女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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それ魔道具だったのか

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 暫く歩いて持ち場に着いた。これから朝までうろうろすると思うとぐったりする。

「先ずは一周回って目視にてルートの確認を行う。隠れやすい場所を前以て見当を付けて置けば万が一逃げられた時に目星が付けやすい」

「一理ある」

「冒険者の視点では不服か?歩きながら聞こう。ナイ、行くぞー」

巡回ルートは直線で縦横各二百ハーン程のエリアで、商品の搬入出がある為道幅はそれなりに広い。但し建物同士の間には側道やら抜け道になりそうな隙間が点在し、隠れんぼするには良さそうな雰囲気が…あ、一人居た。

「ナイニャイ。あそこ、一人居るよ」

「ん?あれは地元の人間ね。金が無いからあんな所で寝るしか無いの」

人一人通れるだけの隙間に寝てる男が居た。治安も悪くなるし、注意喚起と共にこの辺りの事を聞いてみると、此処は隙間風さえ気にしなければ人通りが全く無いので寝やすいのだそうな。

「こんなに狭いと壁伝いに屋根に上がられちゃうな」

「道具も無しにか?」

ほれ、とチムニーで壁登りを見せてやると警備の二人は感心してた。
道を挟んでる建物は倉庫と小規模造船所。窓も無いので壁を作る提案をしてみる。

「金、時間、どうすんのよ?これだからおと…あが…」

またナイニャイちゃんが呻かされてしまった。地面がばっちいのでへたり込ませないよう支持してやる。

「リュネ、もう少し加減して。小隊長殿、冒険者は金も時間もそんなに掛けず解決できるのだよ」

「ぐへぇ…」

「カケルと言ったな。どうするんだ?」

「魔法で壁を作るんだ。金も時間もそんなに掛からん。だろ?」

「使えるのか?」

「許可は事後報告で取ってくれ」

海側の入口に壁を…作る前に、隙間を《洗浄》しておく。何か臭うのだ。で、改めて壁を作る。厚みは五十ドン、屋根の高さに届く一枚の煉瓦が建ち上がった。更に、ほんの少し勾配を付けて屋根を取り付ける。これで雨風凌げるだろ。
隙間の中に居たせいで一緒に《洗浄》されてしまった男に、この辺りの見張りをしてもらう事にした。キレイに使えば追い出される事も無いだろうしな。

 隙間の《洗浄》と壁作りをしながら一周回って戻って来た。侵入経路が減るだけで見廻る場所が半分以下になった。

「冒険者の視点、見せてもらった。事後報告は面倒だがな」

「海から来るのが判っていれば、此方からはいり口を指定してやれば良いのさ」

「そこで網を張る、と」

「エメラルダスの防具屋の並びを見て思い付いただけなんだがな」

「私、そこ住んでる!」

ナイニャイちゃんはご近所さんでしたか。
壁で塞ぐ事が出来無い、海に面した広めの道も壁と門を作る事で侵入を抑制出来るとも提案をしておいた。ゴロツキだけで無く野獣やモンスターも入り難いよな。

「良かったな、提案として取り上げて貰えたぞ」

「え?何だって?」

突然そんな事言うもんだから鈍感主人公みたいな反応をしてしまった。

「驚いたか男ェ…」

それ態とやってないか?リュネも加減を覚えたみたいだ。仲良くなって良かった。

「このヘルムは魔道具でな。音を双方向でやり取り出来る。高いらしい」

「それ魔道具だったのか。小舟を回収する提案をしてから二人と待ち合わせする迄、大した時間は無かったのに結果を知ってたのはソレのおかげだったのな」

「秘密にしといてくれ」

「さっき上層部批判してたよな」

  「あ……メリアさん報告書には書かないで下さいお願いします何でもしますから…」
ん?今何でもって言ったね?
暫くしてアマルディの目から光が消えた。意外とドジっ娘属性の持ち主であるようだ。

「カケルさんって、こう言う娘好きですよね?」

リュネからの圧力で心臓が止まりそうになった。

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