女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
409 / 1,519

名誉の戦死

しおりを挟む


 辺りは暗いので門を無視して飛んでった。街の場所なんて知らないが、《逃げる》に指示すりゃ勝手にそっちに飛んで行く。《感知》も使って飛んでる方向に集中すると、わんさかわんさか数え切れない程の雑魚が移動してる。街に向かってると言う訳では無く、山を回避して方針円状に広がっている感じだな。飛んでるのはあまり居なくて残念だ。
 街に近付いて門が閉まってるのが分かる。飛んで入る方が早いけど、ピリピリしてると《阻害》もバレ易いから歩いて行くか。

「そこの者、止まれー!」

「バルタリンドから応援に来た!紹介状もあるぞー」

小扉からバタバタと三人走って来た。

「一人で応援とは大した大口だな」

「俺は足が早いんだ。後の奴等はゆっくり手柄だけ取りに来るよ」

「減らず口だな、紹介状を出せ」

「言うだけなら只だ。後は見て決めろ。見る余裕があるならな」

紹介状を投げて寄越すとランタンを照らして確認してる。お前、どう見ても一兵卒だけど、閲覧する資格あるのか?破り捨てるようなら帰っちゃうぞ?

「ギルドに確認する。暫し待て」

待つなら椅子がある所まで移動しようぜ…。辺りは畑で柵もグラグラ、寄り掛かって休む事も出来ん。

「あまりフラフラするな」

「座れる場所探してるだけだ。どうせ時間掛かるんだろ?ってか彼奴はそれなりの階級なのか?勝手に紹介状見ちゃってたけど相手に依っては首が飛ぶぞ」

「緊急事態だから大丈夫だろ、多分」

「オーバーフローだっけ?ダンジョン都市も大変だな」

「ここまで規模が大きいのは俺が入って初めてだが、何度も起きてる事だから年寄りにして見りゃ慣れっ子だそうだ」

「不安しかないって訳か」

「皆まで言うな、全ては愛する者の為って奴だ」

「お、俺には居ないんだが…」

「終わったら娼館にでも行くんだな。手当くらい付くんだろ?」

頑張れDT。グダってダベっているとホルストに乗った何者かが駆けて来た。

「貴様が賞金稼ぎか!貴さぶべっ!!」

ブリブリジョバジョバホルストを汚し、落っこちてのたうち回る。

「なあ、これ、何だ?」

「衛兵隊の隊長様だ」

「思うに、紹介状を勝手に見て、賞金稼ぎと蔑んで、俺に媚び諂わせたかったのだと思うが、どう思う?」

「隊長様は大の冒険者嫌いで在らせられる。治安を悪くするから俺達が矢面に立って対処してるんだけどな」

「じゃあ此奴は、口だけ出して冒険者を嫌っているのか」

「ぐぎぎ…」

「部下に口しか出さず、自分からは何もしないお前にチャンスをくれてやる。これからお前を最前線に投げ込むから思う存分殺して来い」

「ぐぎっ!やめっ!」

「出来ないのか?この口だけ男め。俺はお前を最前線に投げ込む事くらい出来るぞ?」

「この…!」

「では、行って来い」

猛スピードで飛んでった糞漏らしは弧を描いてモンスターの中に飛んで行った。

「名誉の戦死だった」

「まだ戦ってないだろう?」

「しかしあれじゃあ、そうなりそうだ。お前はどうするんだ?街に入るなら口利くぞ?」

「馬鹿はともかく、まともな人は守ってやりたいからな、口利き頼むわ」

「ならば急ごう」

衛兵二人と《洗浄》したホルストを連れて門へと走った。
隊長様は、俺より先にモンスターを根絶やしにしてやると息巻いて、謎のスキルでモンスターの元に飛んでってしまった。と言う感じの報告で俺は解放された。紹介状はビリビリにされてたが、一応集めたのを受け取った。殺して正解だな。もし生きてても殺ってやる。

 ギルドが門の傍にあるのはどの街も変わらない。スイングドアの向こうには、夜なのにわんさか臭そうなのが群れて、蒸れている。入りたくないけど仕方無い、我慢して入って受付嬢の元に急いだ。






しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...