思わずチンピクしてしまった。溜まってるなー、俺も彼女等も。
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