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名誉の戦死
しおりを挟む辺りは暗いので門を無視して飛んでった。街の場所なんて知らないが、《逃げる》に指示すりゃ勝手にそっちに飛んで行く。《感知》も使って飛んでる方向に集中すると、わんさかわんさか数え切れない程の雑魚が移動してる。街に向かってると言う訳では無く、山を回避して方針円状に広がっている感じだな。飛んでるのはあまり居なくて残念だ。
街に近付いて門が閉まってるのが分かる。飛んで入る方が早いけど、ピリピリしてると《阻害》もバレ易いから歩いて行くか。
「そこの者、止まれー!」
「バルタリンドから応援に来た!紹介状もあるぞー」
小扉からバタバタと三人走って来た。
「一人で応援とは大した大口だな」
「俺は足が早いんだ。後の奴等はゆっくり手柄だけ取りに来るよ」
「減らず口だな、紹介状を出せ」
「言うだけなら只だ。後は見て決めろ。見る余裕があるならな」
紹介状を投げて寄越すとランタンを照らして確認してる。お前、どう見ても一兵卒だけど、閲覧する資格あるのか?破り捨てるようなら帰っちゃうぞ?
「ギルドに確認する。暫し待て」
待つなら椅子がある所まで移動しようぜ…。辺りは畑で柵もグラグラ、寄り掛かって休む事も出来ん。
「あまりフラフラするな」
「座れる場所探してるだけだ。どうせ時間掛かるんだろ?ってか彼奴はそれなりの階級なのか?勝手に紹介状見ちゃってたけど相手に依っては首が飛ぶぞ」
「緊急事態だから大丈夫だろ、多分」
「オーバーフローだっけ?ダンジョン都市も大変だな」
「ここまで規模が大きいのは俺が入って初めてだが、何度も起きてる事だから年寄りにして見りゃ慣れっ子だそうだ」
「不安しかないって訳か」
「皆まで言うな、全ては愛する者の為って奴だ」
「お、俺には居ないんだが…」
「終わったら娼館にでも行くんだな。手当くらい付くんだろ?」
頑張れDT。グダってダベっているとホルストに乗った何者かが駆けて来た。
「貴様が賞金稼ぎか!貴さぶべっ!!」
ブリブリジョバジョバホルストを汚し、落っこちてのたうち回る。
「なあ、これ、何だ?」
「衛兵隊の隊長様だ」
「思うに、紹介状を勝手に見て、賞金稼ぎと蔑んで、俺に媚び諂わせたかったのだと思うが、どう思う?」
「隊長様は大の冒険者嫌いで在らせられる。治安を悪くするから俺達が矢面に立って対処してるんだけどな」
「じゃあ此奴は、口だけ出して冒険者を嫌っているのか」
「ぐぎぎ…」
「部下に口しか出さず、自分からは何もしないお前にチャンスをくれてやる。これからお前を最前線に投げ込むから思う存分殺して来い」
「ぐぎっ!やめっ!」
「出来ないのか?この口だけ男め。俺はお前を最前線に投げ込む事くらい出来るぞ?」
「この…!」
「では、行って来い」
猛スピードで飛んでった糞漏らしは弧を描いてモンスターの中に飛んで行った。
「名誉の戦死だった」
「まだ戦ってないだろう?」
「しかしあれじゃあ、そうなりそうだ。お前はどうするんだ?街に入るなら口利くぞ?」
「馬鹿はともかく、まともな人は守ってやりたいからな、口利き頼むわ」
「ならば急ごう」
衛兵二人と《洗浄》したホルストを連れて門へと走った。
隊長様は、俺より先にモンスターを根絶やしにしてやると息巻いて、謎のスキルでモンスターの元に飛んでってしまった。と言う感じの報告で俺は解放された。紹介状はビリビリにされてたが、一応集めたのを受け取った。殺して正解だな。もし生きてても殺ってやる。
ギルドが門の傍にあるのはどの街も変わらない。スイングドアの向こうには、夜なのにわんさか臭そうなのが群れて、蒸れている。入りたくないけど仕方無い、我慢して入って受付嬢の元に急いだ。
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