310 / 1,519
忘れ物は無い
しおりを挟む朝、起きて、艶々になったシトンの頭臭をチェックする。クンカクンカ…よし。良い朝だ。そそくさとアズも起き出し、ベッドから離れたので寝坊助共をベッド毎《洗浄》で叩き起して食堂へ向かった。
仕事前でカロはシャキッとしているが、シトンとアズは《洗浄》されるのが好みではないようだ。なんせ冷水だからな、直ぐ乾くとは言え、気持ちは解る。
食堂ではアルネスとシャリーが食事の仕度を済ませて待っていた。
「おはようアルネス。シャリーも手伝ってくれたのか、ありがとな」
「御屋敷で働いていた頃からの習慣になってますので問題ありません」
「おかげでとても助かりました」
朝食を終えたらタマゲル小屋を片付けて、ひーふー…十匹居るのも確認したら草と一緒に背負いカバンに詰め込んで、飛行特化型荷車を《収納》して準備完了。見送るアルネスに行ってきますのべろちゅーをたっぷりしてカロ邸を後にした。
「カケル様、折角拵えた鎧は着けないのですか?」
「あんなのギルド行く時と狩りする時くらいしか着ないって。この街じゃ俺だってバレてるしな」
「カケルさん、鎧作ったんだ?見たい!」
「そのうち一緒に依頼を受けようか。その時見せてやるよ」
ベッタリくっ付いて来るシトンから女の子の香りがする。これが真のシトンなのだろう。良い事だ。
ギルド前、カロと冒険者は右に俺等は左に。こんにゃろ、しれっとシャリーを連れて行こうとすんな。名残惜しげなカロと別れて寝具店へ向かう。
「皆さんおはようございます。お待ちしてました!」
「カケル様とお別れカケル様が行っちゃうやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ…」
エージャが壊れかけてるので《洗浄》して頭も体もスッキリさせてやる。何より怖い。
サミイ達が用意した毛布とクッションを、取り出した特化型に敷いて行く。クッションはまあ良いとして、毛布十枚も居るのかなぁ…?載せられてしまったので買うしかあるまい。サミイに渡した金で足りると言うので残りはママ上殿に差し上げた。
「このお金で輿入れ道具を買えと言うのですね?」
「この金を俺だと思って大事になさって下さい」
「硬いですけど…、短いですよ?」
「野菜でも買って下さいね。また食べに来ますから」
「はい、また食べに来て下さい。ふふっ」
意味深な言葉を敢えてスルーして、親父殿にも挨拶したら特化型を再び仕舞って門前へ。
「カケルよ、また変な乗り物持って来たな」
失礼な事を言う門兵だが、四角に車輪の世界に円筒形は新し過ぎるよな。飛べるし。
「すげーだろ?飛ぶんだぜ?これ秘密な?」
「秘密ならこんな所に出すなよ」
「最もだが、秘密にしたらまたあンたらが騒ぐだろが」
「仕事だからな!」
「こっちは門を潜らなくても街に入れるんだぜ?」
「仕事を増やすな?」
「今から飛ぶから給料分は驚いてくれ。じゃあなー」
特化型に乗り込んで…、靴脱ぐか。扉を閉めて、閂掛けて、準備良し。
「忘れ物は無いよな?」
「大丈夫です。トイレも行きました!」「同じく」
巨大な砲弾が空に向かって飛び上がる。門兵も冒険者も、街の住民も見ているだろうが気にしない事にした。千ハーンも上がれば互いに見えなくなるからな。
「水平飛行に入る。試乗も兼ねてるから徐々に速度を上げてくぞー?」
「「はーい」」
返事を受けて島へと飛んだ。
加速を続けて途中から、窓のガタツキが気になった。窓の部分は凹んでるから、空気抵抗があるのかも知れない。
「ちょっと直すから一旦停めるぞ?」
一人外に出て窓の補修。柔らかくしたゲル版を窓にみっちり埋め込んで、鉈で均して凹みを無くす事七ヶ所。内側を削って軽量化するには時間が惜しいのでこれで補修完了とした。再び乗り込み加速すると、今度はガタガタしなくなった。
「静かになりましたねー」
次に作る時は板の時点でゲル版を付けちゃおうと思った。
0
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる