女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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高校の修学旅行

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 宛も無く飛びながら、俺は寝ていた。全身を覆う海竜の皮は高高度の高速移動にも余裕のある保温性でついウトウトしてしまったのだ。温かさに包まれて惰眠を貪り目を開けると雪国であった。

「イゼッタに以前聞いた気がするな…」

寒いのは嫌だと言う理由で行先から除外された大陸で、名前は何だったか思い出せない。日はまだ高いが食い物と寝床を確保したいので取り敢えず街を探そう。ダンジョン都市があるなら行ってみたくなるのが冒険者と言う物だろう、多分。

ダンジョン都市に向かう指示を出すと体が横に押されだした。あるのかダンジョン都市。向かう先は針葉樹っぽい、尖った木々の立ち並ぶ森が続く。樹冠の上迄降下して移動すると、意外と短い木である事が伺えた。若しくは積もった雪で埋もれているのか?
スキーは高校の修学旅行で行ったっきりだなぁ。野球に諦めが付いた頃で、スキーそっちのけで雪合戦してた思い出がある。枕を投げて投げた枕を破壊してしまったのも今では良い思い出だ。飛び散った蕎麦殻を掻き集める姿を見たクラスメイトに甲子園の負けチームみたいだと笑われたっけな。

過去を思って感慨に耽って居ると、少しずつ壁が見えて来た。木が同じ高さなら、大体八キロは先って事か。一キロ手前迄飛んだら後は歩いて行こう。
更に飛んで行くと、街道らしき広がりが見えた。伐採した道幅は結構広いが、積もった雪を避けてあるので歩ける道幅は五ハーンそこらだろう。轍が二本あるので片側一車線って事だな。
あ、轍の上にうんこ落ちてる。ホカホカでは無いが凍って無いのが鼻で分かる。足跡から見て前に居るみたい。絡まれたく無いからゆっくり行こう…。

左右は雪の壁。野盗や野獣だって寒い中狩りをするのは嫌な筈、と思っていた時期が私にもありました。絡まれたく無いなんて思うからフラグが建つんだよ俺のバカぁ。雪の壁の上から商隊の荷車に向けて矢を射掛ける毛皮の塊達。多分絶対野盗だろう。
荷車からは誰も出ず、籠城の構え。しかし荷車を曳いてた獣は横になっているし、荷物を置いて闇に紛れて徒歩で逃げる考えか?それとも伝書鳩的な鳥を飛ばして助けを呼んであるのか。何方にしても中の人等は肝を冷やしている事だろう。

「ぬっ!何だてめぇは!?」

「やっと気付いたか。旅の者だ」

「へ、へへっ、てめぇ一人で助太刀かぁ?」

「頼まれても無いのにするかよ。敵対するなら相手してやっても良いが、お前等の賞金なんてあるかどうかも分からんし、この商隊が得するだけだから出来れば俺には構うな」

「威勢が良いじゃねぇか!」

「お前等は消極的だな。とっとと降りて来て扉をこじ開けて女ぁ犯したり男を殺したりすりゃあ良いのに」

「いやー!」「お助けー!!」

中からそんな声がする。ガチャガチャする音は夜明け前に宿屋からする音だ。護衛も何人かは入ってるのだろうな。《感知》で中を見てみるとそれなりに強い奴も居るじゃないか。雪国生まれはビビりが多いのか?

「中に居る護衛、聞こえるか?此奴等大した事無いぞ。ちゃんと給料分の仕事しろー」

「てめぇ!面倒事増やすんじゃねえ!!」

野盗共から何故かブーイングを受けた。解せぬ。

「誰かが死ねば貰いが多くなるぜ?ほれほれ、どっちもとっとと戦う準備しろって」

荷車の壁を叩いて急かす。俺だってそんなに暇じゃ無いのだよ。

「開けたら矢が…」

「飛んで来てから言えバカモン。俺が来てから一発も飛んで来てねーだろーが。バーンと開けれ、バーンと」

「ばーん…」

口で言いながら出て来たのは、うちの少年隊程しか無いお子様でした。多分、男の子、かな?ズボンだし。見た目が良いのでどっちかわからん。

けど俺を除いたこの連中の中で、此奴が一番強いんだ。それこそ見た目じゃわからんな。
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